テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
せのびっく
14
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「じつは、気になってるというか、好きかもしれない人がいてさ」
誰もいない楽屋で、テーブルを挟みながら打ち明けられた秘密。
伏せ気味の視線や少し赤くなっている頬に見とれていれば、聞いてるか?と怪訝な顔をされた。慌てて頷き、続きを促す。
「なんだかんだ一緒にいるし、家族みたいに思ってたんだけどさ。やっぱり、なんか違うと思って」
出てくるワードに、やっと落ち着いていた心臓がどくどくと早鐘を打つ。
「ちょっと頼りないところもあるけど、そこが支えてやんなきゃなって可愛く思っててさ」
当てはまる項目は、ある。これは期待してもいいのだろうか。思わずゆるみそうになる頬をなんとか我慢して、勇斗に視線を向ける。
かもしれない、なんてごまかしてはいるくせに、雄弁に好きだと言っている表情に、きゅうと胸の奥が音を立てる。
「…そ、それって、俺の知ってるやつ、だよね?」
わざとらしくならないように問いかける。早くなる心臓に、落ち着けと言い聞かせる。
もし、好きと言われたらちゃんと素直に自分もだと伝えよう、と覚悟を決める。
「…言っても引かない?」
「今更じゃない?」
ここにきて核心を離さない勇斗に少し焦れる。
「…おれ、さ」
ゆっくりと唇が動くのを見つめる。
こんな何気ない動作すら、たまらなく好きで。
自分の名前を呼んでくれたら嬉しい、なんて思っていた。
思って、いたんだよ。
「柔太朗が好きみたいなんだよね」