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自分の想像力を試されてるようで…… くっ……(> <) ありがとうございます。 いいお話でした( ; ; )
声が出ない
叫び疲れてしまった
パトカーのサイレンが聞こえる
誰が呼んだんだろうか
扉が開き、ローレンさんの声がする
一階を見て回ったローレンさんが階段を登ってくる
「‥‥おい、誰だ?‥‥‥‥大丈夫か?
俺の足元からローレンさんが警戒しなが近づく
そして縛られているのを確認するとこちらに駆け寄って来た
「大丈夫ですか⁈何があったんです?」
抱き起こそうとして息を飲む音が聞こえる
「小柳?‥‥お前‥‥血が‥‥」
俺の腹あたりは血でシーツが濡れていた
手首の縄が食い込み、皮膚が切れているのだろう
「‥‥ローレンさん」
「お前、声‥‥何? 」
「溶鉱炉の中‥‥不破さん‥‥助けて‥‥」
「‥‥溶鉱炉?‥‥ちょっと待ってろ」
“エクスさんと神田さん2階に来れる?残りの人は外に倒れてる人牢屋に運んで”
ローレンさんは二人にここの管理者に連絡を取ってもらい、不破さんを探すように頼んだ
「小柳、今救急呼ぶから」
「呼ぶなら魁星君か弦月さん‥‥男の救急隊で‥‥」
掠れた声で言う
「何、何かあった?俺が見ても良い?腹の傷」
小さく頷く
そして俺を手前にある司令室の様な部屋に運び、シーツを縛る紐に手をかける
シーツを捲り体中に残る痕跡を見て、ローレンさんは目を閉じ、唇を噛み締める
一呼吸置き俺に話しかけた
「撃たれた訳じゃなく、手首が擦り切れたんだな。‥‥お前は‥‥大丈夫か?」
「‥‥‥‥」
瞼を閉じ、頷く
「俺は大丈夫だから不破さんを‥‥」
「分かってるよ」
それから救急隊に来てもらい治療を受け、ローレンさんに家まで送られた
捜査の結果
炉の中の温度は2000度あり、1500度を超えると骨も残らないそうだ
何も残らないなんて‥‥
あれから10日
俺は警察署にいる
何もしたくない
でも何かしていないとおかしくなりそうだった
あの人が居ないこの街を車で走り回る
どこかに隠れていないかと‥‥
“小柳、どこ居る?警察署戻って来れるか?”
“‥‥はい”
帰り時間が過ぎている
必ず時間になると所長か副所長が無線を入れてくる
二人に心配を掛けているのは重々承知していたが、どうしても帰れない
どこかにまだいる気がして‥‥
署に入り車を止める
暗くなる街をもう一度見渡す
そして横断歩道へと歩き出す
ここに立つとイグナスが向こうから走って来そうで‥‥
チリン‥‥‥‥
鈴の音?
これって俺が付けてた猫のキーホルダーの鈴?
音がした方に走り出すと、後ろからローレンさんに呼び止められる
「小柳!何処にいくんだ?」
「待って‥‥今それどころじゃ‥‥」
俺はローレンさんを無視して走り出す
チリン‥‥
ほら!
絶対聞こえた!!
俺が不破さんにあげた鈴の音が‥‥
建物の間や階段の下
暗くなった軒下を、服や手が汚れるのも構わず探す
「不破さん!どこ?」
「小柳っ!お前‥‥待てって」
俺はローレンさんを振り切り、あちこち探し回る
「不破さん返事して?何で隠れるんスか?」
「何?何か見えた?」
「何って鈴の音、聞こえたんです。ローレンさんも聞いたでしょ?」
「え?聞こえなかったが‥‥」
「確かに聞こえたんです」
ローレンさんが俺の腕を掴まえる
俺はその腕を振り払おうとローレンさんの手を掴む
「やめて?離して下さいよ!居たんだって、今ここに‥‥」
ローレンさんは腕を離すどころか、俺を抱きしめて離さなかった
「そうかもな‥‥お前に会いに来たのかも‥‥」
「ローレンさん?‥‥何で‥‥泣いてますか?」
「泣いてなんかないよ。ただお前が‥‥」
お前が‥‥何?
可哀想に見えるから?
「違うんです。本当に不破さんは‥‥」
「分かった。分かったからもう やめてくれ」
「だって‥‥不破さん、最後に待っててって俺に言ったのに‥‥」
こんなに想いが大きくなると分かっていれば、不破さんの側に居れば良かった
素直に打ち明けてたら今もあなたと笑っていられた?
「ねぇ、ローレンさん。俺‥‥何で涙が出ないんですかね‥‥。俺って冷たい奴だったのかな。それとも不破さんが止めてるのかな」
「‥‥お前が冷たい奴なんて思う人はこの街にはいないよ。お前が泣きたくなったらいつでも友人として俺の胸貸すから。だから今は帰ろう、みんな心配するから」
「‥‥そうですね」
それでも俺はあなたを諦められない
ローレンさんが俺の姿を確認しながら警察署へと歩き出す
俺もローレンさんの後を警察署へと歩き出す
不破さん
俺はいつでも目も耳も俺の全てであなたを探してる
いつでも不破さんを感じられるように‥‥
END.