注意事項は一話かあらすじをご覧ください
かなり水赤(赤水解釈可能)です
7割くらい赤さんの回想です
暴力表現、グロ表現注意
展開が速いです
最終回です(ここまで見てくれた方本当にありがとうございます )
お久しぶりです。投稿バカほど空きました。
待ってて下さった方本当に申し訳ございません…
しんどい展開してるので微閲覧注意
前置きが長くなりましたがここまで大丈夫な方のみどうぞ
…くらい
さむい
あつい
おれ、いまなにして
ゆっくりと目を開ける
強烈な生臭さと
目の前に広がる赤色で脳が埋め尽くされていく
『……っ……お゛えっ』
びちゃびちゃ音がする
また、赤色が落ちた
大嫌いないろ
よく回らない頭の中
とても見れたもんじゃない映像が流れ始める
…走馬灯というやつか
“気味の悪い子どもね”
“あんなのを集落に置いて大丈夫なの?”
“家族もろとも追放してしまえば良いのに”
“目を合わせるな。呪われるぞ”
びしっと衝撃を感じる
石を投げられたんだろう
周りの蔑んだような声の中、俺と手を繋いでいる女性が俯いている
…母さん
物心つく前に死んでしまった、俺の家族
“今日から此処がお前の家な”
“感謝しろよ。お前みたいな化け物引き取ってやったんだから”
“黙って抵抗しないでいりゃ生かしといてやるよ”
痛い
遊び道具として引き取られたことは承知していたけれど
ここまでだなんて
目の前がぼやける
息が出来ない
痛い
痛い
彼奴等との地獄みたいな時間ようやく終わって、一人薄っぺらい布団にくるまる
傷の痛みと共にわけのわからない怒りが込み上げてきた
なんでこんなに苦しい思いしなくちゃいけないの
なんでこんなに痛い思いしなくちゃいけないの
なんで誰も助けてくれないの
もし目が黒かったら、こんな思いしなくてよかった?
もし赤くなかったら
この瞳がなかったら
よかったのに
「泣いてるの?」
『……っえ?』
何処からともなく聞こえた声
誰?
此処には俺しかいない筈なのに
「あ、ごめんね。驚かせちゃった」
『…誰、です、か』
掠れた声でなんとか尋ねる
傷の所為で起き上がれない俺を気遣ってか、そいつは俺の顔の傍に座り込んだ
…背の高い男だった
上等な着物を身に纏って、刀を腰に携えていて
顔が獣のお面で隠されていた
「うーん…誰かっていうのは言えないかな。ごめんね。怒られちゃうし」
『…はぁ、』
本来ならもっと混乱すべき状況なんだろうけど
その時は痛みで思考が鈍っていたからか、普通に受け入れてしまった
「ねぇ、その傷どうしたの?痛そうだけど大丈夫なの?」
『…大丈夫に、見えます?』
「見えないわ。ごめん」
大して面白い会話内容でもないのにくすくす笑い始めるこいつ
むっと俺が顔を顰めたのに気づいたのか、軽い調子で謝ってきた
「笑っちゃってごめんね。てか、それ隣の部屋の男の人間達にやられたの?」
『…うん』
「え、何やらかしちゃったの?門限破ったの?なんか物壊しちゃったの?」
『…いや、別に…何もやらかしてなんか、』
というか、俺の顔見えてんだろこいつ
赤い目の所為だってわからないのか?
「へぇ、何もやらかしてないのに暴力振るうだなんて、人間ってよくわからないね」
『…』
まるで自分は人間じゃないみたいな口ぶりで話すこいつ
俺からしたらこいつの方がよくわからない
「…じゃあ、可哀想な君にプレゼントあげるよ」
『…ぷれぜんと…?』
「贈り物って事だよ。はいどうぞ」
からんっ
ぼろぼろの畳の上に置かれた、鈍く光る棒
『…これ、なに?』
「煙管。煙草吸う道具だよ。雑貨店で買ったのは良いんだけど、使い方分かんないからあげる」
『…..きせる、?』
「そう。あと、お兄さんが素敵な魔法かけてあげるよ。おまけね」
魔法?
そう聞き返そうとしたとき、強烈な桜の香りが鼻を擽った
なんで桜の香りが…
「煙草ってね、吸ったら色んな事忘れられるから忘れ草とも言うらしいよ」
「嫌な事あったらそれ吸って忘れちゃいな」
「お話相手になってくれてありがとうね」
『…っえ』
いつの間にか部屋には俺だけしか居なくて
身体中の傷が嘘みたいに痛くなくなっていた
夢みたいな出来事だったけど、煙管は確かに残っている
煙管はまだ使っていない
これを吸ったら、嫌なことも良いことも丸ごと忘れてしまいそうな気がして
…あぁそうだ、思い出した
その次の日に彼と出会ったんだ
だから
煙管を使いたいなんて思えなかったんだ
あの日は珍しく彼奴等が家に居なかった
浅はかだったけれど、逃げられるかもしれないって思って
咄嗟に外に飛び出した
兎に角夢中で走って
人っ子一人居ない森の中
足を滑らせて崖から落ちたところまで覚えている
目覚めたら綺麗な九尾が傍にいた
人間と馴れ合うつもりはない、なんて言いながらも傷の手当てをしてくれた
澄み切った空色の瞳をぱちぱちさせながらころころ表情を変えていて
ほんの好奇心から、一方的に会う約束を取り付けた
…次第に彼に惹かれているのを感じた
俺から言われたことを気にして懸命に努力して
春にとびきり綺麗な妖術を見せてくれたのも
古傷が痛くて痛くて、まる20日ほど動けなかった夏の豪雨の日
ちゃんと崖下で俺を待っていてくれたのも
秋の日、俺のことを心配して
紅葉を飛ばしてみせてくれたのも
全てが愛おしく思えてきてしまっていて
彼だけだった
赤い瞳が綺麗だと言ってくれたのは
早く離れないといけない
これ以上彼を好きになってしまう前に
彼と親密な関係になってしまう前に
此方から近づいておきながら、今度は離れる、だなんて最低かもしれないけれど
俺が死んでも
彼はきっと、ずっと待ち続ける
彼は優しいから、長い間俺のことを思ってしまう
そんな風に彼を縛ってしまう位なら
いっそ俺の事なんて忘れてよ
秋には煙管を渡してそう言うつもりだった
…あぁ、そういえば今日は彼に会いに行く日だ
今も崖下できっと待っててくれているんだろうな
りうら遅いなぁとか、心配してくれているのかな
行かないと
彼が心配しちゃう
ほとけ、
ねぇ
まってて
「…ねぇ、りうら」
「誰にやられたの?」
……ほとけ?
「りうら?大丈夫?ねぇ、起きて、おねがい」
なんでほとけがいるの?
薄く目を開ける
途端に飛び込んでくる見慣れた景色
…あぁ、いつもの崖下だ
「りうら、傷大丈夫なの?痛くないの?」
おれ、ほとけに抱きかかえられてる?
うわぁ…あったか…
ふわふわだね。九尾の冬毛
「ねぇ、りうら返事して」
…?
なんでほとけないてるの?
「っ….おねがいっ…りうらぁ…」
泣かないでよ、ほとけ
折角綺麗な顔なのに
思わず涙を拭う
…ほんとうに、ほとけは綺麗だね
『ほとけ、』
『なかないでよ』
ぎゅーっと、ほとけを抱き締める
あ、俺の体温低いんだっけ
でもほとけはきつく抱きしめ返してきて
あったかいね。ほとけ
『…ふふっ…ほとけ、』
「どうしたの?りうら?」
『だいすき』
「…随分と照れ臭いこと言ってくれるね」
「ねぇりうら、眠いの?」
「外で寝ると風邪引いちゃうよ、りうら」
「っていうかまだその赤い着物なの?流石に冬はもっと厚着しなよ。凍死しちゃう」
「ねぇりうら」
「まだもの凄い妖術見せてないよ」
「かき氷だって食べてないし」
「もう一回お花見しようって言ったじゃん」
「ねぇ」
ぼくもだいすきだよ、って
まだ伝えてないよ
冬景色に染まりきった崖下で
風の音と、一匹の九尾の嗚咽だけが響いていた
終
コメント
5件
見終わって涙溢れてきた🥹 最愛の人と別れる辛さ、切なさ、 全部伝わってくる。 涙が止まりません😭 マイリストからまた初めからよ見に来ます、見に来る度泣くでしょう、最高の作品をありがとうございます😭💕✨
最高すぎる😭😭号泣して目腫れた状態でコメント打ってますぅ 心弱い方なのでほんとにもし良かったらハピエンド見てみたいですඉ_ඉ
うへ~悲しすぎるって(泣) も~好きだよー! 後りうちゃん虐めてきた人紹介して?そいつらピーしてピーしてピーするからね?