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【+悲報】書き溜めは12話含め後2話しかなく、14話は途中で放置されていました。
14話以降は今の自分が書き繋ぐつもりですが、投稿頻度はかなり下がります。リアルが忙しいのもありますので、来年の春ごろで一気に完結まで突っ走るつもりですので安心してください
_________________________
空が異様に青く感じた。 夏が近づき始めている。
「……はぁ」
溜まった鬱憤を溜め息として吐き出す。もう病室も味の薄い入院食もうんざりだ。もう復帰してもいいって感じだし。
「……よぉー。元気かーショッピ」
相変わらずの気怠そうな声が左から聞こえた。
「……久しぶりっすね、大先生」
ベッドの横に備え付けられた椅子に腰をかけると、大先生は持っていたバッグからバナナを取り出した。
「……バナナ?」
「ん?……ああ、俺が食べるだけ」
俺に構わずバナナを食べ続ける様子だけで、特に何かをすると言う仕草は見当たらない。
「……何しに来たんすか?」
「…………昨日、緑くんがここに来たんよ。……運営国の」
「ああ、あの人」
「……その時、まぁなんか色々あってな。……でも今日は普通にショッピの様子見に来ただけ」
「……そっすか」
窓から見える中庭がやけに儚く見える。
花で彩りを持った草むらはもう手入れをする人はおらず、だんだんと荒れ始めていた。春という季節に近づいてきた印か、モンシロチョウが中を待っているのが見える。
もし、みんながいたらここも賑わっていたのだろうか。
「……大先生。ワイ、もう戻れます。」
「んー、……でもぺ神がさぁ。まだダメだって」
俺ももうええと思うねんけどなぁ……と最後に呟き、大先生は黙った。
「そういえば、いつの間にか病室五階から一階になったやん?……なんで?」
ふと、思い出したかの様にそう聞かれる。
確かに、一ヶ月前ほどに病室を一回に移された。更に、以前の部屋とは違い中庭を写す窓は大きく、扉の様な形をしている。随分と開放感が出た病室に移されたのは、個人的には只、精神の回復傾向があったからとかなんやらかと思っている。
「……開放感あった方が前向きになれるとかいう精神的影響とかじゃないっすか?」
「……そかぁ?」
納得のいかない様な相槌を打ち、大先生はぼーっと窓を見つめていた。
「……おー、鬱もおったのか」
しばらく経った時だった。
病室の扉が開き、白衣を着たしんぺい神さんが現れた。
「体調はどう?」
「全然、大丈夫です」
いつも通りの会話をし、すぐに帰るとでも思ったが予想に反し、しんぺい神さんは更に椅子を出しそこに座った。
「もうすっかり春だよねぇ、桜も咲き始めてるよ」
「そうなんすか…?中庭には咲かないんですね」
少し間窓から、微風が流れ込む。
しんぺい神さんの顔に付けられた「神」とかかれた神が捲れ、素顔が現れた。
「……ショッピくんさ、久しぶりに外、散歩してこない?」
穏やかな、優しさを持ったそんな表情でそう言われる。
初めて見たな、この人の素顔。などの思考が混ざり、もう一度聞き返してしまう。
「……ショッピくん最近調子いいでしょ?……だから少し気分転換にさ。……ずっと寝てたってつまらんでしょ」
「……なら、行きます」
「んじゃ俺まだ仕事あるから戻るわ。……完全回復して戻ってこいよ、ぴーちゃーん」
「……はい」
大先生が出ていくと、しんぺい神さんは何処から持ってきたのか、俺の靴をベッドの下に置いた。
「少しでも体調悪くなったら、戻ってきなよ」
「……ありがとうございます」
俺は、久しぶりに自分の服に腕を通し、靴を履いた。
ヘルメットは……渡されてない。もしや壊れてしまっているのだろうか。後でペ神さんに聞いてみよう。
「……よし」
久しぶりの青空の真下へ、歩き出した。
――――――――
「……はぁーー、空気良いー」
深呼吸をし、新鮮な空気を吸い込む。
足がぎこちなくはあるが、鍛えていただけある。こんだけ歩いていなくとも、難なく歩ける。
「……あ、ショッピくん!久しぶり〜!」
ふと、広場を歩いていた時だった。
後ろから、何者かに声をかけられる。
振り向くと、そこには約一年ぶりともなる外交官、”オスマン”さんがそこにはいた。
「えっ、今遠方の外交行ってんじゃ……」
「……今大変なことになってるって聞いて、……早く済ませてなるはやで帰ってきたんだけど、……あまり人見かけないね」
何も聞いていないかの様な、そんな様子で辺りを見回す辺り、みんなの無事を確認しにきたのだろう。
「……オスマンさんって、紅茶よく飲んでましたよね。……その、……エミさんとかと」
「……ああ、そうだ向こうで美味しかった紅茶があるから、みんなにお土産であげようって思ってたんだよね」
そう言い、思い出した様に横に下げた鞄から何かの袋を取り出した。
「……なら、……中庭で少し話しませんか?……時間って……」
「ん?ショッピくんが!?……時間は全然大丈夫めぅよ!」
少し驚いた顔をしたが、すぐに笑って中庭へ向かい始める。
オスマンさん、本当に何も知らないのか。
「何も菓子とかなくて、……」
「全然!……それで、……何か話あるんじゃない?さっき言ってためぅよね?」
紅茶を啜り、そう聞かれる。
正直、少し躊躇う気持ちはある。
この戦争で亡くした人達は、明らかに幹部、国民に大きなショックを与えた。
オスマンさんはかなり古くからあの人達との繋がりがあった。八年……九年辺りじゃないだろうか。そんな時間を共にしてきた仲間が、知らず知らずのうちにほぼ全滅状態になっている。なんて、どんな気持ちになるのだろうか。
「……オスマンさんは、何も聞かれてないんですか」
「…………少し、幹部内の空気が重かったのは気になった。……だけど、グルッペンとかトントンとかも、何も言わんし。……大変なことって、……何?」
真剣な瞳が此方を見据える。
此処は冷静に話さなければ、……自分が吃ってもしょうがない。
「……今回の戦争の件、何処まで聞いてるんですか?」
「……新聞とか何もなかったからあまり知らないけど、……確か、同盟国内での何かとは聞いてたけど」
紅茶を一口、飲む。
ほのかに香る檸檬に、……何だろうか。何か甘さがある。
「その紅茶、エミさん好きやろなだって思ってさ。……ぽいでしょ?」
「ああ、エミさん……確かに、好きそう……すね?」
「カナイティーっていう、現地でしか収穫できない果実とかで作ってるんだって。結構高かっためぅ」
「……カナイティー……意味とか、あるんすか?」
「いや?普通に制作過程で使われてるカナイっていう果実でできた紅茶だから、カナイティーって聞いためぅ」
「……なるほど」
しばらく、ただのお茶会とでもいう様に、紅茶を飲み雑談をするだけだった。
「……ショッピくん、元気そうでよかっためぅよ、みんな元気ないんだもん」
「……ワイも、言うて最近回復してきただけって言う感じっすか……ね」
「……随分話し込んだめぅね。……それじゃあ、本題に戻ってもらっても良いかな」
「…………はい。」
ふと、穏やかに笑っていたオスマンさんか鋭い表情へと変わり、その場の雰囲気が一転した。
俺は思い口を開き、話す。
「……戦争での負傷者は、かなり多いのは聞いてますよね」
「うん」
「………幹部が、亡くなったのはご存知ですか?」
「……え?……幹部って、……みんな?」
驚いた様に紅茶に伸ばした手を止める。俺は、静かに頷いた。
「……参謀含め、主幹部の多くの人間が犠牲となりました。……」
「……ど、ドッキリ…………ではない、……のか」
「…………戦闘員で残ったのは、トントンさん大先生、ゾムさん、そしてワイです。……グルッペンさん、しんぺい神さんは基地で指令を出していたんで……」
「……みんな、……って、……ほんまなん……?」
オスマンさんは、俯いたまま何も発さなくなった。やはりショックなのだろう。
「……大変やったね、……ショッピくん」
「…………いえ、ワイは何も……、守られてばっかで……」
「……この後、少ししたら兄さんもここに着くって言ってた。……そこでもっと詳しく話してめぅね」
少し、震えを持った声でそう言うと、オスマンさんは静かに立ち上がり中庭から出ていった。
「……みんな、死んだんよな……」
静かに揺れる紅茶を見つめる。
後で、詳しく話す……か。正気保ってられるんかな、俺。
ティーカップの淵に、モンシロチョウが止まった。
その時だった。
横から、雑草を踏み近づく足音が聞こえた。
「……なんや、新しい紅茶やないの。美味しそうやね?オスマンさんのお土産?」
グルッペンさんに似た様な、聞き慣れた声でその言葉が聞こえた。
反射的に顔を上げれば、そこには真っ白な瞳が俺を見ていた。優しく微笑んだその人は、静かに目の前の、先ほどまでオスマンさんが座っていた場所に座った。
いつの間にか用意されていた新しい紅茶を手に持ち、口へ運ぶ。その一部始終を俺は呆然と見ているだけだった。
「……飲んだことないものやね、……オスマンさん流石やなぁ。……ん?飲まんの、ショッピくん」
ふと、自分の名前を呼ばれたことで意識がはっきりとする。
まるで夢を見ているかの様な感覚だった。だが、意識がはっきりとした今でも目の前には、……この国の参謀、おスベりマン..“エーミール”が、そこにいる。
「あ、君、今失礼なこと考えたでしょ」
「ぇ、……あ、…………いや、事実でしょ(笑)」
あまりにもいつもの様に接するので、俺も雰囲気でいつもの様に突っ込んでしまった。
だが、目の前にいるエーミールという人間は確実に戦死した人間だ。
幻覚かな。
「……元気っすか、エミさん」
「…………ショッピくんの方が元気ないやろ(笑)いつもの毒が少し薄いで」
「エミさんの髪には負けますよ」
「えぇ!?いや、ハゲてへんわ!!」
相変わらずだな。ただ、その様子が俺に安心感を与えたのは事実だ。実際、俺は安堵のため息が出ていた。
エミさんは紅茶をもう一口、飲んだ。
まるで幻かとでもいう様な、すぐにでも消えてしまいそうな、この人はいつでもそんな雰囲気をしていた。
「……エミさん、…………チーノは元気っすか」
「チーノくん?……うん、元気やったよ。……ただ、ショッピくんが元気ないって言ったったかな」
「…………そうですか」
「……紅茶、美味しいですよね」
「ウン。私の好みにぴったりだよ」
「…………シャオさんは……」
「……そんな気に病まんでも、シャオロンさんも元気にやっとるよ」
やはり、この人は彼方側の人間だ。
「……ショッピくんは、充分頑張ったと思いますよ。……もっと自分を褒めてあげてください」
質量のない、冷たい手が俺の頭を撫でた。
それでも、優しい声色も、優しい笑顔も、心にじんわりと染みる様な、そんな暖かさを持っていた。
「……エミさんは、お節介やなぁ」
「えっ!?い、良いこと言ったと思ったんやけどなぁ……」
「……ははっ」
目尻が熱くなる。
視界は滲み、声は震えていた。
「……これからもっと大変なことがあるかもだけど、……君らなら絶対乗り越えられるよ。」
「……やから、ショッピくん。……泣かないで」
「……っエミさん……!俺……っ!」
顔をあげても、そこにエミさんがいることはなかった。
ただ、一つの空のティーカップに一匹のモンシロチョウが止まっていた。
「……ということなんです。」
戦争の概要を知っている限り、二人に説明をした。
少し考え込む様な兄さんと、やはり今にも泣き出しそうなオスマンさん。先ほどの、エミさんのことを話すのはやめた。
「……随分と可笑しな戦争だったんやな」
「………やっぱり、兄さんもそう思いますか」
ふと、先ほどの説明の「戦争の要因・不明」とホワイトビードに書かれた文字に印をつける。
「戦争の原因っていうのが、絶対あるはずなんだ、どんだけしょうもない理由でも。領土占領、その国の独占権の争い、……一緒か。……まぁ、そういう原因っていうのは少なからず幹部には報告が来るはずなんやけど……不明、か」
「……何かありそうやな……」
すると、その文字の隣の空欄に、兄さんが何かを書き込んだ。
『極秘』
「……幹部にも言えないような、戦争の原因って何だろ」
「……スパイ……いや、何処かの国が勝手に攻めたのかも」
「でも、それで五カ国が戦争はおかしいと思う」
仲間への悲しみよりも、先におかしいという点を考察し始める二人を見て、……やはりすごいと再確認する。
慣れている、と言えば聞こえはいいのだろうか。やはり自分もまだまだ新人というわけだ。
「……グルッペンに問い詰めた方が早いかな」
「でも、素直にいうとは思えないめぅ」
「…………トントン、さんとかは……」
その言葉に、二人の視線はホワイトボードから俺へと移った。
「五カ国の国家会議?でそれが決まったのだとしたら、補佐として行ってたトントンさんも知っているのでは?」
「……確かに。……君、頭使えるね?」
「え。……いや、使えません」
地味に初対面となる兄さんに、俺を頭脳系だと勘違いさせないために即否定をする。その様子を見て兄さんは満足そうに笑った。
「……じゃあ、俺が聞いてきましょうか?」
「…………そうやな。俺たちは、……そうやな、……他国に情報集めに行くか」
「そうめぅね。……もう行っても良いと思うけど」
「……すみません、任務後でお疲れだと思うのに……」
「……いいって、ほら、ぶっちゃけ飛行機でずっと寝てたし、……何も知らないうちに、こんなに仲間に逝かれちゃってたらさ、……その戦争が原因不明ってことが気に食わないんや」
「……そうめぅよ。……とにかく、ショッピくんはトントンから情報を搾り取ってくるんや。……頼んだよ」
「………え、しょっぴくん?」
かなり驚いたのか、呂律が回らない口調でトントンさんは返事をした。
「もう大丈夫なんか?」
「……散歩して気分転換してこい言われましてですね。」
取り敢えず、という風にトントンさんにソファへ案内される。丁度いいと思った。
「……今時間って大丈夫ですか?」
「ん?どしたん。大丈夫やで」
「……率直に言うと、……戦争のことについてなんすけど……」
と、前置きを置き俺は聞いた。
「………戦争の、”要因”って、ちゃんと公表されてないですよね?」
「……そうかぁ?」
「はい、資料にも全て不明と書かれていました。……できれば、教えていただきたいと思って」
「……誰に言われたんや、それ」
「………オスマンさんとか、……兄さん……に」
トントンさんは深くため息をつき、肘をついて頬杖をついた。
「……あー、……あまりおもろいもんちゃうよ」
「それでも、……教えてください。何であの戦争が、起きたのかを……」
「……俺が知ってる限りのことやで。……少し場所移そか」
そう言われ、俺とトントンさんは業務室から違う部屋へと移動することになった。ついていけば、休憩室と書かれた看板がぶら下がる、軍の人間はあまり使わない部屋の前へと着いた。
「それにしても、随分急やなぁ。……でもまさか、ショッピくんからそんなん聞かれるとは思っとらんかったわ。」
もう隠す気はないのか、薄く笑いながら二人分のお茶を用意している。
「随分回復したんやな。もうそろ退院やろ」
「……はい、多分後一週間……とかじゃないすかね」
注がれたお茶を少し飲み、トントンさんは話し始めた。
「……一年に一度ぐらいで、同盟国間での会議が行われるんは知っとるやろ?」
「聞いたことはあります」
「……問題は、去年のその会議にあった。」
「その時は、珍しくらっだぁさんが自ら会議に参加しとったんや。」
「……珍しく……とは?」
らっだぁさんはああ見えても、れっきとした一カ国の総統。その会議に参加するのは任意だろう。
「いやぁ、よく違う用事があるからとかって、代わりでコンタミさんがくることがよくあったんや。たまにきょーさんだったりな。あの人そう言うところあるやん」
「……なるほど」
「……その日、もっと珍しいことが起こった」
「らっだぁさんが、「戦争しよ」って提案したんや」
「運営国が……?くっそ珍しいっすね」
らっだぁ運営が率いる運営国、特別人がいいとか、民度がいいとかではないが戦争はあまり好まず、ましてや自ら戦争を持ちかけるなんてかなり稀だと言っていいだろう。
それに、運営国は経済に発展し、戦闘にはあまり向いていないと聞いている。それなのに対し、戦争国家と言ってもいいほどの限界国、そして我々国がいる同盟国との戦争を持ちかけるなど、いくららっだぁさんでもそんな無謀なことはしないだろう。
「……勿論、大半の人が反対した。……そりゃ普通に考えたらそうよな。だって、理由が「やってみたいから」とか意味わからん理由なんやもん。…やけど、グルさんは話し合いの序盤で即賛成意見を出した。」
「まぁ、あの人ならあり得る……」
「…………それでな」
そう、トントンさんが言葉を続けようとした時だった。
「幹部様……!お時間頂いてもいいでしょうか?」
一般兵の男が、その言葉を遮った。
「どしたんや、そんな慌てて?」
「最近、一般兵の戦術のご指導してくださる幹部様がおらず、段々と戦力ダウンしていっています。……もしお時間があれば、トントン様にご指導していただきたいと思ったのですが……」
一般兵の話を聞けば、少し考えた末「すまん、ショッピくん、また後で話すわ」と一般兵とともに練習場へ行ってしまった。
最近戦力が落ちているのは事実だからしょうがないか。
ただ、らっだぁさんが意味不明な理由で今回の戦争を起こしたということがわかった。
それだけでも十分だろう。
そう思い、俺はオスマンさんの下へ戻った。
「……なるほどねぇ…らっだぁさんが元凶なんだ」
兄さんはまだ戻ってきていないらしい。
オスマンさんがホワイトボードに新たな情報を書き出した。
「兄さんは外での情報集め、俺はネットでの情報集めになっためぅ。ショッピくんはこの後どうする?戻って休んでもいいめぅよ」
「……あの、聞きたいことあるんすけど…」
「最近、軍の戦力が格段に下がっているのは知ってますか?」
「そうなの?」
知らなかった。というようにオスマンさんは答えた。外交の仕事に行っていると、あまり此方の情報は行き届かないのか。
「戦闘部隊、うちの軍の主戦力ゾムさん、……ぐらいしか、今の幹部にいません。」
「今の幹部は、トントンさん、ワイ、ゾムさん、鬱先生、そしてしんぺい神さんにオスマンさん、兄さんの七人です。その中で戦闘部員なのはトントンさんとワイとゾムさんじゃないっすか。」
「その上、俺とゾムさんはまだ戦闘復帰はできません。そのせいで今、我々国の戦闘員は不足しているんだそうです」
ふぅん。と、相槌を打ちオスマンさんは紅茶を啜った。
「……確かにそれも大変めぅ、だけどその件は一旦置いて、今は…」
「聞きたいのは、新しく幹部に新人を迎える意思はあるのか。という点です。」
手が止まる。
紅茶を置いた手は右頬を支える形で固定され、オスマンさんは頬杖をついたまま答えた。
「……新人…かぁ。いずれは増やしたいめぅ」
「この件は戦争のことについて調べ終わったらでいいんですけど、少し頭に入れておいて欲しくて」
そう言い、机に資料を置く。
とある一般兵のプロフィールが書かれた書類だ。
「……この子を入れたいの?」
「………戦闘に長けた兵だと、自分は見込んでるんすけど、……もし幹部に誰かを率いるとしたら、という時に思い出してくれれば……」
「……ショッピくん、前まで精神病棟で寝込んでたって思えないぐらい色々と調べてくれてるんめぅね」
感心、と言った様な声色でオスマンさんは呟いた。
「……わかった。この事はグルッペンに言っとくめぅ。ショッピくんは戻って休んでてね。元々は気分転換の散歩だったんでしょ?」
「……はい、わかりました。……それでは、」
会釈をし、部屋を出る。
「……煙草、吸いたい」
「ダメでしょ。」
病室に戻り、大人しくベッドに座ったはいいものの先ほどからしんぺい神さんがずっと横で見つめてくる。正直、気まずさもあるが、……まぁ、早く出ていって欲しい気持ちもある。二人で密室にいたくない。
「……なんすか、」
「ん?いやぁ、ショッピくんさ、一日散歩に出ただけですごい回復力だなぁって。顔色もすっかり良くなってさ」
「…そっすか?」
しんぺい神さんはまだ俺の顔を見つめていた。
ワイは、口角をあげ、言う。
「いつまでもしょげていたら、チーノに笑われるんで」