蒼が公園でのトラブルに巻き込まれ、結婚指輪を手にしたまま負傷した事件から数週間が経過した。彼は美月の支えによって少しずつ回復していったが、この出来事は二人に大きな影響を与えた。彼らの中で、「守りたい未来」の思いがより一層強く刻み込まれていた。
ある日の夕方、美月は蒼の自宅を訪ねた。蒼は少し痩せてはいたが、以前と変わらぬ優しい笑顔で彼女を迎え入れた。 「来てくれてありがとう。ほら、座って。少し話したいことがあるんだ。」 美月は頷きながら椅子に腰掛けた。
蒼は机の上に未来ノートを広げ、静かに語り始めた。 「このノート、最初に美月と一緒に未来を描き始めた時から、俺たちのすべてが詰まってる。楽しいことも、つらいことも、全部ここに残ってる。」 彼はページをめくりながら、過去の思い出を振り返り、美月に微笑みかけた。 「そしてこれからも、このノートに俺たちの未来を書き足していきたい。」
美月の目には涙が浮かんでいた。彼女はそっと蒼の手に触れ、静かに答えた。 「私も同じ気持ち。蒼と一緒に、この先もずっと夢を描いていきたい。」
その日の夜、蒼と美月は公園へ向かった。月明かりに照らされたベンチに座り、静かに星空を見上げる二人の間には、言葉がいらないほどの信頼と愛が満ちていた。
蒼はふとポケットから結婚指輪を取り出し、美月の前で膝をついた。 「美月、この指輪を見てくれた時、俺は必ず君を守ると決めた。この先どんな困難があっても、一緒に未来を歩んでいきたい。結婚してください。」
美月は驚きながらも、涙を流しながら微笑んだ。 「はい、喜んで。」 蒼は指輪を美月の左手にはめ、その手をしっかりと握った。
二人はその日、新たな未来を誓い合いながら、未来ノートの最後のページを開いた。そして、こう書き加えた。 「どんな未来でも、手を取り合って歩み続ける。」