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第7話:三人の友情
赤い夕日がジャングルの木々の間から差し込む頃、クラスティー、サイドショー・メル、そして新たに仲間となった赤いダイヤモンドの要請──“ルビー”と名乗る若き探検家──の三人は、ついに三個目の赤いダイヤモンドの欠片を手に入れた。
洞窟の奥深く、激しい罠と謎解きを超えて、ようやく輝く欠片が姿を見せたとき、クラスティーは泥だらけの顔に誇らしげな笑みを浮かべていた。
「これで…三個、揃ったぞ!今夜のクラスティー・ショーは伝説級だな!」
「放送のことばっかりか…ま、あんたらしいが」サイドショー・メルが皮肉を交えつつ笑う。
ルビーは黙って、欠片にそっと手を伸ばした。「これが…本当に願いを叶えるなら、僕には…」
しかし、その瞬間、外から銃声が響いた。
「伏せろっ!」メルが叫び、三人はとっさに岩陰に身を隠す。木の陰から現れたのは、あの男だった。
ライバル関係の冒険家、“ボス・ヴァン・カーヴ”。
派手な帽子に黒いジャケット、傷跡だらけの顔に不敵な笑みを浮かべていた。
「よぉ、愉快な道化ども。ダイヤモンド、いただくぜ」
彼の後ろには、縄で縛られたルビーの姿があった。
血のように赤い髪が、風に揺れていた。
「要請!」ルビーが叫ぶ。
「要請を返せ、ボス!」クラスティーが叫ぶが、ボスはニヤニヤ笑っている。
「取引だ。そこの欠片を、全部寄こせ。それで、女は返してやる。いい取引だろ?」
「この卑怯者…」メルが吐き捨てる。
沈黙が流れる中、ルビーは泣きそうな目で二人を見る。「どうして…私なんかのために、ここまで…」
クラスティーはふと笑った。「どうしてかって?お前、バカだな」
そして、彼は一歩前に出て、静かに言った。
「仲間だからな。」
その一言に、ルビーの瞳が潤んだ。
サイドショー・メルも黙ってうなずく。
「くっ…」ボス・ヴァン・カーヴは舌打ちしながらも、三人の真剣な表情に一瞬たじろぐ。
だが、彼はすぐに立て直し、銃をスカーレットの方に向けた。
「いい子だ。じゃ、欠片を──」
だが、次の瞬間、銃声が響いた。
クラスティーがボスの足元にナイフを投げて、わざと外したのだ。ボスがよろけた隙に、サイドショー・メルが煙玉を投げた!
ジャングルの夜が煙に包まれ、混乱の中でルビーが走り出す。
「要請!」
ルビーは素早く縄を解き、スカーレットを抱きしめた。
その間に、クラスティーはボスに飛びかかった。「オレのショーのジャマをするなああああ!」
メルも加わり、3対1の乱闘となる。
しかし、さすがは歴戦の冒険家ボス・ヴァン・カーヴ。拳一つでメルを投げ飛ばし、クラスティーの顔面を容赦なく殴る。
「これが…男の戦いだぁぁ!」クラスティーは立ち上がる。
その姿を見たルビーとスカーレットは、心を決める。
「僕も…戦うよ!」ルビーはボスに向かって突っ込む。
「クラスティーさん!」スカーレットも枝を持って突進した。
仲間の想いと力が一つになり、ついにボス・ヴァン・カーヴは打ち倒された。
地面に転がった彼はうめきながら言う。「チッ…友情だと?そんなもの…宝にもならん」
だがクラスティーは笑いながら立ち上がった。
「違うね、友情は…最高の宝なんだよ」
そう言って彼は三個の赤いダイヤモンドの欠片を持ち上げた。
数日後、クラスティー・ショー特別編「ジャングル!友情と赤い願い」が放送され、視聴率は歴代トップを記録した。
エンディングでは、クラスティー、メル、ルビー、そしてスカーレットが肩を並べて笑っていた。
「…それにしても、結局赤いダイヤモンドって、どんな願いを叶えるんだ?」とメルが聞くと、
ルビーはにこっと笑って言った。
「もう、叶ったよ。私には、最高の仲間ができたから──」
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