「おぃっ…シン。ここ立入禁止だぞ…」
シンは湊を教室に入れると、扉の鍵を閉めた。
「お前…何やって…」
「ねぇ…湊さん…」
シンが近づいてくる。
「なんだよ…!」
湊は後ずさりをする。
「本当はこの姿湊さんだけに見て欲しかった…」
壁際まで下がると
「女子からの熱い要望なんだろ?」
「湊さんはどう思う…?」
付けていた手袋を外す。
「どう…って…似合ってるよ…」
近づいてくるシンの顔から湊は目をそらす。
「湊さんの好みになってる…?」
シンは両手で壁を押さえ湊を囲う。
「シン…手…どかせ…」
「いやだ…って言ったら?」
「……」
「俺の事少しは意識してくれてる…?」
「シン。いいかげんにしないと本気で怒るぞ…」
「湊さん答えて…」
片方の手で湊の頬に触れる。
「やめろって!誰か来たら…」
「誰も来ませんよ。ってか、誰かに見せつけてやりたいかも…俺はあんただけのもんだって…」
「ばか。ここは学校だろっ!」
「じゃあ、あんたの部屋に入れてください」
「はぁ?」
「こうでもしなきゃ、あんたと2人きりにはなれない…」
「…部屋には入れない」
「どうして?」
「……」
「また…黙るんですね…」
「……!」
シンは湊の首筋に唇を近づける。
「シン!やめっ…」
「ここであんたを押し倒してもいいんですよ…」
「お友達は…そんな事しねーって…」
「俺は今執事なんで…忠誠心誓った主人に歯向かう反逆者…ってところですかね…」
「ふざけるなよ…」
「ふざけてるのはあんたの方だろ…」
「お前…何言って…」
「俺だって好きな人に触れたいし…キスしたい…それ以上だって…」
「……いいかげんしろっ!」
シンのおでこをペシッと叩く。
「って……」
「お前の気持ちはちゃんとわかってるよ。でも、今はだめだ…」
「学校だから…?」
「学校だからとか…お前が高校生だからとかじゃなくて…俺自身の問題…」
「……」
「約束したよな。俺の隣はきちんと空けておくから。今お前は目の前に迫った受験に集中しろ…」
「わかりました…でも…今はこれだけでも…」
そう言って湊を抱きしめる。
「あんたに会える時間が減ってすごく不安だった…あんな約束忘れてしまったんじゃないかって…」
「こう見えても俺はきちんと約束は守る方だぞ…」
「知ってます…俺が勝手に不安になって弱気になって…あんたを独り占めしたくなった…」
いつもは強がっているくせに、自分の前だけで弱音をはくシンを湊は愛おしく感じた。
「お前の事はちゃんと考えてるから…とりあえず今は…」
シンの腕を掴み
「この手を離せっ!」
振り払うとシンから離れた。
「あんた…ずりぃよ…」
「はぁ?」
シンはしゃがみ込むと頭を抱えて
「はああ……そんなん言われたら余計あんたの事しか考えらんねーだろ…」
「うっせーよばーか…笑」
暫くすると、遠くから声が聞こえる。
「香月〜!」
クラスメートがシンを探していた。
「シン呼んでるぞ」
「もう少しあんたと2人きりでいたかったのに…」
「そろそろ時間なんじゃねーのか?」
「みたいですね…」
「行かなくていいのか?この後、後夜祭だろ?」
「後夜祭はパスします。湊さん待ってて…着替えてくるから」
「俺はもう帰るよ」
「一緒に来て欲しい所あるんです」
「…? 」
「久しぶりに来たな~10年ぶりか…変わんねーな」
シンが湊を連れて来たのはプールだった。
「湊さんここで泳いでいたんですよね」
「頑張り過ぎて膝壊して大会には出られなかったけどな…笑」
湊は裸足になりプールに足をつける。
「やっぱ冷てぇ〜笑」
「……」
「ん?どうした?」
「…まだ完治してないんじゃないんですか?」
「…えっ?」
「膝。まだ痛むんでしょ?」
「どうして…」
「あんたよく躓いていたでしょ?もしかしたら…って」
「良く見てんな…笑」
「もう泳げないんですか?」
「本格的には無理だな…」
「病院通ってるんですか?」
「あぁ…時々痛み止めもらいに行ってるよ」
「治らないんですか?」
「医者には手術した方がいいって言われてる…」
「しないんですか?手術…」
「こぇーからな…笑」
「俺の主治医の先生のとこ行ってください」
「お前の?」
「桐原先生。俺の腰の手術してくれた先生です。桐原先生なら親身になって話聞いてくれるから信頼できます」
「ありがとな…考えとくわ…」
「本当は俺があんたの事治してあげたいけど…」
「お前はまだ大学すら受かってねーだろ。笑」
「そうですね…」
「期待してますよ。香月先生。笑」
「きちんと治してくださいね…」
「……はいよ」
その夜、湊は祖父から大事な話があるとリビングに呼ばれた…
【あとがき】
祝50作!そして、なんとフォロワー様も150人目前!!…いいんですか…?汗
第2章 《 イケイケシンちゃん!編》嘘。笑
まだ攻めます。笑
もう一波乱…?あります。
まだ終わりません。
もう少しお付き合いいただけると嬉しいです♪
次はまだ途中なので書けたら投稿しますね。
それでは、次回作でまたお会いできますように…
月乃水萌
コメント
6件
最高です👍 続きが楽しみです☺️((o(。>ω<。)o)) 頑張って下さい💪