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!アテンション!
攻🐉×受🔝の捏造まみれのジヨタプ小説。
ご本人様たちとは全くの無関係。
ご都合主義の矛盾まみれ解釈違いもろもろですがたくさんの愛はある。
今回は激重メンヘラ狂ってる🐉がいますのでご注意。いや🔝もかなりぶっ飛んでます。キャラ崩壊甚だしい。
センシティブにしてますがぬるセンシティブです。
覚悟の上読んでくださる方はそのままお進みください…!
最近のジヨンは様子が変だ。
いや、変と言っては語弊があるかもしれない。ただの俺の勘違いかもしれない、が。俺を見るときの瞳に違和感がある。どこか冷たく見えるのにその奥には熱が含んでるような、獲物を狙う蛇のような、じっとりとして、ねっとりとして、なんだかとてつもなく怖い。他の人と話すときの彼の目は今までと変わらないジヨンなのに。ふと目が合ったとき、まるで違った色になる、気がする。
俺にだけ、見せるその瞳。
その目で見られると、俺は言いようのない恐怖を感じていた。背筋に冷たいなにかが流れて、指先ひとつ動かせなくなって、異様に喉が渇く。
「……なあ、ジヨン」
「ん?なーに?」
そう答える彼の声はどこか気の抜けたような柔らかいものなのに。その声とは似合わない目で俺を見ていた。
「俺…なんかしたか?お前に」
思わず声が震えた。とてつもない恐怖がじわじわゆっくりと俺の心に浸透していく。ジヨンは驚いたような顔をした後、口角を上げて微笑んだ。それはどこか夜の雰囲気を纏うような妖艶な笑みで、思わず息を飲む。
「………んふふっ」
なにそれ、そんなことないけど。
そう返ってくると思った。そう、期待していた。
「……ばれちゃった?」
その言葉を聞いた瞬間、足元にぽっかりと穴が空いたような感覚がした。身体が固まって、喉元に刃先を突きつけられているみたい。そんなわけないのに。
「俺さ、」
聞きたくない。その先を聞いたら、俺たちは今までの俺たちに戻れなくなる。そんな気がした。
「俺のものにしたいんだよね、タプヒョンのこと」
まるで挨拶をするようにサラッと告げられる。これって所謂…告白、だよな?
「ねぇ、なってくれない?」
なのになんで、こんなに怖いの。
「”俺だけ”のタプヒョンに、さ」
にゅっとその目が細くなる。クーラーなんてかかってないのに、寒くて仕方ない。背後から迫り来るなにかに、気を抜けば全部飲み込まれてしまいそうだった。
「……………悪いけど、無理、だ」
「……」
「お前のこと、そういう風に…見れない」
もちろん仲間としてもライバルとしても、友達としても人としてもジヨンのことは好きだ。でも、恋愛対象では見れない。今までも、きっとこれからも。
「気持ちはありがたい、けど……ごめん」
心苦しくないと言ったら嘘になる。が、彼の気持ちに応えられないなら断るしかない。俺は慎重に言葉を選びながら、でもはっきりと告げた。
「………………………そう」
一言だけ。彼はそう言ったあと、なにも言わなかった。
ジヨンからああ言われたあの日から、俺たちの関係が変わったわけではない。そりゃそうだろう、断ったんだから。多少ギクシャクしたものになるかも思いきや、次の日からも彼は何一つ変わらなかったから少し拍子抜けした。
それでもあの瞳は変わらない。俺を見るときだけ、その色が変わる。
「タプヒョンのさ、」
楽屋のソファに座る俺の背後から聞こえた声に思わず肩が跳ねそうになった。俺たち以外のみんなはそれぞれ様々な話をしている。そんなざわざわとした空間の中、ジヨンは小さな声で言った。
「首って、すごい綺麗だよね」
「ぇ?」
「細くて、長いし」
「そうか…?あんまり気にしたことなかったが…」
あの目で見られているとなんだか落ち着かない。俺は無意識のうちに、自分の首を隠すように触っていた。彼はそんな俺に微笑むと、ゆっくりと横に座る。
「……ねぇ、これ。どう思う?」
ジヨンは取り出した携帯画面を見せながらそう言った。
「……どう思う、って…?」
「タプヒョンに付けたくて買ったの。すんごい似合うと思って。どうかな?」
見せられている画像も、彼の言ってることも、何一つ理解できなくて思わず固まる。
「なに…言ってんだよ。どういう…だって、これ………なに、これ」
たまらず声が上擦った。彼は楽しそうに笑う、無邪気に。
「え?見て分からない?」
「…、」
「首輪だよ。く・び・わ」
それはたしかに、首輪だ。ワインレッドの革でできたベルト。少し細めのデザイン。エメラルドグリーンの宝石が1つはめ込んである。
「あーでも入るかなあ。ちょっと細身の作りなんだよね、これ」
「……は、?」
「………タプヒョン、つけてくれる?」
恐怖で身体が震えた。
「な、なに言ってんだよっ!」
シン、と静まる楽屋にハッとした。突然の大声に周りの目が一気に集まる。
「……ぁ、」
「どうしたんですか、タプヒョン」
「え、あ…いや、」
テソンの問いかけになんて答えていいか分からず狼狽えた。横からスンリがニヤニヤとしながら参戦してくる。
「またなにかしたんでしょ、ジヨンヒョン。だめですよ、タプヒョンのこといじめちゃ」
「いじめてなんかいないよ!失礼な」
ジヨンが笑いながら立ち上がった。もうみんなの前でのジヨンの顔に戻ってる。彼はこちらを見下ろすように見た。
「ね?」
瞳が楽しそうに細まる。俺は曖昧に頷くことしかできなかった。
「痛…っ」
右の人差し指を見る。そこには1本の筋が入ってみるみるうちに血が出てきた。紙で指を切ってしまったらしい。
「どうしたの?」
隣にいたジヨンが覗き込んでくる。
「あー、大したことないんだけど。紙で切っちまったみたいで」
「わ、血出てるじゃん。指先切ると地味に痛いよね」
「絆創膏どこだっけ…、」
たしか救急箱がどこかに…と探しに一歩踏み出したところで、ぐっと引っ張られた。右手首を握ったまま、彼がこちらを見ている。
「な、なに…、?」
またあの目だ。
「ん?……うん」
「…ぇ、」
ぬるり、とした感覚に思考が止まった。ピリッとした痛みにハッとする。
「ジ、ヨン、なにして…っ」
彼が、溢れ出した血を舐めとっている。指を這う舌が熱くて背筋が震えた。今すぐ払い除けたいのに身体が動かない。
「ん…っ、じよん、!」
指先を舐めていた舌が徐々に下がっていく。指の付け根、ジヨンが嬉しそうに目を細めた瞬間、ガリッと噛まれた。
「いっ!?」
慌てて手を引っ込めた。いつの間にか上がっていた息を整える。彼の唾液でてらてら濡れる人差し指の付け根は、くっきりとした歯型が刻み込まれていた。
「なに、すんだよ…っ」
「……ねぇ、知ってる?」
ジヨンは俺の声など聞こえていないかのようだ。なんで、こんなこと。
「指先ってさ、いっぱい神経が集まってるんだって。だから少し切っただけでもすごく痛く感じるんだよね」
傷口が疼く。そう言われた途端に、彼の這った舌の感覚を意識してしまう。あの、熱を。
「………ふふっ、どう?気持ちよかった?」
指先から垂れた血が服についてシミを作った。
ソファに腰をかけ一息つく。咥えたタバコに火をつけ息を吐き出したとき、ガチャッとドアが開いてジヨンが入ってきた。
「あれ?タプヒョンしかいないの?他のみんなは?」
「あ?あー…トイレとかかな。ヨンベはさっき呼び出されて出てったけど」
「ふーん?」
途端に部屋の温度が下がった、気がした。勝手に心臓が速くなっていく。2人きり。今この空間に、ジヨンと俺の、2人しかいない。そう思った瞬間に、言いようのない恐怖が足元から上がってきた。
最近ずっとそうだ。ジヨンのあの目を意識してから、ジヨンに告白されたあの日から。彼と2人だけの空間がとてつもなく怖い。
俺は誤魔化すように携帯を出した。特に見たいものもしたいこともなかったが、なにかしていないと落ち着かなかった。
「…う、わっ」
突然視界が真っ暗になる。一瞬なにが起きたか分からなかった。
「な、なに…?」
ジヨンの手で覆われている。そう気付いて声をかけても、彼はなにも言わない。ならば退かそうと動くが、今度はもう片方の手で力強く肩を掴まれ叶わなかった。
「ジヨン、?」
「タプヒョンてさ、本当に綺麗な目してるよね。おっきくて、キラキラしてて、宝石みたい」
頭の中に、前に彼に見せられた首輪がよぎる。エメラルドグリーンの綺麗な宝石。
「ぇ、あ…そう、か?」
「うん」
「……そ、それより、手…どかして」
「………あーあ」
耳元で囁くように言われ、思わず身体が跳ねた。
「この目が俺だけを見てくれたらいいのに」
「は…?」
「他のやつなんて映さないようにさ…」
ドクドクと心臓が速くなっていく。酸素が薄くなったように呼吸がしにくい。
「潰しちゃおっか?」
指先で、瞼越しにゆっくりと眼球を撫でられた。
「ひっ」
バシッ、と乱暴に手を振り払った。開けた視界の先に楽しそうに笑っているジヨンの顔が見えて、たまらずソファの端まで逃げる。
「な、なに……なに、言って、」
「…………ふふっ。冗談だよ」
全く笑えない。冗談になんて聞こえなかった。
「だって潰しちゃったら、俺のことも見れなくなっちゃうもんね?」
そういう問題じゃないだろ。そう言いたかったのに、唇が震えて結局言葉が出なかった。
「………あれ、2人ともどうしたの?」
どこからか戻ってきたヨンベが声をかけてきた。彼が入ってきた途端、冷たかった部屋が暖かくなった気がする。気のせいかもしれないけど。
「ん?どうもしてないよ?」
ジヨンが呑気な声で答えながら離れていった。いつの間にか力んでいた身体から力が抜けていく。ヨンベが俺の顔を見ながら歩みを止めた。驚いたように目を見開く。
「………大丈夫?」
「ぇ…?」
「タプヒョン、顔真っ青だよ」
「ぁ…い、いや…べつに、」
ヨンベの奥に見えたジヨンは、うっとりとした顔で微笑んでいた。
トイレで手を洗いながら首を回す。今日のライブはいつも以上に疲れた。楽しかった分、終わった瞬間疲労が身体を襲う。いつも以上に昂った空気で、はしゃいだせいで身体を動かしすぎたのかもしれない。明日も早いから、今日は帰って少しだけ酒を飲んで寝よう。
「タプヒョンおつかれー」
後ろから声をかけられ振り返った刹那、肩を掴まれ壁に押し付けられた。打ち付けた背中が痛くて一瞬息が止まる。
「いっ…なにすんだ、!」
思ったよりも近くにあったジヨンの顔に言葉がつまった。たった15センチ程の距離。それがあっという間に縮まった。
「…!?」
口に柔らかい感触がする。なにが起きているのか分からなかった。啄むように動いた唇に我に返る。
今、キスされている、ジヨンに。
「ん、ぐ…っ!」
押し返そうとした手を掴んで壁に押し付ける。骨が折れそうなほど強く掴まれた手首が痛い。どうにか抜け出そうともがいたとき、ぬるりとした舌が隙間から入り込んできた。
「ぅ、ん…っ!」
いつの日か指先を這ったあの感触を思い出して顔に熱が集まる。無遠慮に蠢くそれに背筋が痺れた。なんで、なんでなんで。たまらず歯を立てた。
「痛…っ、」
驚いたようにパッと唇が離れ、力が緩んだ隙に身体を突き飛ばした。よろめいたように2、3歩下がるジヨンの唇の端から、ツーッと赤い液体が流れる。
「はぁ…はぁ…っ」
「いったー……」
「な、なにすんだよ…っ」
流れた血をペロッと舐めとったあと、彼はふっと笑った。
「なにって…消毒だよ、消毒」
「は…?」
「今日ライブ中さ、テソンとキスしたでしょ?」
たしかに今日、その場のノリでテソンの唇にキスをした。ほんの一瞬、触れただけの。ふざけた勢いで。ファンからは黄色い声と笑い声が上がった。それだけ。
「だ、だからなんだ…っ」
「だって妬けちゃったんだもん。タプヒョンとキスなんて。その唇が他のやつに触れたかと思ったらいても立ってもいられなくてさ。消毒しなきゃって」
彼がなにを言ってるのか分からない。分かりたくない。
「ずるいよ、タプヒョンは俺のものなのに」
「は、ぁ…?」
「ねぇ、いつになったらあの首輪つけてくれるの?」
自分の首を撫でながらジヨンが微笑んだ。にゅっと細くなった目の奥は1ミリも笑っていない。本気で狩るときの捕食者の目。獲物を狙う蛇のような目。
「なに、言って……お前、どうしちゃったんだよ…っ!」
怖い。ただただひたすら怖い。
「……なにが?」
「だって、おかしいだろ!俺断ったよな?お前の気持ちには応えられないって…!」
「うん。だから?」
恐怖に足がガクガクと震える。気を抜けば崩れ落ちてしまいそうだ。飲み込まれそうになる。迫り来る真っ黒な闇を振り払うように叫んだ。
「おかしい、おかしいよお前…壊れてるっ」
「………酷いなぁ。こんなに君を愛してるのに」
「あ、愛…?ふざけんな…そんなもん愛でもなんでもない!狂ってる…っ、もうやめてくれよ!俺に近づくなっ!!」
捲し立てるように言った。彼はなにも答えない。シン、と静まる。うるさいくらいの静寂に包まれた。
ふとこちらを見つめていたジヨンの視線が逸らされる。目を伏せて、そしてゆっくりと瞬きをした。
「………………………そう」
一言だけ。彼はあのときと同じように、ただそれだけ言った。
最近のジヨンは様子が変だ。
いや、変と言っては語弊があるかもしれない。だってこれが普通だったんだから。
トイレで彼を突き放したあの日から、ジヨンがあの瞳で俺を見つめてくることは一切なくなった。まるで俺に触れ、俺に執着していたころが嘘のように、全てなかったかのようになってまっさらに戻った。俺たちの奇妙な関係は終わりを告げ、前までの俺たちに戻った。ただそれだけ。
(これが、普通だったじゃねーか)
そう、これが普通だった。ここ最近がおかしかっただけだ。そしてなにより、俺にとってそれはなによりも望んでいたことだった。
はず、なのに。
うまく表現できない、もやもやとしたような、歯になにか挟まったような、小さいけれどどこか落ち着かない。そんな変な違和感が心の片隅で燻り続けていた。
「スンちゃ〜ん」
ジヨンがスンリの背中に体重をかけながら飛びつく。スンリは重いだのなんだの叫びながら笑っていた。
彼を拒絶してから、彼は驚くほど俺に近付かなくなった。今まではこちらが逃げてもどこまでも追ってきたのに。触れるどころか距離を取られる。
(いや、いやいやいや)
これが普通だったじゃないか。この距離感が。もう何回同じことを考えてるのだろう。遠くなったな、と考えてからいやこれが普通だったろうと自分につっこむ。この繰り返し。
「ジヨン、」
無意識にその名前を呼んでいた。自分で言ったくせにハッとする。
「ん?なに?タプヒョン」
ぱちぱちと目を丸くしながら彼が振り返った。あの目はもうない。あの、冷たいのに熱くて、どこか怖い、あの目は。もうなくなっていた。
「ぇ…いや、なんも…、」
もごもごと意味不明な返事をしてしまう。自分から声をかけておいて、なにを言っていいかわからなかった。
「…ぷっ、なにそれ」
ジヨンは楽しそうに笑った。久しぶりに見た、無邪気な笑顔。ここ最近俺には向けることのなかった、ただの笑顔。
気づいた時には彼はもうこちらを見ておらず、またスンリと話していた。
親指の爪の端、数日前からできていたささくれが気になって、無意識に掻いていた。せいで、ついに血がでてきてしまった。
「あーあ、」
地味に痛いんだよな、これ。たしか指先って神経が集まってるから…、
『指先ってさ、いっぱい神経が集まってるんだって。だから少し切っただけでもすごく痛く感じるんだよね』
「どうしたの?」
「!」
いつの間にか隣に立っていたジヨンに話しかけられ、大袈裟なくらい肩が跳ねた。無意識のうちにあの日の彼の言葉を思い出していたせいもあってか、酷く鼓動が速くなっていく。
「ぇ、いや…ちょっと、」
「あ、血出ちゃってるじゃん。ささくれ剥いたんでしょー」
彼は笑いながら、すっと右手を差し出した。
「はい」
「………え?」
「…え?絆創膏。あれ?使わない?」
ジヨンがきょとんとした顔をする。その手に持っている絆創膏を見ながら、俺は自分の顔に熱が集まっていくのを感じた。
「え、あ、つ、使う…あ、りがとう」
いーえ、と言いながら離れていく彼の背中を見ながら、俺のこめかみから汗がひとつ流れた。ドッドッと速まる心臓が痛い。
(俺、今…、)
普通だ。彼の行動は至って普通。血が出てたから、絆創膏を差し出す。普通のことじゃないか。なのに。
(俺今……舐めて、もらおうと、してた、?)
自分の考えに血の気が引いていく。反して頬が熱い。なにを考えてんだ。なんてことを。まさか。そんな。
「あ、ヨンベ、この前のさー」
ヨンベの方に駆け寄っていく彼の声を聞きながら、懸命に絆創膏を剥がす。が、指先が震えてうまくいかない。
(俺、期待してたんだ、今)
あの舌の熱さを。
今までとは違う、自分の思考に対しての恐怖が心に小さいシミを作った気がした。
なんだか目がごろごろする。痒い。あと40分後にはライブが始まるというのに。つけたコンタクトが合わないのだろうか。
「ヒョンどうしたんですか?」
目をしぱしぱとしていると、テソンが心配そうに覗き込んできた。
「あー…なんか、目がごろごろして…」
「え?大丈夫ですか?」
「なんかゴミでも入っちまったかな」
「見ましょうか?待ってくださいね」
持っていたコーヒーを置こうとしたテソンの横から、ひょっこりとジヨンが現れる。
「俺が見てあげるよ」
「ぇ、ぁ…」
「どれどれ」
ジヨンが顔を近づけてきた。思わず身体に力が入って肩が跳ねる。
「あー…あったあった。これかな?」
ゆっくりと近づいてきた指先に目をギュッと瞑ってしまった。もどかしいほどの優しい手つきで、ジヨンが俺に微かに触れる。思わずビクッと身体を揺らしてしまった。
「まつ毛にゴミついてたよ」
「あ、ありがとう…」
「タプヒョンまつ毛長いですもんね〜羨ましい」
テソンの言葉に、曖昧な笑みで返す。
「ごめん、痛かった?」
「え?」
「身体跳ねてたから…ごめんね、気をつけてはいたんだけど」
『この目が俺だけを見てくれたらいいのに』
『他のやつなんて映さないようにさ…』
『潰しちゃおっか?』
「ぇ、あ…いや、大丈夫」
「そう?ならよかった」
そう言って離れていく彼に、大きく息を吐き出した。少し痛む頭を抱える。
全くといって、ジヨンの指先は俺に触れなかった。微かに、最低限、ほんの少しまつ毛に触れただけ。俺の目を傷つけないように、優しく。そうだ、それが当たり前のはずなのに。
(……なに考えてんだ、俺)
あの日、瞼越しに眼球を撫でられた指を思い出すなんて、どうかしてるだろ。
心に作った恐怖のシミが、じわじわと広がっていく。
ツアーが終わり、俺たちは久しぶりに飲んでいた。明日も休みだからみんないつも以上に酒が進む。最初に乾杯をしてからもう何時間経って、どれほどグラスを空けただろう。
「次何飲もうかなー」
「いやジヨンヒョンペース早すぎ…」
テソンはもう呂律が回ってないし、スンリはさっきからよくわからないことで笑ってる。あまり飲まないヨンベはツマミでとった唐揚げをひたすら食べていた。
久しぶりのアルコールで脳の奥がふわふわする、のに。俺はどこか酔いきれていなかった。ここ最近ずっとそうだ。いくら飲んでも酔っ払うこともないし、夜だってうまく寝れていない。どこかおかしい。心がずっとざわざわして、落ち着かない。
「今日のスンリのMC、いつも以上にすべってたなー」
「ちょ、ヨンベヒョン!なんてこと言うんですか!酷い!」
うえーんと大袈裟な嘘泣きをするスンリを見ながら、ヨンベが面白そうに笑っていた。そんなスンリの頭をよしよしとジヨンが撫でる。
「あ〜泣かないでスンちゃん〜。スンちゃんが、いつも頑張ってすべってるのは知ってるからさ〜」
「おーい!全然慰めてないですそれ!」
「あはは!うそうそ!冗談!スンちゃんはいつも面白いよ〜」
「全然心こもってない!」
「ほらほら拗ねないで?ヒョンが慰めてあげるから」
ジヨンはそう言うと、スンリの頬を掴んでむちゅっと唇を塞いだ。
「ーーっ!」
俺は思わず固まった。ビシッとなにか背筋に走って、動けなくなった。
「んーー!」
「…ぷはっ」
「ちょっと!ジヨンヒョン酔すぎ!おえ!」
「おえって!酷くない!?」
ギャーギャーと騒ぐスンリの声が遠くに感じる。ジヨンは笑いながら、もう一度両手でガシッとスンリの頬を掴んだ。
「ほら、ヒョンがもういっかいしてあげる〜」
『その唇が他のやつに触れたかと思ったらいても立ってもいられなくてさ』
「なん、で…」
なんで、なんでなんで。
お前、なにしてんの?なんでスンリにキスしてんの?お前、そう言ってたじゃん。俺が他のやつにキスしたら妬けるって言ってたじゃん。消毒だって。俺の唇はお前のものだって、そう言ってたじゃん。なのに、なんで。
「わー!やめてください!」
「ほらほら、恥ずかしがらないで?」
ジヨンがゆっくりとスンリに顔を近づける。20センチ、15センチ、10センチ、5センチ。徐々に、徐々に。
「待っ…!」
ガタッと大きい音がして、みんなの目がこちらに集まった。隣にいたテソンが慌てたように声を上げる。
「わ!タプヒョンなにしてんですか!」
「ぇ?ぁ…」
テーブルの上にぶちまけられた氷と酒。倒れたグラス。びしゃびしゃの皿。俺が手を引っ掛けてグラスを倒してしまったということをやっと理解した。
ジヨンを止めようと、伸ばした手にあたって。
「あ、ご、ごめ…」
「タプヒョン大丈夫ですか?服濡れてない?」
「俺拭くものもらってくるな」
「すまん…、」
とりあえず近くにあったおしぼりであたりを拭く。その手がガタガタと震えていた。ふわふわとしていた脳が一気にさめていく。
「珍しいですね、タプヒョンが」
「ちょっと〜ヒョン飲みすぎじゃないですか〜?」
ゲラゲラと笑いながら、スンリも拭くのを手伝っている。布巾をもらって戻ってきたヨンベが、新しいおしぼりを差し出してくれた。
「はい。服も濡れちゃってるでしょ?」
「え、あ、ありがとう…」
甲斐甲斐しく片付けてくれている弟たちの奥、ジヨンは従業員に声をかけていた。やがて運ばれてきた水を俺の前に置く。
「ほら、1回水飲んで?」
「あ、ああ…」
情けない。自分が。恥ずかしくてぐちゃぐちゃになりそうだ。
だって今、俺は確実に嫉妬していた、スンリに。そして求めていた、ジヨンの唇を。
(俺、変だ…、)
じわじわと、心が蝕まれていく気がした。
「タプヒョン」
ヨンベに声をかけられ振り返る。そこには心配そうな顔をした彼がいた。
「…なんだ?」
「大丈夫?なんか最近…痩せた?」
「え?」
「すごい細くなった。ちゃんと食べてる?」
そう言われ頬を撫でる。昔から痩せると顔に出やすかった俺は、たしかに少し頬がコケた気がした。
心当たりが、ないわけではない。ちらっとジヨンを目で追う。そう、気づけば最近俺は彼を見てしまっていた。あんなに怖くて逃げたかった彼を。彼のあの目を、求めてる。
「…そう、かな」
「うん。すごい分かるよ」
「たしかに、顔も小さくなりましたし、首あたりもすごい細い。体調悪いですか?」
「いや、別に…」
そう言いながら鏡を見た。そこに写った自分に微かに顔を歪める。痩せた上に顔色も悪かった。
ふと視線を下げる。テソンに言われて気になったそれ。首が細くなった。喉仏も筋も浮き上がる程に。
(これなら、あの首輪も入りそう)
そう考えてからハッとした。俺は今なに考えてた?首輪?あのジヨンに見せられた、あれだよな。それを思いながら、なにを考えた?あれが入りそうだって、そう考えてたよな。
「……タプヒョン?」
俺を呼ぶヨンベの声が耳に届くことはなかった。鼓動が速くなっていって、背中を嫌な汗が流れて、身体が震えた。
(俺……、おかしく、なってる、?)
おかしい。狂ってる。
だって、これじゃまるで。
「ー!」
鏡越しに、ジヨンと目が合った。彼はなんの感情もないような顔でこちらを見たあと、くるっと背中を向けてどこかへ行ってしまった。
「…ぁ、なんで、」
口からこぼれ落ちた。震えた声が下に落ちていく。
なんで、見てくれないの。あの目で、また俺を。なぁ、俺首が細くなったよ。あの首輪、今ならできる。したいって、つけてほしいって、言ってたよな?今は思わないの?ねぇ、ジヨン。行かないで。
俺は振り返って、出て行く彼の背中をいつまでも見つめていた。
「……なあ、ジヨン」
「ん?なーに?」
荷物を持って帰ろうとした彼を引き止めて、人気のないトイレまで連れてきた。久しぶりの2人きりの空間。あんなに怖くて嫌だったのに、今は全く。
「俺…なんかしたか?お前に」
それは、不覚にもあのときと同じセリフ。初めてジヨンを問いただしたあの日。告白されたあの日。俺のこの言葉から全てが始まった。
でもあのときとは違う。状況は真逆と言っても過言ではない。あのときは、なぜ彼があんな瞳で俺を見つめてくるのか、疑問と少しの恐怖で聞いた。
「……んふふっ」
今は違う。なんであの瞳で俺を見つめてくれないのか。俺は今そう思ってる。
「なにそれ、そんなことないけど」
「…っ、」
あのときなら、きっとホッとしていた。この言葉を求めていたから。でも今は違う。目の奥が熱くなって、思わず顔が歪む。
「なんで、なんで…っ、」
「…」
「ちがう、だって…」
なにを言っているのか自分でもわからなかった。勝手に溢れ出た涙で視界がぐちゃぐちゃだ。視界だけじゃない、心もなにもかも。
「あんなに、俺のこと、求めてきたのに…あんな目で、俺を見てたのに…今は、全然…全部なかったみたいに、忘れちゃった、みたいに…」
「…」
「自分のものにしたいって、言ったくせに、なんで、今はもう、俺のことなんて…ぜんぶ、なかったことになってるのか?お前の中で…なあ、ジヨン、」
支離滅裂もいいとこだ。ジヨンはしばらく黙ったまま俺を見つめていたが、ゆっくりと手を伸ばすと俺の顎をグイッと掴んだ。
「ぐ…っ、」
「タプヒョンさー、自分でなに言ってんのかわかってんの?」
指に力が入っていく。皮膚に食い込んだ爪が痛い。
「い゛…っ」
「俺のこと、おかしいって言ったよね?狂ってるって。俺の愛を否定したよね?」
そうだ、俺はあの日お前を拒絶した。怖くて、突き放した。それなのに。
ジヨンの言ってることは間違ってない。そう、間違ってない。間違ってるのは俺。全部全部、悪いのは全部、俺の方。
「ご、めんなさ…っ、」
目尻から涙が零れる。頬を伝ったそれを見ながら、ジヨンが手を離した。
「ぅ…っ、」
「………タプヒョン」
彼がその離した手で、今度は俺の濡れた頬を撫でた。先程とは似ても似つかない、優しい手で。思わず見た彼の瞳は、あのときと同じ。どこか冷たく見えるのにその奥には熱が含んでるような、獲物を狙う蛇のような、じっとりとして、ねっとりとして。
そしてなによりも俺が求めていたそれ。
(俺、おかしくなっちゃった、)
ガタガタと全てが崩れていく。心が壊れていく。真っ二つに避けて、黒くて深い闇に落ちていく。
それでもいい、なんて。
「………ジヨン、」
「なーに?」
「もっと、俺を…………壊して、」
壊して、ぐちゃぐちゃにして。そしてもう二度と離さないで。
「ジヨンの、愛で、俺を…、」
にゅっと細くなった目。嬉しそうに微笑む彼に、身体がぞくぞくと疼いた。
ぐちぐちという水音が部屋に響く。頭がボーッとしてなにも考えられない。熱い。頭も身体もなにもかも。
中に入った指が蠢く度に身体が跳ねて、そんな俺を見る度ジヨンが嬉しそうに微笑んだ。
「ひ、ぁ、あ…っ」
「タプヒョン、きもいい?」
「ん、きもち、ぁ…いっ〜ぅ、」
泣きすぎて真っ赤になった目に彼が優しくキスを落とす。そしてそのままその唇が頬を撫でて、ゆっくりと喉仏にキスをした。
「ぁっ、」
「細くなったね、」
首筋を舌が這う感触に背中がぞくぞくとした。彼が徐々に歯を立てていく。
「い…っ!」
「タプヒョン」
めり込んでいくその痛みに後ろが疼いて仕方ない。息がしづらくて苦しいのに、信じられないほど気持ちいい。
「…ぁ、ぃる?」
「ん?なーに?」
「これな、ら…はいる?」
はくはくと懸命に口を動かして伝えた言葉。ジヨンはわかっているようで、嬉しそうに微笑んだ。そして左手で器用にベッドの脇にある棚の引き出しをあけると、それを取り出して俺の目の前に掲げた。
「…これのこと?」
「あっ、」
自分の意思とは関係なく、ギュッと彼の指を締め付けてしまう。
「ははっ…今すごい締め付けたでしょ?ギューって」
ワインレッドの革でできたベルト。少し細めのデザイン。エメラルドグリーンの宝石が1つはめ込んである。
「ねぇ、どうしてほしい?」
「ぁ…つ、けて…つけたい、つけて、じよん」
「……かわいい」
ジヨンはゆっくりと俺の中から指を抜くと、左手に持っていた首輪を、俺の首に嵌めた。冷たい革の感触が熱い身体に心地いい。
「似合ってる。すっごく」
「…に、あってる、?」
「うん。もう俺のものだね。俺だけのヒョン」
「じよん、の?」
「そうだよ」
彼は下着を脱ぎ捨て、勃ち上がったそれを俺の秘部にぴったりとくっつけた。
「ほら、言ってみて。自分で」
「ん、ぁ…」
「君はだれのもの?」
汗の浮かぶ額にジヨンがキスをする。たまらずその背中に腕をまわした。
「じよんの、」
「もっと」
「じよんの、もの、」
「うん」
「じよんの、もの、おれは、じよんの、」
「うん、そうだよ」
その声と同時に、ぐっと中に入ってくる感覚がして思わず顎が上がった。背中が弓のようにしなる。目の奥がチカチカとして腰が痙攣した。
「あ゛、ああぁ、あっ!」
感じたこともない質量のものがお腹を満たして苦しい。のに、とてつもなく気持ちいい。熱い。火傷しそうだ。
「ぅ…」
「あ、ん…っふ、ぁ」
ジヨンが腰を動かしていく。肌のぶつかる音が聞こえて、腕も足も彼に絡めてぎゅっと抱きついた。
「あ、ぁあ〜っ、ん、や゛!」
「はぁ…は、たぷひょん、」
「ぅ、あ…じよ、じよんっ」
口から垂れた涎が顎を伝って枕にシミを作る。なにも考えられない。ジヨンのことしか、考えられない。
「ほら、タプヒョン…言って、?」
「ぁ、ああっ、」
「君は、だれのもの?」
「ぁ、う…じよんの、おれは…ん、じよんの、もの、れす…っ、」
「俺しかいらない?」
「う、ん…じよんしか、いらない…じよんだけでいい…ぁあ、ん゛っ!」
「…ふふ、俺も」
壊されていく、なにもかも。彼に全て。
俺が望んだ。
「あ、あん〜…っ!ぐ、ぉ…あ゛あ!」
「はぁ…ん、」
「い、く…も、や、だめ…ぁ、いっちゃう、いく…っ!」
首輪が擦れる。その感触さえ愛おしくてたまらない、なんて。
「うん、いっていいよ?」
「あ、ぅ…ああぁ、んん゛…っ!」
奥を突かれた瞬間、頭が真っ白になる。涙でぼやけた視界でジヨンの微笑む顔を見ながら、俺は意識を手放した。
次の日から俺はあの首輪をつけたまま。俺がジヨンのものだという証。身体も心もなにもかも全て彼のもの。
周りは心配そうな目で俺を見た。でも、誰もこのことには触れなかった。なんとなく触れてはならないという不穏な空気が漂って、誰1人聞いてくることはなかった。
SNSは荒れた。それもそうだ、片時だって俺はこの首輪を離さなかったから。ライブでも、テレビ番組でも。基本的に俺はあまり肌の露出しない服を着るが、それでも不意にこの首輪は見える。ワインレッドの革でできた少し細めのデザイン。エメラルドグリーンの宝石が光る。様々な憶測が飛び交って、俺を心配する声や気味悪がる声が後を絶たなかった。
それでも、いい。
ジヨンが望むなら。
「俺、おかしいかな」
定期的に彼に聞いては、彼は微笑んで俺の頭を撫でた。骨ばって細いのに男らしい手。
「おかしくなんかないよ?似合ってるし。タプヒョンが俺のものっていう証。俺だけのタプヒョンだっていう」
「…」
「それとも、ヒョンは…嫌?」
俺は頭を横に振った。擦り寄るように彼に抱きつく。
「嫌じゃない」
「…そう、ならよかった」
「嫌じゃない。ジヨンのだから…ジヨンがいいならそれでいい。もう、ジヨンしかいらない」
「……うん、俺もだよ」
もう俺は戻れない。元の俺には。どんどんと落ちていく。甘くて暗い沼は永遠と続いていて、その深みに嵌ったら最後二度と抜け出せない。
(……それでも、いい)
例えこの先に地獄しかなくても。お前と落ちるなら、地獄でも構わない。
意識を手放した彼の中からゆっくりと抜ける。トップの後を追うように果てた欲が溢れ出してなんとも卑猥だ。
「……ふふっ」
涙でぐちゃぐちゃになった顔を撫でて、そのまま首を指先で触れる。嵌めた首輪はぴったりで、想像以上に似合っていた。
「やっと、堕ちてくれた」
もう離さない。2人で地獄に落ちていく。君となら、どこまでも。
「……愛してるよ、タプヒョン」
その愛がいつか、なにもかも全てを食い殺す。果たしてそれは俺が先か、君が先か。
皆様お付き合いいただきありがとうございました!いや長っ。何文字書いてんねん。わたしの感覚になりますが、今回は話の流れ的に話を区切ると流れが止まりそうな気がして1話にまとめてみましたが、長い。飽きるぞこれ笑
1回は書いてみたかった共依存系ジヨタプ。共依存になってるかどうか微妙なところですが、2人を狂わせたかった。
ふわふわしたらぶいきゅるっとした2人もいいけど、あたおか系狂った2人もいいですよね。
あとそろそろネタ切れ注意報きました。わたしの頭じゃもう限界近い。
読んでくださりありがとうございました♡
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コメント
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😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭本当に天才です😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭ほんとに😭😭😭😭😭
こういうどろどろな2人もいいですねぇ〜💗😇
最初から最後までとち狂ってて大好きです。語彙力なくて伝わるかわからないけど同じセリフ言ってどっちも想像と違う答えがかえってくるのなんかすごい感動しました、頭良すぎて‼️‼️もし良ければ、初恋してるみないな甘々なふたりが見てみたいです🤤🤤