テラーノベル
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「……じゃあな、橘。また明日」
図書室を出て校門を抜けると、蓮は少し先を行くゆうの背中に声をかけた。
西日がオレンジ色に染める帰り道。昨日の雨が嘘のようにすっきりと晴れ渡った空の下で、二人の影が長く伸びている。
ゆうは足を止め、振り返ると嬉しそうに目を細めた。
「『また明日』って、明日も図書室に来てくれるんですか?」
「……おう。約束したからな」
蓮は少し照れくさそうに頭をかきながら、ゆうの隣に並んだ。
中学時代、喧嘩と孤独の中にいた自分。高校で過去を隠し、誰とも深く関わらないように過ごしていたはずだった。けれど、目の前で微笑むこの後輩は、自分の過去も素顔もすべて知った上で、まっすぐに自分を選んでくれた。
「僕、本当に嬉しいです。先輩が逃げないで、こうして隣を歩いてくれて」
「……お前が逃がしてくれねえからだろ」
呆れたように呟く蓮の言葉に、ゆうはくすりと笑う。その笑顔には、いつもの恐ろしいほどの執着心と、年相応の純粋な愛おしさが同居していた。
ゆうがそっと手を伸ばしてくる。今度は強引に掴むのではなく、伺うように蓮の指先に触れてきた。
蓮は小さく溜息をつくと、自分からその手をとって指を絡めた。
「……握りづらいだろ。ちゃんと繋げ」
不器用な蓮の言葉に、ゆうは一瞬驚いたように目を丸くしたあと、これまでで一番眩しい笑顔を咲かせた。
「はい! 大好きです、蓮先輩」
「……わかったから、静かに歩け」
元ヤンとしての強がりも、図書室の静けさも、すべてを優しく包み込んでいく夕暮れ時。
手をつなぎながら並んで歩く二人の新しい日常は、これからもずっと続いていく。
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コメント
1件
よかった、完結したんですね……! 蓮が自分からゆうの手を取って「ちゃんと繋げ」って言うシーン、もう胸がぎゅっとなりました。不器用なりに歩み寄ろうとする姿と、それに応えるゆうの眩しい笑顔が夕暮れにぴったりで、あたたかい気持ちで読み終えました。お疲れさまです、素敵な最終話をありがとうございます!