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飴色の照明が室内を怪しく照らす。ケバケバしい壁紙に、安物の消臭剤の香り。天井に備え付けられたエアコンが、虫の羽音のような音を立てながら、生温い風を吐き出す。
一糸まとわぬ姿の美緒は、大きなベッドの上で仰向けで寝転ぶ圓治の股間に顔を埋めていた。
大きくなったペニスを、その口に咥える。
「ハァ……」
圓治の口から熱い溜息が漏れる。
美緒は、口をすぼめ、一心不乱に顔を上下させる。
心の中がざわついていた。
こうして、圓治とセックスをしていても、心が休まらない。
そもそも、美緒の人生で、一度として心が休まった時などあっただろうか。過去を振り返ってみても、思い浮かばない。
心が休まるとは、どういったことだろうか。リラックスしているという事だろうか。それとも、安心できるという事だろうか。
多分、後者なのだろうと、美緒は思う。
家にいても、美緒は心の休まる時がない。
自分勝手でヒステリックな母親。
彼女は美緒の話を聞くこともなく、全てを自分の思い通りにしようとする。意にそぐわないと、理不尽にがなり立てる。
昔は、自分が悪い。母の言うとおりに出来ないのが悪い。そう思っていたが、美緒も成長するにつれ、世間が見えてきた。
間違っているのは、美緒ではなく母親だった。彼女は、俗に言う毒親というものだった。美緒が幼い頃からそうだったのか、それとも、離婚してからそうなったのか、美緒には分からない。だが、彼女が世間の常識からずれているのは理解できた。
いつしか、美緒の心は母から離れていった。
あんな母にはなりたくない。
あんな女にはなりたくない。
母の顔を見る度、美緒の胸中にはそんな思いが巡る。
どうして、こんな家に生まれてきてしまったのだろう。
美緒は答えのない問いかけを繰り返す。
「今度は美緒を気持ち良くするよ」
圓治と体を入れ替え、今度は美緒が仰向けになる。
少し硬いベッド。
目を閉じれば睡魔が忍び寄ってくる。
圓治といるこの空間。
これが美緒が落ち着ける場所だ。
だが、本当にそうなのだろうか。
「んっ……!」
下腹部に潜り込んだ圓治が、美緒のヴァギナを丁寧に舐める。勃起したクリトリスを刺激し、そのすぐ舌にある尿道口に舌先を這わせる。
「ううっ……! ちょっと、ダメ、出ちゃう!」
尿道から奔る微かな痛み。
美緒は圓治の頭を押さえつけ、唇を噛んだ。ゾクゾクと背筋を登ってくる快感に耐えながら、今、この瞬間のささやかな幸せを享受しようと努めた。
美緒の弱いところを知り尽くしている圓治は、的確に美緒を快楽へと誘う。
セックスは気持ちが良い。誰かとこうして肌を合わせているだけで、自分は一人ではないと感じられる。
美緒がセックスにはまった理由は、そこにあったのかも知れない。誰かと一緒にいたい。自分を見てくれる人の側にいたい。その一心で、美緒は圓治に尽くしている。彼と一緒に、快楽を貪っているのだ。
執拗な愛撫により、美緒の体は圓治を受け入れる準備を整えていた。充血したヴァギナは、圓治の唾液と分泌された愛液によってぐしょぐしょに濡れていた。
「来て! 圓治、私の中に来て……」
「入れるぞ……」
慣れた手つきでゴムをつけ、圓治は美緒にのし掛かるようにしてペニスを挿入した。
十分に濡らされたヴァギナは、すんなりと圓治のペニスを受け入れる。
「ウッウッウッ」
圓治の腰の動きに合わせ、小さな呻き声が口から漏れる。
一突きされる度、下腹部から波のような快感が全身に響き渡る。
「圓治……」
美緒は圓治の体を抱きしめる。
自分の存在を刻みつけるように背中に爪を立てる。
「ああ、いい……、美緒、今日は積極的だな」
圓治が動く度、美緒はヴァギナでペニスを締め上げる。美緒が力を入れると、圓治の眉がピクリと動く。彼も気持ち良いのだろう。
「うん……」
何故だろう。圓治に抱かれているというのに、フワフワと気分が浮ついている。体は快楽を教授しているというのに、心がざわついている。そのざわめきを沈めるために、美緒はより深く、より強く圓治を求めた。
「もっと激しく突いて」
力の限り圓治を抱きしめ、それに圓治が応えてピストンのスピードを上げる。
徐々に快楽のボルテージが上昇し、最後に弾けた。
美緒の中でペニスが一際膨張し、直後に脈打つ。それと一緒に、美緒を今まで以上に強い快楽の波が襲いかかる。
「ウッ! イクッ――!」
激しく唇を合わせながら、美緒と圓治は同時に果てた。