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「みんなー!はい注目!!」
ロビーにDandyの元気な声が響き渡る。
そんなDandyの手には1冊の少し古びた本が。
「今日は…なんと!さっき僕がたまたま見つけたこの物語…『勇者、魔王の城へ!』を寸劇で再現してみよう!」
そう述べるDandyの目はキラキラと輝いてい
る。どうしてもこの物語の寸劇がやりたい!と言わんばかりに…
「…質問。それってどういう物語?」
と、ベンチで足を組みながらveeがそうDandyに問いかけた。
「いい質問だね!この物語は…簡単に流れを言うと『魔王に攫われた姫を勇者が助ける!』…って感じ!」
「ふむ…見る分には面白そうだね。」
そんな二人の会話を遠目から見詰める二人。
「……嫌な予感しか…しない。」
「…私も同感です。できれば静かに退散したいところ。」
Dyleは自身のshopのカウンターに肘を置き頬杖をついている。そんなDyleとAstroは目を見合せ、同じ結論に辿りついた。
二人はそっとDandyに気付かれないように…その場を立ち去る。…筈だった。
「ちょっとまったー!そこの2人!逃げるなんて僕が許さない!」
DandyはDyleとAstroをいとも簡単に捕まえ、肩にポン、と手を置いた。
「取り敢えず…2人には逃げた罰として、勇者と姫役をしてもらおうかな?」
その言葉を聞いた瞬間、DyleとAstroは2人揃って顔を顰めた。
「Astroが勇者役でDyleが姫役!その方が面白そうでしょ!」
「…僕が勇者で?」
「私が姫…と?」
「そう!拒否権は無いよ!逃げようとした罰なんだから!!」
とDandyは満面の笑みで述べる。
その後、Dyleの腕を後ろに縛り、『攫われた姫』として吊り下げてしまった。
「私が姫役とは、中々見苦しくないですか?」
「せめてそこら辺の木とかが良かった…」
「まあまあ!実際にやってみたら意外と楽しくなって来るでしょ!そんな事より、他のみんなの配役を決めなきゃ!」
Dandyは暫く考え込んだ後皆を指差しこう述べた。
「veeは魔王!sproutは魔王の手下!えーshellyは…町娘!Pebbleは 町娘の ペットね!」
「ワタシが魔王?妙にしっくりくるのが腹立たしいね。」
「え、えぇ…出来る限り頑張るよ。」
「わ、私?!でも…面白そうだね!」
「アーフ!!」
「よーし、じゃあ早速…寸劇開始ッ!」
こうしてDandy達の寸劇は始まったのである。
「フフフ…この姫はワタシが貰った!勇者よ、来れるものなら来てみろ!」
「くそー魔王め、絶対に倒してやるー」
「助けて勇者ー」
veeはノリノリだがAstroとDyleは死んだ魚のような目で台本に書かれたセリフを読み上げている。
Astroは勇者の剣…代わりのモップを掲げ、突撃しようとするが、その前にsproutが立ち塞がる。
「おっと!まずは僕を…えっと、なんだっけ?あっ、そうだ。僕を倒してからいけ!!」
一瞬セリフを忘れかけたものの、すぐに思い出し魔王の手下役になり込めている。
shellyはというと町娘役として端から元気いっぱいに声援。
「頑張れ勇者!負けないでー!」
そしてPebbleはDandyの合図で登場。
全力で走り回る。その度に吊られているDyleが揺れ、
「…勘弁してください。」
と、Dyleは小声で嘆いたのであった。
舞台は大混乱。だがそれを見つめるDandyの顔は満足げだった。
「うんうん!これぞ完璧な寸劇だ!観客がいれば大喝采間違いなし!!」
「うわー!やられたー…」
Astroとsproutの一騎打ちはAstroの勝利で終わった。
とうとう魔王との戦いに。話もクライマックスに近付いている。
「ふん、よくぞここまで来れたな、勇者Astroよ!だが…お前はここで負ける運命なのだ!」
veeはノリノリでセリフを読み上げる。
Astroは段々と全てが面倒くさく感じてきたようだ。そこでAstroはまさかの行動に出る。
「…最強のコマンド発動…攻撃力大幅にup…一撃で魔王veeを倒した。はい終わり…」
そう、完全なアドリブで魔王との戦いを5秒程で終わらせてしまったのだ。
「え、ええ…?ワタシ、何も出来てないんだけど…」
veeは突然の事に困惑し、その場で立ち尽くした。
その間にAstroはさっさと吊られているDyleの縄を解き、解放した。
「はあ…助けて下さりありがとうございます。勇者Astro。
……これで寸劇は終わりですよね?」
「ちょ、ちょっと待ったー!流石に魔王との戦い終わるの早すぎない?!」
Dandyは舞台に飛び出し、Astroにそうツッコんだ。
「…長かったから。さっさと終わらせようかなって。」
「もう!魔王との戦いが1番重要なところなんだよ?!そこだけもう1回やろう、アドリブなしでね!」
「いや…もうDyleも助けたし、もう僕寝たい…」
こうしてDandy達の寸劇は幕を閉じた。