TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

「フォッフォッフォ。シディー殿助かりました。アルス殿も」


「いえいえ、当たり前のことをしただけですよ」


「アイ!」


屋敷での宴の席、オベリスク様が僕らにお礼を言ってくれる。赤ん坊の僕に対しても普通にお礼を言ってる。町の人達からもすっごい好かれているし、いい人なのが分かる。


「挨拶も済んだし、私達はそろそろ帰りますね。ルード達も心配しているだろうしね」


「おお、そうか。気づかずにすまなんだ。馬車で送ろう」


「大丈夫です。私達は飛んでいきますから」


「そうか……。礼をしたいんだがな~……」


そろそろ帰ろうと声を上げるとオベリスク様が顎に手を当てて考え込む。

あの聖剣と同じような物があるなら欲しいな~。魔法もいいけど、やっぱり僕は男の子。剣が欲しいな~。


「……そうね~。それならこの子が大きくなったら剣も覚えさせようと思ってるの。あなたの持つ聖剣みたいなものをくれないかしら?」


「聖剣を!? む~、それは儂の一存では難しいな。王に相談してみよう。アミドが持っている可能性もあるからの~」


シディーさんが僕の考えを察してかわからないけど、剣を要求してくれる。僕は嬉しくて彼女を見つめる。


「あなたは優秀な弟子過ぎるからね。少し甘い蜜を飲ませてあげたくなっちゃうの」


シディーさんはそう言って僕の頭に乗って撫でてくれる。僕はいい師匠を得たな~。ルードの時と違って甘やかしてくれてる。


「ではお礼は後日。ルミナを安心させてやってくれ。本当にありがとう」


オベリスク様はそう言って立ち上がると跪いて頭を下げてくれる。宴には一般の人もいるのに、貴族が平民と妖精に頭を下げてくれる。ほんとに凄い人だな。


「人族にはたまに凄い子が生まれるのよね」


帰路の空の旅。シディーさんが頭の上で呟く。ポンポンと頭を叩いてくる彼女はとても嬉しそうに思える。


「あなたはオベリスクよりも凄い人になれるわ。私が保証する」


「アイ!」


褒められて元気に答える。オベリスク様よりも凄い人か~。なれるかな~?

強くはなれてると思うけど、人から尊敬される人っていうのは難しいと思う。オベリスク様はあんなに沢山の笑顔に囲まれてた。僕が彼のようになるには沢山の人と出会わないとなれない。一期一会を大切にして人を大事にしないとな。


「クァ~……。バブ」


「暗い夜。眠くなってきちゃった?」


暗い夜、モンドルの村へと空を飛んでいると赤ん坊の僕はあくびが止まらなくなる。必死で寝ないようにしているけど、すっごい眠い。

この体はまだまだ子供だからね。起きているのも大変だ。


「仕方ないわね。私がかわってあげるわ。眠りなさい」


「アブ……」


シディーさんが大人のサイズになって抱っこしてくれる。僕はそれに甘えて眠りにつく。

彼女の温かさにすぐに瞼が落ちる。月の明かりが僕と彼女を地面に映す。そんな夢を見て僕は意識を手放した。


「ふぁ~。ん? おお! おかえりシディー。アルスは寝てるのか?」


「ふふ、そうよ。だからあんまり大きな声をあげないであげて」


うっすらとそんな声が聞こえてきて、眠りから少しだけ目が覚める。顔を拭うとシディーさんの大きな手が僕のおでこに触れる。


「起きちゃった?」


「アブ!」


「あらあら、ダメなお父さんね~」


僕の答えを聞いてシディーさんがルードのおでこをつつく。恥ずかしそうにつつかれたおでこを撫でるルード。


「それで? こっちはどうだった?」


「ん? ああ、あの木に縛ってるやつらがあの後来た奴らだ」


ルードが指さす方向を見ると木に縛られたり、枝にぶら下げられたりしている人がいた。みんな半裸でパンツだけ吐いている状態だ。


「装備は戦利品として拝借させてもらった。行商人が来たら売るつもりだ。そっちはどうだったんだ?」


ルードは家の前に置かれる戦利品の山を見せて聞いてくる。フルプレートの鎧と兜と剣が沢山ある。馬も増えてる。村が潤っちゃうね。


「オベリスク様を回復させたら彼がひとりで片づけちゃったわ。ルミナたちは寝ちゃった?」


「ああ、体が動かなくなるまで走っていたよ。強くなるって決意が凄いな。カデナも俺との訓練で倒れて同じ家のベッドに寝かせてある。二人とも真面目だ。才能あるよ」


シディーさんが報告しながら家に入る。ルードも一緒に家に入るとオリビアがお茶を入れてくれる。


「貴族がクレイトンを手に入れようと画策したみたい。教会の司祭も協力していて、オベリスクの一振りで教会が崩壊しちゃったわ。人としても凄い人だったわ」


「へ~、そりゃ凄いな。俺でもひと振りじゃ難しいかもな」


お茶を一口入れながらシディーさんが話すとルードが感心して椅子に座る。

シディーさんは僕を赤ん坊のベッドにいれる。優しく頬に触れておでこにキスをしてくれる。


「お礼をって言ってきたからアルスに剣をおねだりしちゃったわ」


「ふふ、それはいいわね。ルードみたいに剣の才能も芽生えちゃうかも」


シディーさんの言葉にオリビアがルードを見つめて話す。ほんとすぐにイチャイチャしちゃうんだから。


「羨ましいわねあなた達……。はぁ~、私に釣り合う人生まれてこないかしらね~」


「はは、それは難しいんじゃないか? 不死と言ってもいい妖精と釣り合う奴なんて」


「寿命なんていいのよ。魔法でも剣でもいいから私よりも強い子よ。アルスには期待してるんだけど」


シディーさんは大きなため息をついて僕を見つめてくる。ルードの声に怒りながらも僕の頬をつついてくる。

僕は嬉しかったけど、眠すぎて声を上げることができなかった。僕の意識は再度夢へと船をこぐ。

この作品はいかがでしたか?

42

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚