『痛みを負った心には愛の癒しを』〜愛情は特効薬〜
第8錠 心も暖まるような
『初めまして、主様。俺はフェネス・オズワルドです。』
『は、初めまして…。』
『……?あ、すみません、俺身長高くて…しゃがみますね。』
『あ…。』
(私が怖がってるの気づいて…。)
『ふふ、これで大丈夫ですかね。お風呂に入られますか?』
『うん…』
『良かった、ちょうど主様に聞きたいことがあったので。大浴場まで案内しますね。』
『大浴場…。』
大浴場にて。
『これが大浴場です。』
(す、すごい、ホテルとか旅館とかでしか見ない…。)
『バスタオルはこちらをお使いください。リラックスできるようにアロマを焚きますね。お好みの香りはありますか?』
『何があるの?』
『そうですね…薔薇のアロマや桃のアロマとかがありますね。』
『そしたら、バラがいいかな。』
『かしこまりました。お風呂にも薔薇が浮いてるのでリラックス出来ますよ。』
『もしかしてこのバラ…。』
『えぇ、アモンが育てたバラです。』
『いい香り…。』
『ふふ、喜んで貰えて嬉しいです。アモンも喜びますよ。では、ごゆっくり。俺は脱衣場の外にいますから。』
『うん、ありがとう。』
バタンっ。
お風呂に薔薇の香りが広がる。
(落ち着く…。寝てしまいそう。)
チャプン。
『ふぅ…。ゆっくりお風呂入ったの久しぶりだな。前は…。入らせてくれたけど、湯船には浸からせて貰えなかった。冬だからとても寒くて…。』
(っ、ダメダメ。もう考えない。私はもうあっちには帰らない。)
『暖かくて…安心するなぁ…』
ポタっ。
浴槽に雫が落ちた。
『う、うぅ…。』
(ずっと…ここにいたい。)
『…。泣き声?』
(きっと…暖かいお風呂に安心したのかな。
それなら良かった。)
数時間後。
『疲れは取れましたか?』
『うん、久しぶりの長風呂だった…。』
『ふふ、それは良かったです。もうお休みになられますか?』
『うん、身体が暖かくなったからすぐ寝れそう。』
『良かったです。それではお部屋まで送ります。』
ガチャ
『あ、主様!』
『ムーちゃん?』
『えへへ、主様と一緒に寝たくて待ってました!』
『ムーちゃん…。ふふ、一緒に寝よっか! 』
『ふふ、すっかり仲良しですね。では俺はこれで。おやすみなさいませ、主様。』
『うん、おやすみ、フェネス。』
『主様こっちです!』
『はいはい。』
次回
第9錠 痛みには甘い言葉を
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