テラーノベル
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正体がバレる
森が、ざわついた。
夜の闇に紛れて、複数の影が滑るように現れる。
殺気。
濃密で、鋭い。
キルアは即座に身構えた。
「……囲まれてる。」
ゴンも拳を握る。
「強い……すごく。」
クラピカの顔色が変わった。
「……この気配……まさか……」
レオリオは唾を飲む。
「お、おい……冗談だろ……」
×××は、動けなかった。
全身が、氷のように冷える。
(……来た……)
忘れようとしても、忘れられない。
仲間であり、家族であり、地獄だった存在。
闇の奥から、低い声が響く。
「……生きてたか。」
ゆっくりと姿を現したのは――
フェイタン。
鋭い目。
冷たい笑み。
その後ろに、フィンクス、マチ、シャルナーク。
――幻影旅団の中核メンバー。
「ずいぶん探したぜ、No.22。」
フィンクスが腕を組む。
その一言で。
すべてが、終わった。
「……No.22……?」
ゴンが、戸惑って呟く。
クラピカの瞳が、凍りつく。
「……まさか……」
キルアは、×××を振り返った。
「……どういう……意味だ……?」
×××は、唇を震わせる。
声が、出ない。
マチが、静かに告げた。
「この子はね――」
「幻影旅団の元メンバーよ。」
沈黙。
世界が、止まったようだった。
「……え……?」
ゴンの声が、かすれる。
レオリオは、理解できずに首を振る。
「……うそだろ……」
クラピカは、歯を食いしばる。
「……貴様……!」
殺気が、一気に膨れ上がる。
×××は、震えながら前に出た。
「……ちが……っ……」
「……もう……やめて……」
「私……もう……」
キルアが、低く言った。
「……答えろ。」
×××は、彼を見た。
銀色の瞳。
今まで、優しかった目。
そこに、疑いが混じっている。
胸が、痛む。
「……私は……」
深く、息を吸う。
「……元……幻影旅団……No.22……。」
絞り出すように。
告白。
「……でも……今は……違う……!」
「裏切ったのよね。」
マチが淡々と続ける。
「団長は、まだ迷ってる。」
「殺すか、連れ戻すか。」
フェイタンが笑う。
「どっちでも、楽しいね。」
キルアが、×××の前に立った。
「……お前……俺たちを……騙してたのか?」
「……ちが……!」
涙が、滲む。
「……言えなかった……怖かった……!」
「……嫌われるのが……」
ゴンが叫ぶ。
「でもさ!今の×××は、旅団じゃないよね!?」
「……ゴン……」
「だって、オレたち助けてくれたじゃん!」
レオリオも頷く。
「そうだ!命張ってた!」
クラピカは、拳を震わせながら言う。
「……理屈では……理解できる。」
「だが……俺は……旅団を……許せない……!」
苦しそうな声。
×××は、頭を下げた。
「……ごめん……」
「……本当に……ごめん……」
沈黙を破ったのは――
キルアだった。
「……で?」
「旅団。」
鋭い視線を向ける。
「……こいつに……何するつもりだ?」
フィンクスが笑う。
「連れ帰るか、殺すか。」
「選ばせてやるよ。」
その瞬間。
キルアのオーラが、爆発した。
「……ふざけんな。」
「……こいつは……俺たちの仲間だ。」
×××は、息を呑む。
「……キルア……?」
「……勝手に決めんな。」
「……俺が決める。」
ゴンも前に出る。
「オレも!」
レオリオも拳を構える。
「当然だ!」
クラピカは、一瞬迷ってから――
静かに並んだ。
「……俺も……ここに立つ。」
×××の視界が、滲んだ。
(……なんで……)
(……こんな……私なのに……)
フェイタンが舌打ちする。
「……面倒。」
「殺す。」
マチが糸を構える。
「やるしかないわね。」
戦いが、始まろうとしていた。
そのとき。
×××は、一歩前に出た。
「……やめて……!」
「……私が……行く……!」
全員が、振り向く。
「……私が……戻れば……」
「この人たちは……関係ない……!」
キルアが、叫ぶ。
「ふざけんな!!」
腕を掴む。
「……逃げんなよ!」
「……一人で……背負うな!!」
涙が、こぼれる。
「……でも……!」
「……私……汚い……!」
「……人殺しで……」
キルアは、強く抱き寄せた。
「……だから何だよ。」
耳元で、低く囁く。
「……今のお前は……俺の仲間だ。」
「……それで……十分だろ。」
×××は、声を殺して泣いた。
初めて。
誰かの腕の中で。
弱さを、晒した。
そして。
戦いの火蓋が、切られた。
――運命は、もう後戻りできない場所へ進んでいた。
to be continued…
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