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春の風は いつも騒がしい


校庭の砂が舞って、


遠くで運動部の掛け声がして、


廊下はバタバタうるさくて



その全部より



『おーい! 無視すんなって!』



俺の後ろから響く声のほうが ずっとうるさい


「……朝から元気すぎ」


振り返らなくても分かる


ああ またこいつだ


『聞こえてんだろ? 絶対聞こえてたよな今!』

「聞こえてるからうるさいって言ってんの」

『ひどくね!?』


ぎゃーぎゃー騒ぎながら 隣に並んでくる


昔から ずっとこうだ


家も隣


登下校も一緒


気づけばいつも隣にいて



気づけばいつも こいつの声がしてた


『なあ 今日さ』

「んー?」

『帰りコンビニ寄ろうぜ』

「また?」

『いーじゃん』


どうでもいい話を


どうでもいい顔でして



笑って


肩ぶつけて


くだらないことで喧嘩して


俺の毎日は だいたいこいつの声でできている



『てかさ』


ふいに 真面目な声になる


『お前ってさ』

「なに」

『俺の声 すぐ分かるよな』


「……は?」


『電話でもさ 一発で「お前でしょ」って言うじゃん』



当たり前だろ そんなの


何年一緒にいると思ってんの



「世界一うるさい声だもん」


そう言うと


『は!? それ悪口!?』


ぎゃーって騒ぎ出して


周りのやつに「朝からうるせぇ」って怒られてる



ほんとバカみたい



でも、 その声が 俺は嫌いじゃなかった





むしろ








たぶん









いちばん好きだった








『ほら早く行くぞ!』



手首掴まれて 引っ張られる


あったかい手、 うるさい声、 春の匂い


全部 ここにある






だから






なくなるなんて 思ってもみなかった








その声が もう










聞こえなくなるなんて








登場人物紹介


神田 伊月 (主人公)

好物は和菓子

中学の頃から暸が好き

高校に入ってから少しずつ耳が聞こえなくなってしまう



郁田 暸

伊月の幼馴染

幼少期から伊月のことが好き

好物は甘めの珈琲







君の声が聞けるその日まで __

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