テラーノベル
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迷宮から地上へと戻ってきた直後、あの過保護なスライム――リムルが少し席を外した。
それをいいことに、さっき進化を終えたばかりの原初三人娘(テスタロッサ、カレラ、ウルティマ)が、ニヤニヤしながら子翠にめちゃくちゃだる絡みをし始めたのだ。
「あら、雑魚大量虐殺の話の続きをしましょう?」
「古〜い悪魔の実力、ここで ボクと手合わせして見せてよ!」
放っておくと迷宮の地上部分が消し飛びかねない空気に、俺はため息をついて間に入った。
一応これでも『魔王』だからな。大剣を軽く顕現させ、始原の天使としての本気のプレッシャーをほんの一瞬だけ解放して、化け物三人娘を力技で文字通り「追っ払って」やった。あいつら、チッと舌打ちしながら渋々引いていきやがった。
そんな俺の後ろ姿を見て、子翠が感心したように声をかけてくる。
「おぉ」
「なんだよー」
「いや、こいつ腐っても魔王なんだなって(笑)」
正直めちゃくちゃむかつく。
助けてもらったくせにその言い草。
本当に生意気な女だ。三人娘が完全に離れたのを見計らい、子翠が声を潜めて本題を切り出してきた。いつものおっとりした声だけど、目が完全に『裏の顔』になっている。
「ギィに何報告すんのさ」
俺は頭をガリガリと掻きながら、考えていた報告内容を口にした。
「過去に雑魚皆殺しにしたらしいクソ悪魔と、原初3人にリムルが名前と肉体与えたって」
「……いやそれ絶対私だってバレるじゃん……。なんてったって雑魚皆殺しとかやんの私か原初くらいだからな……」
子翠がジト目で俺を睨んでくる。
確かに、冥界でそんな大立ち回りを演じるのは原初か、ギィ系統の古い大物である子翠くらいだ。ギィなら一発で特定するだろう。
「…そっちはどーするんだよ……」
俺が話を振ると、子翠はフッと口元を歪め、とんでもない脅し文句を笑顔でさらっとのたまった。
「なんか、ディーノって魔王がギィの指示で偵察にきてて、魔王は勘付いてないって――」
俺は全力で子翠の手を掴んで止めた。そんな情報をユウキに吹き込まれたら、俺のテンペストでの快適なニート生活が秒で終わる。下手をしたらギィとリムルとユウキの板挟みで俺が消される。
「じゃあ、”お互いに”誤魔化そうね?」
子翠は満足そうに微笑み、俺の手をパッと離した。確信犯だ。やっぱりギィと同系統なだけあって、タチの悪さは一級品である。
俺は呆れ果てて、ずっと気になっていた彼女の『最大の特徴』を指差して突っ込んだ。
「…リムルの前だと猫被ってるけど、リムルの前以外だと誰に対しても呼び捨てで上から目線だよな……」
さっきだって俺のことを「こいつ」呼ばわりしてリムルに泣きついていたくせに、二人きりになった瞬間これだ。原初三人娘に対しても全く物怖じしていなかった。
「……」
子翠は否定も肯定もせず、ただ「バラしたらどうなるか分かってるよね?」と言わ言いたげな、最高に綺麗な微笑みを浮かべてみせるのだった。
こいつ、やっぱり天使なんかじゃねぇ。とんでもない悪魔を相方にしちまったと、俺は自分の不運に改めてため息をつくしかなかった。
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コメント
3件
読み終わりました!子翠の猫被りっぷりが本当に面白いですね。「リムルの前だと猫被ってる」って魔王に指摘されても、あの最高に綺麗な微笑みで黙らせるスタイル、完全に確信犯で笑いました。原初三人娘とのだる絡みも含めて、このパーティの人間関係の歪さが絶妙で、今後の裏切りの伏線になりそうでドキドキしますね。