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ぴろん
「ん?」
終わらない動画編集に頭を悩ませていると、机の上に置かれたスマホが小さく鳴った。
ちょうど集中力も切れかかっていたので、作業の手を止めてスマホを手にとる。
画面をつけると1件のメッセージが目に入る。
その送り主の名前を見て、少しだけ目を丸くした。
「あー、懐かし」
高校の時のアイツじゃん。
2年前で途切れていた彼とのトーク画面を久しぶりに開く。
『奏斗ー』
『今日暇だったら飲み会せん?』
画面を見ながらゲーミングチェアの背もたれに体重を預ける。
今日かぁ、なんかあったっけ。
多分なかったと思うけど、、、でも一応雲雀に聞いとこ。
この前任務すっぽかしてアキラにめっちゃ怒られたし。
立ち上がって部屋を出る。
階段を降りて、リビングのドアを開けて雲雀の姿を探すも見当たらない。
今し方降りてきた階段を登って雲雀の部屋のドアをノックもなしに開けると、ついさっきまでの僕と同じようにパソコンをいじっている雲雀を見つける。
「雲雀ー」
「ん、どしたん?」
声をかけると、雲雀は作業の手は止めずに視線だけこっちに向ける。
「今日の夜って僕なんか予定あったっけ」
「知らんよ奏斗の予定は」
「なんもないんじゃね?」
「じゃあさぁ、夜ちょっと飲みに行ってもいい?」
雲雀の指がキーボードの上で止まる。
「いーけど、急にどしたん?」
「高校の時の友達に誘われたんだよね〜」
「へ〜、いーやん」
雲雀はあっさり頷いた。
「楽しんできてな」
「そりゃもちろん」
スマホで時間を確認して少し考える。
約束は19時からだし、、18時くらいまでは家でゆっくりしてよっと。
「じゃー雲雀は編集頑張ってね〜」
「w、奏斗こそ飲みにいく前に終わらせなヤバいんやない?」
「、、、、あ」
完全に忘れてた。
僕も途中なんだった。
なんなら後2時間で終わらせなきゃいけない。
「やっっばい」
友達に参加する趣旨を送ってから慌ててパソコンの電源を入れ直す。
最悪なことに保存しないまま電源を落としたので、さっきまでの編集データが全て吹っ飛んでいて一からやり直すことになった。
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「んじゃ気つけて行ってきてな〜」
作業はギリギリ間に合って、今度はちゃんと保存を押してからパソコンの電源を落としてきた。
急いで身支度を整えて、スマホと財布だけポケットに突っ込んでブーツの靴紐を結ぶ。
浮かれているのが顔に出ていたのか雲雀が小さく笑う。
「w、浮かれすぎ」
「だって久しぶりに会うんだから、誰だって浮かれるでしょ!」
「はいはい、あんま喋っとると遅れるで」
「今何分?」
「5時28分やね」
「やっばい!」
慌てて立ち上がる。
35分の電車なのにだいぶマズい。
てか走っても間に合わない。
すぐに走る選択肢は捨てて、思いついたように雲雀を見上げる。
「ひばぁ、駅まで送ってくれたりって、、、」
「w、今回だけな?」
「もー最高、愛してる」
「彼氏なんだから愛されてるのは当たり前ですけど」
そう言いながらもすぐに車の鍵を取ってきてくれる。
二人で家を出て車に乗り込んだ。
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「ん、駅着いたで」
「結構時間余裕だったね〜、ありがと雲雀」
「店まで送ってくれても良かったんだよ?」
「送らんわw」
「w、じゃ行ってくるね〜」
「行ってら〜」
雲雀に改札の目の前まで送ってもらった。
駅の近くでいいって言ったのに改札の前まで送ってくれるの優しいんだよね〜。
スマホを見ると通知が来ていて、今日来る人をまとめてくれたのか懐かしい名前が並んでいた。
そんなことを考えていたら改札の目の前まで来ていて、定期で改札を通ろうとしたその時、ぐいっと腕を掴まれる。
「え」
驚いて振り返ると、つい先ほど僕をここに送ってくれた彼氏だった。
「ひば?」
僕の腕を掴んだまま息を整えてる。
困惑した表情を浮かべていると、雲雀が口を開く。
「24時までには、帰ってきてな」
「24時、、、分かった!」
「今日中に帰ってこればいいんでしょ?」
「ん、ごめんな引き留めて」
「行ってらっしゃい」
「は〜い」
ひらひらと手を振って今度こそ改札を通る。
なんだ、そんなことか。心配性だなぁ雲雀は。
言われなくても24時までには帰るつもりだし、なんなら迎えにきてもらうつもりだし。
この時僕はまだ知らなかった。
この言葉が、後になって自分の首を絞めるなんて。
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「お前変わらなすぎww高校生かよw」
「元高校生ですけど」
「全員だよw」
久しぶりに会った旧友達は。今も昔と変わらないノリで騒いでいる。
高校生のときとほぼ変わんない奴もいれば一瞬誰か分からないような奴もいて驚いた。
中でも医学部に進んだ筈の奴が超当たる占い師としてバカ売れしててめちゃくちゃいじられていた。
「お前医学部行ったんじゃなかったのかよw」
「やっぱ医学って占いなんだってことに気づいてさ」
意味わかんないけど昔からこんな感じの奴だった気がするわ。
とにかくもう色々おかしくて、男数人で高校生みたいにフッ軽な話をして笑っていたことまでは覚えている。
「おい奏斗〜、お前生きてるかぁ?」
「なにいってんの!かってに殺さないでくんない?」
「いや酔いすぎww」
「風楽って酒弱かったっけ?ww」
「いや絶対さっきの一気飲みのせいだろww」
「彼氏がどーのこーの言って飲んでたやつかw」
んー、、うるさぁ、、。
なんか眠いし、なんの話してたっけ、。
てかこれ酔ってんのかな僕、あんま酔ったことないしわかんないんだけど、、
こんなけ考えられてんなら酔ってないよね
「ねぇ僕なんの話してたっけ、、、」
「今はお前の彼氏が誰にでも優しいとかそんなんじゃなかったっけ」
「そーなんだよ、ほんとひばってさぁ、、」
「また始まったw」
「ちょっとくらいとくべつ扱いしてくれたっていーのに、、」
、、なんか考えてたらムカついてきた。
これ誰のだろ、まぁいっか。
あまり機能していない頭で結論を下して、誰のか分からない酒をまた煽る。
横に座っている雲雀に体を預けて愚痴をこぼす。
「まだ飲むのかよw」
「てかお前が抱きついてんの彼氏じゃなくて俺なw」
「はぁ〜??ひばはひばでしょ、なに言ってんの」
なんかひばが意味わかんないこといってるんですけど。
「てか今何時?俺は終電飛んでなかったらいいんだけど」
「今は、、、あ、終電飛んでるわw」
「終電〜?そんなのべつにいーじゃんまだ飲みたんない!」
「さすがにこれ以上は飲ませらんねぇよw」
「ひばはうるさい!ひばのせいなんだからさぁ」
「だから俺彼氏じゃねぇってw」
もーひばのせいでムカついてるのに飲むなとかなんなのさ。
そう言ってまた酒を口に運ぶ。
ジョッキを口につけようとしたその時、目の前から酒が消える。
「飲み過ぎ」
「あ!ひばぁー!!」
聞き覚えのある声に、下を向いていた顔をばっとあげる。
そこには僕が飲む筈だった酒の入ったジョッキを手にした雲雀。
さっきまでの記憶なんてひとつも残ってないので、雲雀に怒っていたことも雲雀という存在が重複していることにも全く気付かない。
ぱっと立ち上がって雲雀に抱きつくと、両手で受け止めてくれる。
「彼氏さん?」
「奏斗が迷惑かけてすんません!」
そう言って僕の友達ににぱーっと笑いかける。
そしてその笑顔のままの僕の方を向く。
「帰るで」
「うん!」
雲雀に手を引かれて店を出る。
賑やかな店から一歩ずつ遠のいていくごとに、周りが静かになっていく気がした。
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kntの友達. side
さすがに飲ませすぎたな〜。
なんかもう潰れかけてるし、さっきからずっと俺のこと彼氏と間違えてんだよな。
てか彼氏いるならそろそろ帰ったほうがいい気が、、、
「飲み過ぎ」
「あ!ひばぁー!!」
奏斗がまた飲もうとしたので止めようと手を伸ばすと、それより先に奏斗の手元からジョッキが消えた。
顔を上げると、派手な紫が目に入る。
いや背高。
「彼氏さん?」
「奏斗が迷惑かけてすんません!」
申し訳なさそうな顔をして、でもすぐに笑顔になる。
めっちゃ人当たり良さそう。
そう思って顔を見ると、さっきの笑顔のままなのに顔が暗く見えた。
奏斗を見つめるその視線がふとこっちを向く。
、あ、
目が笑ってない。
なんなら怒ってる。
笑ってるのに奏斗を見つめる視線が冷たくて恐怖まで湧いてくる。
それに気づかずに甘え続ける奏斗にそれを伝えるか迷っているうちに、気が付けば二人ともいなくなっていた。
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店を出て雲雀の運転する車に10分ほど揺られて家に帰ってくる。
「ただいまぁ」
返事はない。
この家の住人は二人揃って今帰ってきたのだから当たり前だ。
靴を脱ごうとした瞬間、どん、っと背中に鈍い痛みが走る。
「った、、、ひば、、?」
一瞬瞑った目をゆっくり開くと、うっすらと影を落とした雲雀の瞳と目が合う。
ドアを背に片方の肩を雲雀に抑えつけられて、身動きが取れない。
「、奏斗」
聞きなれない雲雀の低い声が脳に響く。
「、、門限、何時やった?」
かちゃり、と背中で鍵が閉まる音を感じた。
続きます
コメント
2件
初コメ、フォロー失礼します😌🙌一言で言うと最高です😊👍続きがとても気になりました...!🥹🫶
luv
38
#srp
えいりあん
1,111
102
サトウ
6,899