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『本当に気持ちのいい夜だね』
月が綺麗だな…
恭香ちゃんも見てるかな…
『一弥君…』
『何?』
本宮君、男の僕が見てもいい体してる…
濡れた髪がやけに色気を感じさせて。
僕が女なら惚れてるかもな。
悔しいけど恭香ちゃんが惹かれるのも…わかる。
『あのさ…俺がここに森咲を呼んだ理由…わかるだろ?』
『…あぁ、わかるよ。いつ聞かれるかなって思ってた』
『森咲のこと…どういう風に考えてる?』
2人きりで周りには誰もいない。
静かだ…
僕達の声以外は、お湯の流れる音だけしか聞こえない。
僕は、思い切って話した。
『僕は、恭香ちゃんが…好きだ。好きで仕方ないよ。ちょっと回り道しちゃったけど…そのおかげで、今は本当に好きな人が誰かわかったんだ』
『そうか…俺は、森咲を初めて見た時から数年、ずっとあいつひとすじだ…』
え…
数年、ひとすじ?
どういうこと?
『そんな前から恭香ちゃんを知ってたの?』
『知ってたよ。俺は森咲の笑顔と優しさに惚れた。あいつの顔見てたら、それだけで自分も優しくなれたし元気をもらった。会社を出た後、しばらく会えなかった時も、ずっと…想ってた』
僕は、本宮君から恭香ちゃんとの出会いを詳しく聞いた。
知らなかった。
僕よりも先に恭香ちゃんを好きになってたなんて。
こんなイケメンなのに、ずっと一人の女性をひとすじに想うなんて…
僕は…
恭香ちゃんを好きになって、でも、菜々子のことも…
そういう意味では完敗なのかも知れない。
だけど、今は未来を考えたいんだ。
恭香ちゃんとの未来を。
だから、本宮君には負けたくないし、恭香ちゃんを渡したくない。
お互いが、どんな風に恭香ちゃんを好きになったかわかって良かったのかも知れない。
ハッキリとライバルだと認識することが出来たんだから。
『これからどうしたい?』
『…僕は恭香ちゃんに告白したし、後は彼女の返事を待つしかないと思ってるよ。だけど、デートに誘いたい。今はずっと断られてるけど…本宮君は?』
『…』
黙ってる。
どうしたんだろ?
何か言いにくいことがあるんだろうか?
『…悪い。俺は…恭香と暮らしてる』
え?!
なんて言った?
一緒に…
暮らしてる?
『恭香って…呼び捨て…』
『ああ、俺は恭香って呼んでる。俺が会社に戻ってすぐに、恭香の部屋で一緒に住むように無理矢理頼んだ』
『恭香ちゃんと2人きりで暮らしてるっていうの?』
『ああ、そうだ。強引に俺が転がり込んだ。恭香が一弥君のことを好きだってことも知らなかったし、一弥君の気持ちもまだ何も知らなかった。恭香は、最初、かなり迷惑してたようだったけど…』
心臓が高鳴る。
一緒にって…
もしかして…
『ずっと…一緒?2人きりで?』