「 呪 っ て 、 愛 し の 黒 猫 サ ン 」
attention
# 空白なし
# 一次創作
# 手抜きクオリティ
オトナに成る為の定義。
その中には、青い春への絶望も含まれているのだろうか。
出逢い、堕ちて、別れて、消えて。
フツウに成りたい私達の青い春は、
きっと何処かへ舞い散って。
憎んで、嘆いて、呪って、愛して。
フツウに成れない私達の青い春は、
きっと瞬く間に過ぎ去って。
砕けて、朽ちて、壊れて、荒んで。
私は君に囚われたまま、
残り時間を費やすだけ。
君からの愛なんて、今更求めてないよ。
一方通行な想いでも、愛を綴らせてくれれば、それでよかった。
ただ、ほんとそれだけ。
それを君が死ぬ前に、
言わせて欲しかった。
見渡せば、君がいる気がする家で、
一人寝転ぶ、ベッドの上。
夏の残り香の匂いがする九月、
君の匂いを探してる。
欠伸が出る程、フツウな日常。
君が消えて、居なくなって、ようやくフツウに成れた気がした。
君のせいでできた、心の穴も
きっとその内塞がるだろう。
でも
ほんと時々
ふとした瞬間に
塞いだ穴の隙間から、
少しずつ幸せが零れていく。
淋しさと、哀しさと、少々の愛しさを
吸って、吐いて、求めて、離して。
それを機械のように繰り返して。
「 … なぁに? 」
前に拾った、黒猫を撫でて、
零さないように、そっと抱きしめて。
この黒猫が、君の生まれ変わりならどれ程幸運だろうか、なんて。
そんな戯言も考えて。
この黒猫に、君の面影を探してしまう。
駄目だね、もうオトナなのに。
君から抜け出さないとなのに。
心では解ってる。
君の呪いを解かないと、って。
でも体が、頭が。
一向に追いつかない。
追いついて、くれない。
いつか、君を忘れるんじゃないか。
という恐怖が頭を過り、
ずっと、君を忘れられないんじゃないか。
という不安が心を縛る。
いっそ、呪って欲しかった。
君の呪いで、私を縛って欲しかった。
君を愛したっていう、呪いが欲しかった。
「 ばかだね、私 」
心の穴の隙間から、零れ堕ちた宝石と
それを癒すように舐める黒猫と
その眼に映る、君の面影に
ただ虚しくも、呪われた。
_ ¿? side
湿ったダンボールの中で、独り泣いていた。
そんな俺を拾ったのは
一匹のやつれた女だった。
よく泣いて、よく凹んで、よく笑って。
愛しい誰かを俺越しに見ているような瞳が、ただ仄かに煌めいて。
そっと俺の頭を撫でる白い手には、哀愁が残っていて。
放っておけずに擦り寄ると、少し彼女の頬が緩んだ気がした。
それが、どうにも嬉しくて。
だから、泣いて俺に抱きついても、抵抗しないでやった。
抵抗する気も、失せてしまった。
幽世より、生まれ変わって
いつまでも、隣に居たいと
そう想ったのは、
前世も、今世も、お前だけ。
声帯から盛れた、間抜けな自分の声。
まあこの声も、悪くはない。
end .