テラーノベル
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”待ってー”と僕を追いかけてくる彼に手を掴まれる。
「じゅう!つかまえたー!」
こんなに沢山の人がいる街中で
男2人がやるようなやりとりではない。
でもこのまっすぐな彼の態度に安心してしまう自分がいる。
嬉しいのを誤魔化すように
手でシッシッと払うようにして少し距離を取る。
だいぶ失礼だとは思うが、彼はそれもたいして気にしていない様子。
「今日は明日の準備もあるんやし、じゅうも早めに帰りたいやろ?」
「まぁそうだね」
「ほな、あそこの牛丼でえぇやろー?」
「うん」
今日は帰り道の途中にある牛丼チェーン店で夜ご飯を食べることになった。
いつもこんな感じで色々と決めてくれて助かる。
僕は優柔不断だから。
「じゅうなににするん?またいつものにするん?」
「うん。そうする。」
「そうやんな!いいなぁ、俺もそれにしよー」
彼は慣れた手つきでタッチパネルを操作している。
どうやら僕の分も一緒に注文してくれたようだ。
「明日楽しみやなー!何よりじゅうと3日間一緒にいられるのが一番うれしいわ!」
「なにキモいこと言ってんの?」
「またツンツンしちゃって~ じゅうも嬉しいんやろ?顔に出てるで!!」
そう言って僕の頬を指でつついてくる。
「は?何言ってんの?」
なんて言いながら窓に反射する自分の顔をこっそり確認した。
あぁ、めっちゃにやけてる…。
「別に北海道が楽しみなだけ!うるさい!」
恥ずかしくて、顔の熱をすぐにでも冷ましたくて、テーブルにある冷たいお茶を一気に飲み干した。
チラッと彼の様子を見ると、頬杖をついてニヤニヤしながらこちらを見ている。
その余裕そうな態度に、少し腹が立った。
「もう、なにぃ!?」
強めに言ってみても、彼の顔はさらに嬉しそうに綻ぶだけだった。
「もう、じゅうはほんとかわええな~」
「はぁ??かわいくないから!!!」
本当に、彼の言うことは意味が分からない。
「こっち見んな!あっち行け!」
「そんなん言わんといてやぁ。俺泣くで?」
そう言って嘘泣きをし始める彼を、僕は無視することに決めた。
そうこうしているうちに、牛丼が運ばれてきた。
箸を取ろうと箸立てに手を伸ばしたとき、彼の右手が、僕の左手をそっと掴んだ。
僕の目をじーっと見つめてくる。
「なぁ…明日から楽しみやな?じゅう?」
どうしようもなく優しいその目に
やっと引き始めたはずの顔の熱が、再び一気に跳ね上がった。
「真っ赤やで?顔」
彼のもう片方の手が、僕の頬を柔らかく撫でる。
うるさい。
本当にいい加減にしてほしい。
でもなぜか彼の瞳から逃れられず、じっと見つめ返してしまう。
彼はふふっと小さく笑うと、僕に触れていた手をぱっと放し、「いただきまーす!」と元気に牛丼を食べ始めた。
なんなんだ、一体。
彼は何を考えているのか全然読めない。
自分だけがこんなに振り回されていて、馬鹿みたいだ。
「食べないん?」
箸立てから一膳の箸を取り、僕に差し出しながら、しゅんが上目遣いで彼が言う。
さっきまであんな感じだったのに…
今はもう、頬にいっぱいご飯を詰め込んで、リスみたいになっている。その姿がなんだか急に可愛く思えてきて、おかしさが込み上げてきた。
「おーい!何、人の顔見て笑っとるん??失礼やなー!」
いつも通りの彼にほっとして、でも調子を狂わされたのが少し悔しくて、僕は差し出された箸を奪うように受け取って牛丼を口に運んだ。
彼を見ると、相変わらずリスのようになりながら美味しそうに食べている。
僕もやっと、自分のペースで食べ始めることができた。
いつも振り回されて落ち着かないのに、この関係が、彼と過ごす時間が、どうしようもなく心地いい。
なんていうか…。
別に特別な意味なんてないけど。
ただ、この関係に終わりなんて来ないでほしいな、と。
心から、そう思う。
to be continued……
コメント
1件
あ〜〜もう、じゅうくんとかわいい彼のやりとりに胸がきゅんきゅんしっぱなしだったよ😭💕💕 「なぁ...明日から楽しみやな?じゅう?」って言いながら手を握ってきて、そのあとリスみたいにご飯頬張ってるギャップ!ずるすぎん!?!? 「別に特別な意味なんてないけど…」って自分の気持ちに戸惑ってるじゅうくんの心情描写がもうエモすぎて…!この関係に終わりが来ないでほしいって切実に願う感じ、すごくわかるよ〜🥺💖 明日からの北海道編、絶対好きになるやつじゃん!続きが待ちきれないよ〜🌸✨
#ちゃのざき
かわそ🍼💙 ☁️💫
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