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モートの今朝は、アリスが来る時間までノブレス・オブリージュ美術館の正門を押しつぶしてしまうかのような大雪を取り除くことから始まった。深夜からここホワイトシティでも記録的な雪が降り続けたせいだ。正門の前を行き交う通行人は、皆、モートに挨拶をしていた。
「やあ、モート君。今朝もよく働くね」
「ああ……いってらっしゃい」
いつも挨拶をする通勤途中の配管工にモートは、軽く手を振った。配管工は今夜も記録的な大雪が降るのではとも言っていた。そんないつもの日常がモートには嬉しかった。モートはせっせと青銅の正門の隙間を埋めてしまった氷をスコップで丹念に削ったりしていた。ノブレス・オブリージュ美術館の使用人たちは、ヘレンが率先して広い館内の大掃除であった。
道路はすでに雪が固まっていて、交通が滞っていた。エンストを起こす車が目立っている。
午前9時過ぎになると路面バスが停まり。アリスが反対側の道路から歩いて来た。珍しくオーゼムと一緒だった。
「モートくん。アリスさんについた聖痕現象の意味がわかりましたよ。聖痕と血の雨との関係はまだよくわかりませんが……」
「オーゼム……? それは本当かい?」