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都内某所、もう少しで日付が変わる時間。
「いや〜、やっと明日は休日かぁ。僕らのお休みなんて本当に久々じゃない?」
「まぁね。特に元貴なんかは最近ずっとスケジュールカツカツだったし。」
「ほんっとに…僕たち超頑張ったよね。今日は3人でどっか食べいこうよ。」
涼ちゃんや若井の言う通り、最近は忙しい日々が続いていた。彼らはもちろん、僕に関してはMVの構成や映画の撮影もあって特に疲労が溜まっていた。その間、3人で過ごすタイミングも中々なかったし。だからご飯に誘うことにした。
「俺もそう言おうと思ってた。居酒屋とか行く?」
「若井お酒弱いのに?」
「まぁいいんだよ、せっかくの機会だし。」
ノリノリで先頭を歩く若井、そんな彼の横で朗らかに笑い横から道案内をする涼ちゃん。
「ふふっ」
そんな2人を見ていたら、不思議と笑みが零れてしまう。後ろから2人の姿を見ていると、あのことを思い出す。
そう、僕がチームメイトである若井への恋愛感情に気づいたあの時を。
帰りのホームルームが終わって、みんなが帰り支度をしている頃。
「えっ、若井また告白断ったのかよ!」
「B組のめっちゃ可愛い子だろ?ありえねー。」
「なんだよ、彼女でも出来たのか? 」
「はぁ…。」
また若井が囲まれている。女の子からの告白をまた断ったらしい。僕には無縁だと思いつつも、会話に耳を傾ける。
「……で、彼女いんの?若井。」
「えー…ノーコメントで。」
「それ絶対居るやつだろ!」
ノーコメント?
若井の一言に脳の動きが止まる。もし若井に彼女がいたら…。そう考えると心がザワついた。
今までは「いねぇよ。」と否定していた彼があえて答えを濁した。
でも、今回は違う。もしかしたら……という思考が駆け巡る。
多分、好きなんだ。
その瞬間、自分の中の感情に気づいてしまった。練習中、授業中、二人でいる時、気づけば目で追っていた。そんな自分の気持ちを「友愛」だと言い聞かせて過ごしていた。
でも、今日からそれは「恋愛」になった。