この作品はいかがでしたか?
30
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目を覚ますと、日が昇っていた。今日も侍組が食糧調達に行くらしい。
「俺もついて行くよ…」
寝ぼけた目を擦りながら体を起こして侍たちについて行こうとした時、ぐいっと腕を引っ張られる。
「はぇ…?」
「だめだ、お前はここにいろ」
ローが俺を引き留める。よく俺におもっくそキスした後で普通に接してるなお前!? 俺は顔を真っ赤にして俯いたまま固まってしまう。
するとローが俺を引き寄せ、俺の前髪をかきあげる。そして額に柔らかいものが触れる感覚があった。
ちゅっという音と共に離れた唇を見てようやく何をされたか理解する。
「ッ、おまっ、お前!! ここ家の中! みんないる家の中ァ!!」
「お前が勝手に外に出ようとするからだろ!」
「だからってキスすることねえだろうが!? お前一昨日からなんなんだよ!! 昨日も隙あらば色んなとこにキスしやがって!!」
「ドフラミンゴを討ち、恩人の本懐を遂げた今、おれはもう我慢する必要がなくなった。」
「いや意味わかんないんですけどォ!?」
「ふふ、仲良しね」
「ロビンさん! これを仲良しの一言で片づけるのはいかがなものかと!? なあ!! ロビンさん!!」
ロビンは完全に面白がっている顔である。いつの間にか侍たちは外出てるし、ローは俺のこと離してくれねえし!! 頭の中が茹だりそうだ!
「お待たせしたでござる」
侍たちが大量の食糧を持って戻ってくる。俺はパンに手を伸ばしてゆっくりと咀嚼する。
ルフィは時折寝ながら食事をしている。器用だなコイツ……。
「ジェディ、それ食いてぇ」
「…はいはい」
ローに時折飯を渡しながら、会話に混ざる。
どうやら国にレベッカの父親がキュロスではなくどこかの国の王子であるという噂が流れているらしい。それを聞いたルフィが起こりながら食べ物を口に詰め込む。次にサボがいなくなったことに泣き出し、かと思えば先に行ったサニー号を追わねばと急ぎ始める。
「起るのか泣くのか急ぐのか寝るのか食うのか1つずつやれ! 忙しねえな!!」
「レベッカの父ちゃんは兵隊のおっさん、ンガァ~……」
「まだ回復しきってねえんだろ! 食い意地張らずまだ寝てろ!」
その嘘を広めたのは誰だとルフィがまた怒りを見せるのだが、どうやらその噂を広めたのはキュロス本人らしい。自分には前科があり、育ちも劣悪だからだと。本来のキュロスは、王族と結ばれてはいけない立場の人間なのだろう。だが、レベッカはどう思う? 手紙で伝えたとは言っても、きっとレベッカは納得しない。
「レベッカには長い間、苦しい思いをさせてしまった。これからは私のような人間とは縁を切って明るい場所で楽しく暮らしてほしい。それが父である私の出来る唯一の償い。君たちが旅発つとき、私もこの国を出ようと思う。レベッカはまだ子供だ。一時の激情で、将来の幸せを逃してほしくない。リク王様にも、ご理解いただいた」
もっともらしい言葉だが、ルフィは全然納得していないようだ。
すると、バンッ――と、俺たちのいる家の扉が勢い良く開く。
「ゾロ先輩!! おお! ルフィ先輩お目覚めになられてんべ! おはようございます!!」
「あ、ロメオ……。あっ、ロメオに麦わらの一味を一気に5人は刺激が……」
案の定ロメオが太陽でも直視したのかってくらい目を細めてそしてなぜか外に向けて土下座し始める。相変わらずあほで、そんでもって元気そうでよかった。
「あ~もしいづが麦わらの一味オールスターズに会っちまった日にゃ、俺ぁとけちまうべ~これ~……」
「さっさと要件を言えよ!」
「おっ、そうだべ! 海軍のテントが騒がしくなってきた。ぼちぼち、ここも危ねえべ。大参謀おつる中将と、前元帥センゴクが到着したべ」
「は~、おつるさんとセンゴクさん……大分豪華だな」
「そんな大物まで何しに来やがった! 帰れ!」
「あの2人は長い間ドフラミンゴを追っていたからな……納得と言えば納得」
その海軍が動き出したらしい。まずいとかいうレベルじゃないぞ。早くここを離れないと一瞬にしてお縄だ。
「海軍が来る、急いで支度しろ!」
「だ~! とうとう来た~!」
「何を今更、逃げる準備はとうに出来ておる。ただルフィ殿が目覚めるのを待っていただけ」
「むしろ何故敵が今まで攻めてこなかったかの方が不可思議」
「しかし参った。船がないでござる」
「……海軍が来たって連絡だけじゃねえよな? ロメオ」
「あぁ。俺らも海軍の動きは随時見張りさつけてた。抜かりはねえべ。ルフィ先輩たづ、案内します! 真っすぐ東の港へ走ってけろ!
「いや、だけど町には海軍がうじゃうじゃいるんだろ? どうすんだ?」
「大丈夫! あんたたづがいづでも目覚めてこの国から脱出できるように、既に同志たづがずっと要所に待機してんだべ。俺たちが道さ作る! 東の港には船も準備してあります」
「ありがてえな。サニー号はナミたちと先に行かせてたんで困ってたんだ」
「ハハハっ、めっそうもねえ! みんな共に戦ったチームだ。今更王将の首取られてたまるかってんだ!」
家にいる全員が立ち上がり、ここを出る準備をする。ベラミーももう立って走れるくらいに回復しているらしい。
「……トラファルガー、なぜ俺を見殺しにしなかった? 俺は死に場所を失った」
「麦わら屋がダチだと言ったんで一応運んだ。死にたきゃそこで死ね」
「あの小人のおかげで馬鹿みてえに回復しちまった。なぜ俺が海軍相手に死ななきゃならねえ!」
「そこを何とか死ね、バカ」
「なんだと!」
「礼のひとつも言えねえんならな」
「ッ」
「考えてる暇ねえぞ、早く東の港に向かわねえと!」
「さあ、行くべよ!」
俺たちは家を出て走り出す。ロメオのバリアで安心して走っていられる。だが藤虎に出くわしたらマズい。早いところ港に行かねえと。
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