キスで熱を交わした後、若井は元貴の頬をそっと撫でた。
震える吐息を感じ取って、耳元に低く囁く。
「……元貴、下、降ろすよ」
その言葉に、元貴の身体がピクリと跳ねた。
耳まで真っ赤になり、息が詰まったように震える。
「……っ、せ、先生……」
若井はそんな声に、余計に煽られる。
でも乱暴にはしない。
そっと腰を抱き寄せて、元貴のベルトに手をかけた。
「……怖い?」
その一言に、元貴は目を潤ませたまま首を振る。
「……いえ……怖くは、ないです。
……ただ、すごく……恥ずかしくて……」
か細い声で、言葉を繋ぐたびに吐息が震える。
視線が泳ぎ、唇が微かに震える。
目元には涙が滲み、頬が熱で真っ赤だった。
若井はそんな元貴を見つめ、喉を鳴らす。
目を細め、息を荒げた声で押し殺すように囁く。
「……めっちゃかわいいじゃん。
……俺、もうムリかも」
苦しいような声だった。
自分を抑えるのに必死な若井の表情に、元貴は胸が締め付けられる。
若井の手が、ゆっくりと腰のベルトを外し始める。
金具が外れる音が、部屋にやけに響いた。
指先が布越しに下腹をなぞり、元貴の身体がびくっと震える。
「……っ、せん、せい……」
弱々しく漏れる声。
吐息が熱く、短く切れる。
若井はその声を逃さないように耳を寄せた。
「……大丈夫。俺がちゃんとするから。
……痛くないようにする。安心しろ」
そう言いながら、手はゆっくりと下へと進む。
初めて他人に触れられる感覚に、元貴の身体が勝手に震えた。
「……っ、あ……」
吐息が漏れる。
唇が微かに開いて、甘い声を押し殺す。
若井の手が動くたびに、喉が上下して息が詰まる。
頭の奥に、過去の自分が蘇った。
(……俺、今まで何回も……若井先生のこと、思いながら……)
自分の手で、何度も何度も。
思い浮かべた若井の声、目、触れたい感覚。
全部が、今、目の前に現実になっていた。
「……先生……俺……っ」
途切れ途切れの声が、熱に溶けていく。
若井はそんな元貴をしっかりと抱きしめた。
「……元貴。お前が欲しい」
その低い声が、耳の奥に深く響いた。
薄暗い部屋に、2人の荒い吐息が絡む。
キスで蕩けた唇を離すと、若井は伏し目がちに元貴を見つめた。
その視線が熱くて、痛いくらいだった。
「……下の名前で呼んでよ、元貴」
低く囁くその声が、耳元を痺れさせた。
元貴は目を揺らし、息を詰めた。
「……っ、せん、せい……」
「……名前。滉斗って呼べ」
それを言いながら、若井は元貴の身体をそっとベッドに押し倒した。
優しくも、逃げられない力強さ。
そしてゆっくりと視線を下へと這わせていく。
「……や、だ……恥ずかしい……」
「可愛いこと言うな」
若井の手が、もう一度元貴の腰を抱いた。
震える脚を開かせるように撫で、布越しの熱を感じ取る。
そして、ゆっくりと下へと口づけを落としながら進む。
「……ひ、ろ……と……っ」
微かに震えた声が零れた瞬間、若井の目が潤んだように見えた。
「……いい子」
そう呟いて、若井は元貴の熱を覆うように、口に含んだ。
「……っ、あ、ああ……っ!!」
途端に全身が跳ねる。
頭の奥が真っ白になるほどの感覚。
今まで自分の手でしか知らなかった快感が、他人の、若井の口で与えられる。
「……や、だ、そ、んなの……っ、あっ、や……!」
声が抑えられない。
途切れ途切れに泣き声が混じる。
若井はそんな声を聞きながら、舌を使って優しくも執拗に弄った。
吐息を漏らし、唇で啜り、舌先で先端を撫でる。
「……っ、ああっ、だめ、だめ……っ!!」
腰が勝手に浮き上がる。
若井の頭を手で掴む。
指先に力が入る。
「……っ、滉斗……ひろ……と……っ!」
呼んだ瞬間、若井の動きがさらに深く、熱を帯びる。
口の中に飲み込まれるような感覚に、理性が焼き切れた。
「……っ、もう、や、あっ……ああ……っ!!」
最後の声が泣き声に変わった瞬間、身体が痙攣する。
全身を貫くような快感が、波のように襲った。
視界が滲み、涙がこぼれる。
若井はその全てを受け止め、離れることなく包み込む。
「……かわいい声、たくさん聞けた」
その低い声に、元貴は恥ずかしさでまた目を潤ませた。
「……ばか、先生……っ」
「滉斗って呼んだくせに」
「……うるさい……」
若井はくすりと笑いながら、頬を撫でた。
コメント
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すごい…2人の関係性そこまでいっちゃったんだ…。 でも、やっぱり何処か切ないのがいいんだよな…。 (余談ですが、良ければこの短編集宣伝させてほしいです!!)