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今でも無性に好きなものに、ビー玉がある。
なぜ好きなのかは分からないが、子供の頃よく、色々なサイズのビー玉を集めたり、瓶のラムネの中にあるビー玉を集めては、アルミ製のケースに沢山溢れるほど入れては、それを愛おしそうに眺めていたり、金魚が泳いでいる睡蓮鉢に入れたりとしたものだ。
中でも夏に日光に照らされるビー玉は好きで、縁側によく並べて、寝そべりながら四六時中眺めていた。
ビー玉を回転させ、ガラスの中のくねくねとした色のついた物を眺めている光景は今でも忘れない。
子供の頃から変わった子で、親や姉にはよく心配されていたが、そんなのお構い無しに、ひたすら好きな事には忠実な子供時代を過ごしていた。
そんな大好きなビー玉でも、冬になると興味を急に失い、ビー玉を入れたケースは物置きにしばらくしまったまま、夏が来るまでひたすら眠らせたままにする習性があるのだ。
きっと夏に輝くビー玉が好きだったのだろうと最近気づいた。
実家のすぐそばにある川沿いの遊歩道のアスファルトにビー玉が埋め込まれいる道があり、夏にその道を散歩するのが好きだったからビー玉を集めていたのだろう…。
大人になって子供時代、何故好きだったのだろうか?って事が分かる事があり、何だか笑えてくる事がある。
最近、実家に帰った時に大掃除をしたら、ふいにタンスの隙間や冷蔵庫の裏からビー玉が出てきて、なんだか懐かしい気持ちになり、あの頃は毎日が宝物に溢れている日々だったのだなぁ、と、嬉しい反面、大人になって滅多に感動する機会が減って、ちょっぴり寂しい気持ちになった。