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ジンが音が聞こえる方へと視線を向けると、そこには黒のトレーニーに身を包んだキノコ頭の少年が通常より大きいダンベルで筋トレをしていた。
ガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャ。
「フンフンフンフンフンフンフン。」
「・・・・・・・。」
『うわ!あの子すごい力持ちだね。』
「ツッコむとこはそこじゃないだろ。今から魔法学校の編入試験だぞ?何で筋トレしてる奴がいるんだよ。」
『・・・確かに。』
2人がそんな会話をしている間に、少年が今度はシュークリームを頬張りつつ空気イスをしながら筋トレの本を読んでいた。
「トレーニング後45分以内のタンパク質摂取は基本中の基本と・・・・・。」
『いつの間に。すごいバランス感覚。』
「・・・・変な奴。」
感心しているライムをよそにジンはそう一言呟くと、くるりと背中を向け関わりたくないとばかりにその場から歩き出した。
『ねぇジン。』
「何だ。」
『もしかして、母さんの言ってた魔法不全者の子って・・・あの子なんじゃない?』
ライムのその言葉に、歩いていたジンの足がピタッと止まる。
「どうしてそう思った?」
『えーと。あの子の髪型、何かキノコみたいだし、シュークリームを食べてるし。』
「でもあいつ、アザがあったぞ?」
『あっ!そうだった。ごめん僕の勘違いかも。』
「まあでも、お前のカンも馬鹿にできない。」
『ジン!』
ジンの言葉にライムは嬉しそうに名を呼んだ。
「そうだな。試験を受けつつ、あいつの観察といくか。 」
『えっそれ大丈夫?』
「大丈夫。どっちも上手くやるさ。」
心配するライムにジンはそう答え、キノコ頭の少年がいる方へと向きなおり彼から一定の距離の所まで歩いていくのだった。