テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

僕は、本宮君の答えを聞くのが怖かった。


「そう……2人きり。俺も恭香に告白したけど、まだ返事はもらえていない。君と同じだよ」


「……本宮くんも告白したんだね。そっか、いや、でも……同じ部屋に毎日一緒にいて、しかもその相手が自分の大好きな人で……な、何もないなんて……思えないよ」


「誓って言う。俺は恭香に手は出してない。キスも……してない」


「本当に……?」


「ああ、嘘じゃない。彼女の気持ちがはっきりとわからないのに……それはできない」


少しホッとした。

それでも、一緒に住んでいる事実には変わりない。


恭香ちゃんは、本宮君と同居していることを僕には言わなかった。

でも、もちろん、恭香ちゃんが悪いわけじゃない。

きっと、言いたくても言えなかったんだろう。


僕は知らなかったとはいえ、恭香ちゃんの気持ちに答えず、菜々子に告白してしまったんだ。

せっかく僕を思ってくれていたのに、僕がよそ見をしてしまったばかりに……

後悔しても始まらないけれど、自分があまりに情けない。


僕の一番大切な人には……

今はもう、本宮君がいるんだ。

最低だ、僕は。


「恭香は今、一弥君と俺のどちらかを選ぼうとしてる。いや、選ばないといけないと悩んでいる。それが、見ていていたたまれないんだ。だから、今回3人での旅行を考えた」


「……うん」


「恭香がどちらかを選ぶきっかけに少しでもなればと思ったけど、実際はどうなるかなんてわからない。だから、すごく不安だ。もし俺ではなく君が選ばれたら……そう思うと、胸が張り裂けそうになる。あるいは、どちらも選ばれない可能性だってあるんだ」


「……どちらも選ばれない可能性? 確かにそうだよね。全ては、彼女が決めること……だからね」


「そうだ」


だけれど、そうなると、一緒に暮らしている本宮君の方が有利じゃないか。

手を出していないと、信じていいのか?

だって、僕がもし恭香ちゃんと同じ部屋にいたら……我慢できるかなんてわからない。

本宮君だって、1人の男。好きな人が目の前にいて、キスさえまだしていないなんて……


「……とにかく、恭香ちゃんが、僕か本宮君のどちらかを選んでくれるのを待つしかないよね。だけど、やっぱりズルくない? 本宮君だけが恭香ちゃんと一緒に住むなんて。近くにいれば、自分が有利になるようなことも話せるし、情が湧いてしまうかもしれない」


思わず本音が出てしまった。

いやらしい自分の思いを口にして、自分で嫌な気持ちになった。


「ああ、確かにフェアじゃないな。それは、正直、ずっと思っていた。君の言う通りだ」


本宮君……

この人は、本当にいいやつ……だ。

カッコ良くて、性格も良くて、仕事ができて、お金持ちで……

確かに僕にはないものを本宮君はたくさん持っている。特に、経済力で言えば、僕はこの人の足元にも及ばない。

『文映堂』の肩書きは大きく、どれだけ手を伸ばしても届かない。

もちろん、恭香ちゃんは、お金のことで人を判断するような女性ではないとわかっている。

だけれど、僕も不安になる。

僕は……本宮君には勝てないのだろうか?


「……どうするつもりなの?」


「確かに、恭香と一緒にいたい気持ちは捨てられない。毎日そばにいたからこそ、ほんの少しでも不安が和らいでいた。でも……こうなった以上、恭香がどちらかを選ぶことができるまで、俺は実家に戻る」


「あ、ああ、わかった。そうしてほしい。だけど……恭香ちゃんは、どちらかを選べるのかな?」


「確かにな。さっきも言ったけど、2人ともフラれることも有り得るからな。彼女の気持ちは俺たちにはわからない。だけど、もしフラれたとしても、それでも俺は絶対に恭香を諦めたくない。どんなことがあっても、彼女のこと心から思い続ける」


本宮くんの目はとても綺麗で、彼の性格を物語っていた。


「もちろん、僕もだよ。僕だって、恭香ちゃんのことが大好きなんだ。他の女性ではダメだ。だから、絶対諦めたくない」


本宮君も、僕も、2人ともに恭香ちゃんのことを真剣に想っている。

それが、今日、ハッキリとわかった。

この旅行は決して無駄ではなかった。

ライバルだけれど、勇気を出して誘ってくれた本宮くんに、心から感謝したいと思った。

私、強引で甘く一途な御曹司にドキドキさせられっぱなしです!

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

6

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚