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ある日の夜。時計の針はもう既に10時を指していたが、メイントゥーン達とDandy、そしてDyleはテーブルを囲むように座っていた。
そのテーブルの上には『人狼ゲーム』という言葉の書かれたカードケースが。
「…ということで、僕らで人狼ゲームをしよう!」
Dandyがにっこりと述べる。
「…やだ眠い……」「僕はこういうのあまり得意じゃないんだけどなあ…」「いいね!なんだか楽しそう!」「Q:このゲームをする意味は? A:無い」「ワンッ!」「…興味が無いといったら嘘になります。」
反応は人それぞれ。嫌がるトゥーンもいれば興味のあるトゥーンもいる。Dandyは皆の言葉を聞き、こう述べた。
「まあまあ、とにかくやってみよう!きっと楽しいから!」
「僕は進行役やるね!第三者視点で皆の議論も聞きたいし!」
「アーフ!」
「ああ、Pebbleは喋れないから傍観ね!」
Dandyは進行役、Pebbleは傍観者として人狼ゲームを見守る事に。
それ以外のAstro、sprout、shelly、vee、Dyleの5人が人狼ゲームをする事に。
「ルールは至って普通!『村人陣営と人狼陣営に別れて自分の陣営の勝利を目指す事』
役職は人狼1人、村人2人、騎士1人、占い師1人!ちなみに人狼は夜に誰か1人を襲撃できるけれど、襲撃をしないという選択もあるよ!」
とDandyが軽く説明したのち、シャッフルしたカードを1枚ずつ皆に配った。
「そのカードの中身は誰にも見せず、自分だけが分かるようにしてね!」
その言葉の通りに、皆自分のカードを誰にも見せずにそれぞれ確認した後、カードの表側を下にしてテーブルに置いた。
「確認したかな?なら始めるよ!議論は3分。投票時間は1分、OK?じゃあ…スタート!」
その声を合図に人狼ゲームは幕を開けた。
初日とだけあって皆発言しようとしない。
そこで沈黙を破ったのは、sproutだった。
「正直、初日って難しいけど…そこで黙ってる人こそ怪しいと思うなあ」
「じゃあちゃんと議論に参加しないと!…えーと、取り敢えず占い師は今のうちに出た方がいいんじゃないかな…?」
shellyが声を上げる。
その言葉にveeが低く笑う。
「さて、今名乗り出てくる占い師は本物か…または偽物か…」
Astroが深く椅子に腰掛けたままこう述べた。
「じゃあ、宣言するね。僕が…占い師だよ。」
その発言にsproutが驚きで目を丸くする。
「……本当?…じゃあ守る役も動きやすくなるかな 」
「守る役?騎士の事?」
とshellyがその言葉に反応する。
その一言でその場がざわめいた。
そこにDyleが落ち着いた声で口を開いた
「…今、騎士という役職のことを口にしたのはsprout。役職の存在を意識しすぎているように見えます。」
「ちょ、ちょっと待ってよ!僕はただ…セオリーを話しただけだって!」
sproutは慌てて手を振ったが視線が集まっている。
「そう言われちゃうとなんだか怪しく見えてきちゃうね…」
「仮に騎士は役職にいるから騎士は占い師を守るべき。だから騎士は自分の役職を明かさなくていい。
…それと逆にsproutの発言は『自分が騎士だとアピールして吊り逃れ』しているようにワタシは感じたけど。」
veeは足を組みながら冷静にそう述べた。
「いや本当に僕は…!」
「はーい、議論が煮詰まって来たところで、3分経過したので投票タイムになりまーす!最初に追放されるのは…誰だろうね!」
「ワンワン!!」
その言葉に皆はそれぞれ怪しいと思うトゥーンに投票し始めた。
「…さあ!皆の投票が終わりました!投票の結果、追放されるのは…sprout!」
「初日で終わるなんて…あんまり過ぎる!」
と言い残し、sproutはPebbleと一緒に傍観者として人狼ゲームを見守る側に。
Dandyは口角をあげた。
「さあ、ここからは夜の時間!皆、目を閉じてね…」
「おはよう!朝の時間になりました!今回襲撃された人は…なんと、誰もいませんでした!」
Dandyの言葉で一同にざわめきが走る。
「僕を…守ってくれたって事なのかな…占い師って宣言したから、」
DyleがAstroをじっと見つめる
「…占い師と名乗る者を守るのは当然ですが、逆に人狼が『守られたように見せかけるために襲撃を控えた』可能性もあります。」
その言葉にAstroは「うーん…」と声を漏らし、考え込んだ。
「その場合もある…かも。取り敢えず今日は僕が占った結果を言うね。…shellyは白だよ。」
shellyはその言葉に胸を撫で下ろす。
「よかった…私が村人だって言っても誰も信じてくれなさそうだから助かったよ!」
だがそこにveeがすぐに突っ込む。
「質問。どうしてshellyを占った?昨日sproutが追放される流れで、shellyは既に白寄りに見られてたと思うんだけど?」
Astroは視線を逸らさず答えた。
「…だからこそだよ、疑いが薄い人物を調べれば結果が出た時に村の情報が整理しやすくなる。」
Shellyが少し迷った様子で口を開く。
「……ねえ、もし騎士が私を守ってたらどうする? 占い師より私を残そうとした、とか」
「それはないんじゃないかな…セオリー的に占い師を守るのが普通だと思うよ…」Astroはきっぱり言う。
だがDyleは口元をわずかに歪めた。
「……逆に言えば、その『セオリー』に従っていない人物こそ騎士かもしれませんね」
Shellyは思わず黙り込む。
彼女は役職を持っているのか?
それともただ疑心を広げようとしているだけなのか?
皆の議論をPebbleとsproutがただじっと見守る。
「…3分が経過しました!投票タイムになりまーす!」
その言葉を合図に皆怪しい人物に投票をしていった。
「…皆投票は終わったかな?じゃあ結果発表!今日追放されるのは…なんと、同票なので本日は追放者なし!
では、夜の時間と参りまーす、目を閉じてね…」
「おっはよう!3日目です!さぁて、今日襲撃された人物は…誰もいませーん!」
Dandyがいつもの口調でそう述べる。
Astroが真剣な顔で口を開く。
「昨夜占ったのは…Vee。結果は村人だよ、」
Shellyが驚きの声を上げる。
「えっ……じゃあ残る怪しいのはDyleしかいないんじゃない!?」
しかし、Veeは冷ややかに返す。
「質問:占い結果を簡単に信じていいのか?」
画面に緑のノイズを走らせながら、続ける。
「昨夜犠牲者が出なかったのは『騎士が守った』からかもしれない。
だけど、もう一つの可能性もある。
そう、昨日Dyleが言ったように人狼が『占い師』を疑わせるために”わざと襲撃を外したのでは?」
Shellyは戸惑いの表情を浮かべる。
「えっ……そんなことまで考えるの?」
Dyleは静かに頷いた。
「ええ……だからこそ、今は誰を信じるかが重要です」
場はすぐさま沈黙の場となる。
とうとうShellyが意を決して言った。
「……もう言う。私、騎士なんだ。ずっとAstroを守ってきた」
場が一瞬、凍りつく。
Astroは目を見開いた。
「本当に……君が?」
「うん。もし私が嘘だと思うなら、今日私を追放してもいい。でもそうすればAstroは無防備になる。村にとっては不利でしょ?」
Veeがスクリーンをチカチカと点滅させる。
「ここで『騎士だ』と名乗り出るのは、村を救う行為?それとも……追い詰められた狼の芝居?」
「はいはーい、議論タイムは終わり!投票タイムだよ!中々脱落者が現れない状況だけど…今日はどうかな?!」
皆慣れたようにDandyの言葉を合図に投票をする。
「…ほうほう、では投票結果を発表しまーす!…今日も2対2の同票で追放者ゼロ!
面白い展開だ!では夜の時間へ…」
全員ゆっくりと目を閉じた。
「グッドモーニング!そろそろ朝の挨拶のバリエーションが尽きそうだから決着つけちゃってよ!ということで、今日の犠牲者は…なんと、shellyでした!」
「……っ!」
Astroの顔が強張る。
騎士を名乗った彼女が、ついに倒れた。
Astroは深く息を吐いた。
「……最後の占いで調べたのは、Dyle。結果は『人狼』だった」
一瞬にして場の空気が張り詰める。
Dyleはその言葉に一瞬眉を顰めるも、ゆっくりと椅子に寄りかかり静かに言葉を紡ぐ。
「……考えてみてください。Shellyが本当に騎士なら、占い師を守り続けたのは彼女。ではなぜ最後の夜、彼女自身が襲われたのか?」
Astroは強い口調で返す。
「それは……人狼にとって、彼女を生かしておく意味がなくなったから。」
Veeが黒い画面を光らせ、皮肉げに笑う。
「ここで真に信じるべきは誰だろうか?
『騎士から守られ続けた占い師』か、『最後まで冷静に推理する者』か」
Astroは
「僕を信じて。SproutもShellyも、村を守るために倒れたんだ…。人狼は……Dyleしかいない。」
Dyleは目を閉じて小さく笑った。だが、その笑みの中には真剣さも含まれている。
「……その言葉が真実かどうか、今こそ皆で決める時ですね」
Dandyが高らかに声を上げる。
「それでは最終投票に入ります!」
「……投票が終わったようだね!では、いよいよドキドキの発表!…今日追放されるのは…『Dyle』です。」
「…私、ですか。どうやら選択を間違えたようですね。」
そう言い残し、Dyleは退場。
Dandyが口角を上げ、手を叩く。
「ゲーム終了!勝者は……人狼陣営!」
Astroがゆっくりと立ち上がり、薄く笑った。
「……かなり上手くいってよかった。」
Veeは画面に緑の線を浮かべ、
「私が選択を間違えた?…ええ、そうですね。今回だけは認める。」
と悔しそうに述べた。
静けさが戻ったダイニング。
勝者を告げるDandyの声が消えると、そこに残ったのは安堵と悔しさ、そして妙な充実感だった。
Dyleは椅子に深く座り込み、悔しげに息を吐いた。
「……中々悔しいですね。」
「かなり皆予想通りの事を言ってくれたからやりやすかった…かな。」
Astroは淡々と答える。勝者の余裕を見せるでもなく、ただ事実を語る声だった。
Shellyは少し肩を落としながらも、笑っていた。
「でも、よくそこまで考えられるね…凄いよ!」
「…そう、かな……?こんなに本気でやるつもり無かったんだけど、いつの間にか本気になっちゃってた……」
Astroが苦笑する。
Veeは画面をチカチカと点滅させ、挑発的に言った。
「今回の人狼ゲームの最大の敗因は何だったでしょう?
……答えは、『人を信じすぎたこと』」
「確かにね…ところで、疑問なんだけれど…Astroが人狼だったなら、占い師は誰だったの?」
shellyが首を傾げながら述べた。
その声に、Sproutが悔しそうに叫ぶ。
「僕が本当の占い師だよ!発言しようとする前にAstroに先に言われちゃって、取り敢えず夜にAstroを占って黒確定させてから宣言しようとしたら初日に追放されるとかいう!!」
「ハハハ、最初に追放されたベリーボーイだ」
veeがsproutを挑発するように笑い、
Shellyがつい吹き出す。
「こうして見ると初日に追放されたsproutが可哀想に見えてきちゃった」
「うぅ……」Sproutは机に突っ伏した。
Dandyは腕を組み、にやりと笑う。
「どうやら楽しんでくれたみたいだね。いいじゃないか、勝っても負けても……こうして熱くなれたんだから!」
Dyleは肩をすくめ、冗談っぽく
「まあ、次は負けませんが。次は真っ先にAstroを疑いましょうかね。」
と小さく呟いた。
その隣でAstroは静かに目を閉じ、
「……次の勝負を楽しみにしてるよ。」とだけ言った。