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「え、……合コン?」
街はイルミネーションで彩られ、世間ではクリスマスムード一色となった十二月の半ば、クラスメイトの一人からクリスマスに開かれる合コンの人数が足りないから来て欲しいと言われてしまう。
「葵、彼氏いないでしょ? お願い! ね?」
「それは、そうだけど……」
合コン自体は何度か参加したことはあったけど、最近は全く無い。
それというのも結月の監視が厳しいから。
まあ別に、クリスマスに予定も無いし、結月の監視が厳しいと言えど、前もって理由を話せば駄目とは言わないだろうけど「合コンに行く」と言って果たしていい顔をするのだろうか。
それでも困っているようなので私に断る選択が無くて、
「分かった、行くよ」
「本当!? ありがとう! 詳しいことはまた後で教えるね!」
「うん」
結局合コンを引き受けてしまった。
その日の夜、バイトから帰ってきてお風呂を済ませた結月の元を私は訪れた。
「珍しいじゃん、アンタの方から俺のとこ来んの」
「……ちょっと、話があって」
「話? 何だよ」
「その、クリスマス……なんだけど……」
「ああそうだ、クリスマスの日、空けとけよ」
「え?」
「出掛けようぜ。ちょうど次の日は日曜で休みだし、泊まりで」
「は?」
「家だと存分に抱けねぇからな、たまにはどっか泊まろうぜ」
「え? そ、それは……」
「何だよ、何か文句あんのかよ?」
「そ、それはそうだよ、何で、付き合ってもいない私たちが……その、泊まりでなんて……」
「いいじゃん。俺ら姉弟なんだし」
「いや、そういう問題じゃ……。それに、私たちが二人で泊まりだなんて、流石にお母さんたちも怪しむ……」
「んなモン、友達の家に泊まるとか言えばいいだろ? 俺もそうするし。クリスマスなんだからそれくらい許されるっての」
「で、でも……」
結月の提案は意外過ぎた。
まさか泊まりに誘われるだなんて。
しかもその理由が家では思う存分に出来ないからっていう……。
何で、恋人でも無い人とお泊まりなんて。
「で? アンタはクリスマスに何だって言おうとした訳?」
「…………」
結月の言葉があまりにも衝撃的過ぎて忘れ掛けていたけど、そもそも私はクリスマスに合コンに行く予定があって、それを伝えようとしたのだ。
でも、この流れでそんな話をすれば、結月の機嫌が悪くなるのは明白だった。
「……あの、その日……友達と、約束があって……」
「約束?」
「……実は、合コンに、行くことになったの」
言いたくは無かったけど、いずれ知られてしまうことなら早めに言った方がいい。
予定があるから泊まりは無理だと断る方がいいに決まってると思い合コンに参加することを伝えると、
「へぇ? 合コンねぇ……そんなに男が欲しいんだ?」
特に表情も態度も変わることなく、そんな返しをしてくる結月。
「別に、そういう訳じゃ……人数が足りないからって頼まれただけだし……」
「数合わせ要員ねぇ……」
「だから、その……結月と泊まりには、行けない……」
そもそも泊まりになんて行く気は無いけど、合コンを口実に断れるかもと思いながらクリスマスの予定を伝えるも、
「ま、合コンは行けばいい。約束したんなら仕方ねぇし。けど、泊まりは行けるよな? 別に旅行に行く訳じゃねぇんだから特別荷物も必要ねぇし」
合コンは行ってもいいけど泊まりを断る理由にはならずに却下されてそれどころか、
「いや、でも……」
「それとも何? 合コンで知り合った男と過ごそうとか思ってたり?」
泊まりを断るのは合コンで出逢う男の人と過ごす為なのかと疑われる始末。
「そ、そんな訳ないでしょ? 変なこと言わないでよ」
「なら尚更問題ねぇだろ? それと、合コンの時間と場所は教えろよ?」
「何で――」
「うるせぇな、お前に拒否権はねぇの。分かる? 分からねぇなら改めて分からせる必要があるよな?」
「ちょ、……やめて……」
反論されるのが面白く無いのか結月は私の腕を掴むとベッドに押し倒すと、そのまま上に跨りながら迫って来た。