テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
rttt成分が薄いかも
作中にttのTRPG視聴により広げた解釈が
ネタバレしない程度にひとつまみ。
本作品は犯罪などを推奨、促すような意図の
作品ではありません。
tt side
今日、パトロールの担当だった俺はただただ何も騒ぎが起きない街を歩いていた。
「あ、佐伯だー!サボりかよ〜!」
「佐伯、ヒーローなのにサボりなの〜?」
「”さん”をつけろデコ助野郎ども!!
今はKOZAKA-Cもいないし困りごとも起きないから
ヒーローの出番はねぇの!!」
遊びから帰るのだろうか、帽子を被りボールを抱えた小学生集団にからかわれながら俺はパトロールを続けた。
というか他のOriensのメンツはこんな態度されないじゃん…何で俺だけ?舐められやすかったりする??と心の中で考えた矢先、パトロールも終盤に近づいてきていた。もうすっかりあたりは暗くなっている。
最後の街はいかにも中華風なところだ。ふわり、とどこからか美味しそうな匂いが漂ってくる。夜ご飯はアジトで食べるので我慢しないといけないわけだが…パトロールの帰りにでもお土産で買っていこうか。
そう考えると俺は足早に街に入り周辺で目を光らせた。
賑やかな商店街のようなところに視線を巡らせ、問題がないと比べて人気の少ない奥へと踏み入っていった。
見たところひったくりだとか万引きだとか、そういう犯罪は起こってなさそうだ。KOZAKA-Cもいないし大丈夫だろう。
さっき見かけた肉まん美味しそうだったなぁ。あれ買ってくか。皆喜ぶかな〜。
そう思いながら肉まん屋へと踵を返そうとした。
が、視界の隅に見慣れたオレンジ色が見えてその場で立ち止まった。そのオレンジ色に目を凝らしてみると、リト君だった。相変わらずオレンジ色に青緑色のグラデーションという明るい髪色をしている。まぁ見たことのない中華風の私服を着ているけれども。
そういえば今日、用事でリト君休むって言ってたし…もしかしてここに用事があったのかな?せっかくだし肉まん屋まで一緒に行こうか。
と、俺はその大きな背中に声をかけた。
「お〜い、リト君!君ここに用事あったの?」
「…あ”?」
俺の声に反応し振り返ったリト君はとても不機嫌そうな声で眉間にシワが寄っていた。あまりの形相に思わず俺はその場でぴゃっと小さく固まり、「俺またなんかやっちゃいました〜?!」と内心半泣きになった。
リト君は着崩した上着を揺らしながらこちらに近づき、舐めるように俺を見つめた。
それから、
「…お〜。ちょっとな」
と笑って答えた。そういえばリト君目悪かったんだっけ、とぼんやり思った。
「なァ、俺まだ用事終わってなくてさ。
ちょっと付き合ってくんね?」
リト君は首を少しこてんと傾けお願いするように言ってきた。一見人によっては可愛いと思うかもしれないが(顔だけは可愛いので)、俺からすればその裏に隠れるように潜んでいる圧が少し怖かった。
「…分かった。」
怪しく光るリト君の目を見ながら一言答えて頷くだけすると、俺は満足そうに歩き出すリト君の後ろを何も言わずついて行った。
後ろ手でマナ君に帰りが遅くなる旨の連絡をしスマホをポケットにしまった。
リト君はしばらく人気のない中華街を歩いて、ある店の前で立ち止まった。その店は名前や看板などの装飾はなく、ただ出入り口のドアに札でOPENの文字がぶら下がっているだけだった。
なんだろうかこのお店。とぼんやり思っていると、先に中に入っていたリト君に「まァ入れよ」と腕を捕まれぐいっと引き入れられた。
バタン、と店の扉が閉まり、俺はリト君とは向かいの席に座った。
「ぇ〜と…リト君、用事っていうのは…?」
「ここの店番。知り合いの店主が倒れちまったからな」
リト君はそう言うと立ち上がり店の奥に入ると、しばらくして戻ってきた。手には何かを握っていた。
「後、試作品頼まれてさ。
客が来たら食わせて感想聞いてくれって」
リト君は俺の前に握っていたものを差し出した。それは飴玉らしく、灰色の紙に包まれていていかにも駄菓子屋なんかに売ってそうな感じだった。
「え、くれるの?俺お客さんじゃないけど」
「お前の感想も聞きてェからさ」
今飴玉を食べるよう促され、俺は包み紙をほどいた。
瞬間。
「ッ!」
「これさぁ…”そういうこと”でいいかな?」
俺は飴玉を地面に叩きつけ思い切り足で踏み砕いた後すぐさまリト君の腕を掴んでぎりぎりと締め上げた。いくらリト君であれ油断した状況であれば握力50以上かつヒーロー衣装で身体強化された俺の手をほどけないらしい。リト君は驚いた様子で顔を歪めた。
「君、リト君じゃないだろ」
俺は締め上げていた手を離してリト君…否、リト君のニセモノとバックステップで距離を取った。
「っはは、
”お前の知ってる”宇佐美リトじゃねェのは確かだな」
リト君は俺に締め上げられていた方の手をぷらぷらと揺らしニヤリと笑った。
「俺さぁ、裏切りと同じくらい
嫌いなんだよねそういうの。
やめてくれるかな」
「知らねェよお前の都合なんざ。
死活問題なんでね」
俺はそんな様子のニセモノに内心舌打ちすると一気に距離を詰め、蹴りを放つ。
が、流石に読まれていたのか手で足を捕まれ勢いを殺される。俺は一瞬動揺したもののすぐさまナイフを持ち刃先をニセモノの腹部めがけて突き出す。
一瞬頭上から舌打ちが聞こえると掴まれたままの足が外側に投げられ体がニセモノから離される。クソ、刺し損ねた。
「お前、マジで殺す気じゃん俺のこと。
何、コイツ知り合いなんじゃねェの」
と、ニセモノは自身の心臓部分の胸を人差し指でとんとんと叩いた。恐らく、「コイツ」とは…俺が知っているリト君のことを指しているのだろう。
「残念、舐めてもらっちゃあ困るね。
俺ぁホンモノ以外ならどれだけ似ていようが
躊躇しない」
「…はっ、”正義”に狂ってんな」
「失礼だな、
ちゃんとヒーローって呼んでくれよ」
リト君は俺がいつ突撃してくるか様子を見るかのようにこちらをじっと凝視した。俺はその視線を受けながらナイフを構え直す。
と、見せかけて。
「オラァ!投擲ーーッッ!!」
俺はナイフを構えるふりをして振りかぶり、瞬時に石を複数同時にニセモノに向かって投げた。
ニセモノはそう来るとは思ってなかったのかぽかん顔を一瞬だけし、飛んでくる石を避けた。
ニセモノの視線が数秒だけ俺から石に移る。
今だ。
俺はすぐさま姿勢を低くし地面を思い切り蹴ってニセモノめがけて特攻した。ナイフを構え、ニセモノの腕めがけて振りかぶる。
ニセモノはそれに反応し避けようと腕の位置を少し浮かせようとした。俺はその瞬間を見逃さなかった。
浮いた腕をすぐさまナイフを握っていない方の手でガッチリ掴み、その間にナイフを投げ捨てポケットに入れておいていた手錠をニセモノと自分の腕にかけた。
「これでお縄だなニセモノ
俺を騙そうたぁ100年早いね」
「ちなみにこの手錠、俺の同僚が作った
特殊なやつだから壊せないし俺ごと引っ張って
連れて行こうとしても無駄だからね」
ふんす、と見せつけるように手錠がかかっている方の腕を掲げてみせると、ニセモノは観念したようにやれやれと両手を軽く上げて降参の姿勢を取った。
「なァ、いつから気づいてた?」
「…ほぼ最初から。
違和感は所々にあったよ」
「まぁでも正直困惑した。
けど、確信に変わったのはあの飴…
匂い、だね」
「匂い…?」
ニセモノは単純に疑問なのかさっきと同じように顔をこてんと傾げた。こういうところがリト君に似ているので内心イラついてしまうが、それを表に出さないよう説明する。
「御生憎様、俺は一般人より
嗅覚がいいんでね。飴からは…
まぁ、簡単に言うとタバコと似て非なる匂いがしたよ。
それも中毒の匂い。果物の匂いでだいぶ誤魔化してるつもりらしいけど。」
「そうなると違法薬物所持及び売買で
投獄されてもらいたいところだけど…」
「コレ、多分ギリ法に触れないブツだろ。
中毒成分はタバコのニコチンあたりと近い。
それにプラシーボ効果も利用してる感じか?」
「ふは、御名答。全部当ててくれんじゃん。
んで、俺を逮捕しても意味ないっつーわけだ。」
「このまま見逃してくれてもいいんだぜ?」
違法なものではなかったというのもあって、捕まっているというのに余裕な調子のニセモノはそう言ってへらりと笑う。その目は心底楽しそうだ。
「阿呆抜かさないでくれよ。
たった今KOZAKA-Cのいたずらで
ドッペルゲンガーらしき人間が出現するようになったって
事件が相次いでんだよ。」
「まず本部に連れて行って事情聴取。
最悪でも今晩は家に帰れると思わないほうがいいよ」
はっきりそう言うとニセモノは特に表情を変えることもなく「マジか〜」と呑気で間延びしたような声を上げる。
俺はそんなニセモノと繋がっている手錠をぐいぐいと引きながら中華街の出口に向かい、本部を目指した。
が、本部につくと用事を終わらせたという本物のリト君と遭遇し大騒ぎになったのだが、それはまた別のお話で。
END.
(伏せ字に特に意味はない)登場人物紹介
tt(ヒーロー軸)
物語の主要人物その①。
パトロールをしていたのだがその中でrtのニセモノ…
というか、シャ/ン/ティ軸のrtと出会った。
なりすましだとかそういうのが裏切りと同じくらい嫌いなので
(↑これは作者のクソガバ解釈。というか設定)
ニセモノだと気づいたときから56す気満々だった。
が、事件についての手がかりも必要なのでriにもらった
捕獲用の手錠でとりあえず捕まえた。
シャ/ン/ティ軸のrtがニセモノではなく世界線が違うだけで
本物と判明したときは顔を真っ青にして本人に平謝りした。
その後は交戦した時よりかは幾分か柔らかめな態度をとっているが、
未だにシャ/ン/ティ軸のrtは警戒してるしちょっと怖い。
rt(シャ/ン/ティ軸)
物語の主要人物その②。
突然黒白の生き物に違う世界線に飛ばされた、
怪しさ満点で怖いけど一応被害者の人。飴屋さんをしている。
飛ばされた世界線では元の世界線より厄介な輩が多いので
不機嫌でいると急に知らない声に自分の名前を呼ばれて思わず反応した。
その後はttに正体に気づかれたりニセモノ扱いされたりで捕まったわけだが、
話を聞いた後平謝りしてきたので「コイツおもろ」と思ってttのことを気に入っている。
原因となったKOZAKA-Cを倒すまで帰れないのでしばらく本部に居座っていた。
初めてヒーロー軸のrtと対面した時の印象は「まぶしい」。
が、元の世界線に帰った後ひょんなことから小さな雷獣を拾い、
ヒーロー軸ttと双子レベルでそっくりな男(ア/ジ/ト/ラ軸tt)を見つけて構いに行き…
後にその男と紆余曲折あって恋人にまで関係が発展するのだが、それはまだ先の事である。
rt(ヒーロー軸)
本編に登場こそしていないものの、
主要人物二人の会話の中心の人物だった。
ttと付き合っている。
実はmnからメールで「ttが帰りが遅くなると言っているのだが、
あまりにも遅くて心配。」という旨のメールが送られてきていて、
迎えに行こうか考えていた。
用事が終わったついでに書類整理で本部に来ていたのだが、
その後本部に来たttが自分とドッペルゲンガーかってくらいに
瓜二つの野郎と手錠で繋がれていて、某声の大きさで倒すゲームの時の声にも
負けないくらいの大絶叫を上げた。
初めてシャ/ン/ティ軸のrtと対面したときの印象は「目が笑ってない」。
シャ/ン/ティ軸のrtが帰れるようになるまで本部に居座っていたのだが、
その間はttのことを気に入ったらしいシャ/ン/ティ軸のrtと
ttの取り合いが定期的に発生していた。だが大体ヒーロー軸rtが勝つ。
本部にいる時は決まってシャ/ン/ティ軸のrtがttの後ろをついて回ったりするので
普通に嫉妬している。次にttが家に泊まりに来た時どうしてやろうかと
恐ろしいことを考えられていることをttは知らない。
コメント
2件
やばいです!ちょーどタイプな話でした!シャンティrtがttを気に入ってるのめっちゃ好きです❤️
え!?!?!?!?シャ ン ティ宇佐美とヒーロー宇佐美で佐伯の取り合いとか嬉しすぎるんですけど!!?!?空気になりたい……