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単独任務
自己紹介が終わるとレイナはキヨに言われ、ライネとともに廊下の掃除や、花瓶の水の入れ替え等をした。
「そういえば、ルガーラ様には挨拶しなくてもいいの?」
ここは人数が少ないので、新しく使用人が入ればそれを屋敷の主人にも伝えると思っていたのだが、一向にその気配がしない。
レイナはその事に疑問を持って、ライネに聞いた。
「あーそれね。私らもここで働き始めた時、ルガーラ様には一応今日からはたらかせてもらいますって言ったんだよ、」
やっぱり挨拶はしてたんだ
「じゃあ、なんで今はしないの?」
ライネは、少し面倒くさそう言葉を続ける。
「それはね、私らが挨拶した時、なんかこう、『これ以降使用人の挨拶はいい。わしの仕事の邪魔をするな』って言われたんだよ」
口調どころか顔まで似せたモノマネをしながら言われため、レイナは思わず吹き出してしまった。
「どうせ邪魔されてもされなくても、仕事の出来は変わんないだろうにね〜」
ライネが絵画の埃を拭きながら、サラッと毒を吐く。
この人毒舌家か?
レイナはそう思いながら、絵画の近くに置かれていた、花瓶の水を変える。
花瓶にいけられている花は、スイートピーだ。花言葉は確か、「優しい思い出」だった気がする。それを見て、レイナはあることを思い出した。
「花とかって、選ぶ時にこだわりとかあるの?」
「私が買う訳じゃないから分からないけど、特にないと思う。なんで?」
「スイートピーって優しい思い出っていう花言葉があって、そういえばルガーラ様の奥様って少し前に亡くなられてたっけな〜って。それでなんか意味があるのかなって」
レイナがそう言うと、ライネは少し戸惑いを表情に出した後、誤魔化すように言った。
「そういう事はキヨさんに聞いた方がいいんじゃないかな?花の買い出しは基本あの人だし」
「そうなんだ」
何かを隠しているのか、ライネは少し目を逸らしている。
少し探りを入れてみることにした。
「そういえば、スイートピーってさっきの花言葉以外に、『私を忘れないで』や、『別離』っていう意味もあるらしいよ。なんか闇深そうだよね」
「へぇ〜そうなんだ」
ライネはさっきから、目どころか顔も見せようとしない。
これ以上言ったら怪しまれそうなので、ここでやめて置くことにする。
「それじゃあ、絵画の方も終わったし、次は廊下やろっか」
ライネの言葉で、テキパキと掃除を進めていると、近くの扉が開く音がした。
「ルガーラ様。お仕事の方はいかがでしょうか?」
扉から綺麗に整えられた髭を生やした中年の男が出てくると、ライネが即座にお辞儀をした。レイナもそれを見て真似をする。
「あぁ、ようやく一段落着いたところだ」
中年の男、ルガーラはそう言うと、レイナの方に視線を向けてきた。
「見ない顔だな。新入りか?」
「はい。今日からここで働かせていただきます。ウィンと申します」
レイナは1回顔を上げた後、また深々とお辞儀をした。
「そうか。次新入りが来た時は、わしに言うようにハイネに伝えておけ。知らない人物が屋敷にいるのは、気分が悪いのでな」
「はい。承知いたしました」
「わしは暫く息抜きに散歩に出かけてくる。」
「行ってらっしゃいませ」
2人がそう言うのを最後まで聞かずに、ルガーラは屋敷の玄関の方へと向かっていった。
「はぁ〜」
ルガーラの姿が見えなくなった途端、ライネが肩の力を抜く。
「マジでなんなの。この間は『新入りの挨拶はいい』って言ってたくせに」
レイナは、ルガーラの態度に驚いていた。事前に調べて来た情報だと、ヒトが良くて親しみやすい性格だと言う生地が多かっのに、さっきのルガーラはかなり高圧的な印象がした。最近ルガーラのヒトが変わったという情報は、デマではないらしい。
「噂に聞いていたのとは随分違ったけど…」
「私が来た時からああだったよ。本当に、『事件』依頼ヒトが変わったらしいね」
「事件って、確か使用人が行方不明になったんだっけ?」
レイナが訊くと、ライネは頷きながら言った。
「そうそう。使用人が金目のものを盗んで行方不明になったって言う。その使用人の遺体が山の中で見つかったけど、調べてみると使用人が行方不明になる前にはもう死んでいたんだって」
「不気味だよね」
「何年か前にネットで結構有名になってたよね。でも、TVでは全くその事件については扱われなくてさ、それでさらに何かあるんじゃないかってネットが騒ぎ始めて」
「!!」
いくら調べても出て来なかった情報が出てきた。だが、当時のネット上の事件に関わる投稿は、殆どないと言っても過言では無い。
レイナは新しい情報が手に入ると、ライネの話を更に集中して聞いた。
「それで、暫くするとその事件に関する話題がピタリと出てこなくなってさ、それどころか、以前投稿されていた事件に関する考察の投稿も、消されて行ったんだよ」
「!!!」
「それで誰かが意図的に消してるんじゃないかっていう陰謀論?みたいなものまで出てきてさ、それも暫くすると全く無くなったの」
「不思議なこともあるんだね」
「結局あれはなんだったのか、未だに分かんないんだよ」
ライネがそう言ったところで、掃除していた廊下が分かれ道になった。
「んじゃ、ここで一旦別れて掃除しよっか」
そう言うとライネは片方の廊下へ行く。レイナはその反対の廊下を掃除し始める。
掃除をしながらも、レイナの頭の中では先程の話について考えていた。
さっきの話は、今年にこちらの世界に転移してきたレイナには絶対に分からない情報だ。いくら調べても事件に関する記事が少ししか出てこなかったのも、恐らく先程のライネの話にも少し出てきた、何者かが消していたのだろう。
レイナはそう思いながらも、掃除を続けた。
その夜。
仕事が終わり、屋敷内の使用人用の風呂で身体を洗ったレイナは、部屋に戻りベットに倒れ込む。
あの後も掃除をしながら屋敷全体を見て周り、どこに防犯カメラが設置されているかを見たり、どこが誰の部屋かを調べたりしていた。
久しぶりに本格的に働いたため、少しというか、だいぶ疲れたようだ。
数秒ベットの上でダラダラした後、スマホを取り出して今日わかった情報をまとめ始める。
―――メモ――――――――――――――――――――――
〘部屋割り〙
〘分かったこと〙
・使用人行方不明事件、ネット上の情報を誰かが消している可能性あり
・ルガーラ市長、使用人の目から見ても性格は以前とは別人
・花の買い出しはキヨが行っている
――――――――――――――――――――――――――――
分かった事は、これくらいだろうか。
レイナはメモのアプリを閉じると、通知を確認した。すると、ついさっき、お風呂に入っている最中くらいにだろうか。ナギからLINEでメッセージが来ていた。
アメ『初任務どんな感じ?』
フユ『まあまあかな』
そう返信すると、数分後に返信が来た。
アメ『そっか。頑張ってね』
フユ『ありがと』
アメ『なんかあったら相談してね』
フユ『了解。そっちの方は仕事どんな感じ?』
こちらだけ訊かれるのもあれなので、レイナもナギに仕事の進捗を訊いてみる。
恐らく考えているのだろう、少し時間がかかって、ナギから返信が来た。
アメ『こっちもまあまあかな』
だいぶ考えていたことから、恐らく余り進んでいはいないのだろう。
レイナは少しクスッと笑ってしまったことに気がつき、慌てて少し緩んだ表情を戻す。
フユ『そか』
アメ『それじゃおやすみ。明日も頑張ってね』
フユ『うん。おやすみ。そっちも仕事頑張って』
LINEを終わらしてスマホを閉じた所で、部屋の扉が開いた。
「おぉ。もう部屋にいたんだ」
「うん。特にやることもないし」
ライネは自身のベットの上に座り、少しだらけた体制をする。
「ん〜っ!疲れたぁ」
そして大きく伸びをすると、レイナの方を見た。
「レイナは疲れてないの?」
「私はさっきだらけて回復した」
「おおっじゃあ私も早く寝るか」
「了解。電気消すよ」
レイナが電気を消すと、ライネが布団に潜り込む音がした。
レイナも布団に潜り込むと、睡魔は想像よりも早く訪れ、レイナの意識も夢の中へと潜り込んだ。
どうも。
めっちゃいきなりですけど、皆さんはお盆のお墓参りもう行きましたか?
僕は明日から行くんですけど、周りは結構もう行っている人多くて。
それでは、特に話すこともないので、
さよなら〜(ᐙ)/