コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「そう、僕たちが自ら選んだお客さんたちが、もしも気に入らなかったりすることがあったら、
それは、僕たちの役不足以外のなんでもないからね……だからそんなことは、絶対にありえないから」
天馬が薄桃色をした柔らかな髪を片手でふわりと掻き上げて、真剣な瞳を私へ向ける。
「私たちは、全員がプライドを持ってここをやっていますので……。
お客さまに気に入っていただくことはあっても、気に入らないなどと感じさせるようなことは、誓ってありませんから……」
三日月の低く静かな声音が、私の耳に密やかに響く。
「……わかっただろ?
この店は、俺たち4人のホストが、最上級のもてなしをする、
おまえ一人のためだけの、特別なホストクラブなんだよ……」
銀河が言い聞かせるように、私の瞳をじっと見つめた──。
……ここは、そういう場所だったんだと、改めて気づかされる。
ホストがお客を選び、選ばれたお客だけが夢を見られる場所……それが、『超イケメンホストクラブ』────
「最上級のもてなしっていうのは、おまえだけに、愛を贈るってことだ」
流星から、チュッ…と頬にキスが贈られる。
「うん、最上級の甘い愛を、君へプレゼントするために」
反対側の頬へは、天馬から柔らかな唇を押し当てられた。
「では、私は、あなたの手に、愛の口づけを贈らせていただきます」
三日月が、まるで執事のように私の前に片膝をついて、そっと唇で触れた。
「じゃあ俺は、ここへ、愛の証を贈ろう」
銀河の唇が、私の額に押し当てられた……。
4人からそれぞれにキスを贈られて、夢心地でぽぅーっとしていたところに、
「けどやっぱ、キスは唇にするもんだよな?」
言うなり、流星に唇を奪われた。
「あー! リュウちゃん、抜けがけ〜じゃあ、僕も…チュ」
続けざまに、天馬からキスをされる。
「なんだよ、おまえらがしたら、俺もしないわけにいかないだろう」
銀河が私の顎の先を指先でくっと持ち上げると、唇を重ね合わせた。
「……それでは、ラストは私が……」
艶やかな三日月の唇が迫り、私の唇を塞ぐ。
……どうしよう。それでなくても胸がドキドキしてたのに、もうどうにも収まりそうにもない。
こんなにも素敵な空間を、私にくれるこの特別なカードキーを、やっぱり絶対に手放すことなどはないと、掌に固く握り締めると、
「私を選んでくれて、ありがとう」
精一杯の気持ちを言葉にして、目の前の彼らへ贈った──。
―END―