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『ヒッ……!?』
咄嗟の事で避けられなかった。
首元から感じる自分のではないもう1つの吐息。体にのしかかる人の重み。
小柄な見た目に反して力は強く、とても押し返せそうに無い。
「…すき、すきすき。だいすき。」
『ひょぇ………』
まるで呪いの言葉のような愛の言葉が耳に流れ込んでくる。
15歳15歳
“愛”なんて甘いモノを感じなかった私の体は彼の言葉を聞くたびに段々と熱を帯びていき、体が内側から真っ赤に染まっていく。
恐怖ではない“ナニカ”が心臓の鼓動をはやめていく。
『や、やだ。なにこれ…離れてよ誘拐犯!!!』
おかしい、おかしい。こんなの私知らない。
胸を突き上げてくるような痛いくらいのおかしな感情が私の心を刺激し、闇雲に涙が溢れてくる。
その感情を誤魔化すように誘拐犯(仮)の胸板を両手の拳で力一杯殴る。
「可愛い……落ちつけよ、な?」
「…誘拐、したのは本当だけど。」
誘拐犯(仮)が誘拐犯(確定)に変化した瞬間だった。