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私はそう言うと、ボロボロのラクダ色のワイシャツを脱ぎ、遥か下方に目を向け、最後の南米の大地へと向かった。
地面に降り立つと、そこはカルダの村。広大だが村人が一人もいない。いるはずのカルダは、薄暗い洞窟の恐らく更に暗い奥の間だ。
私の勝利を見ていたようで、ディオや蒼穹の戦士たちと呉林姉妹が……みんな来た。
「すごい! すごい! ご主人様! ご主人様が心配で真理ちゃんたちと隠れて後を追って来たんです!」
安浦は私を見て、感動して泣きじゃくる。
「さすがに驚いたわ!」
霧画は堪らないといった感じに泣いていた。
「みんな。無事か」
蒼穹の戦士たちの大歓声の中で、ディオは緩んだ顔を真剣にして、みんなの無事を確認した。ディオは到るところを怪我していた。それでも、重症とまでは言えない。
「赤羽さん。いえ、七番目の者」
呉林が冷静な顔で私に近ずく、
「七番目の者って、こんなに凄いのか」
私は不思議と混乱しなかった。心は晴れ間のようにすっきりしている。
「そうよ、神秘的な太陽化する狂気的体験をあなたは今したのよ。つまり、あなたの意識は夢の世界から現実の世界の頂点にある、あの太陽と一体化したのよ……」
呉林は次第に涙声となって私に笑顔をむけた。
「はは、そんなに凄いのか……」
私も泣きたい気分だ。本当にこんな私が世界を救ってしまった。
「そうじゃ。黒幕を何とかせんと」
ディオはそういうと渋々、ピストルへぼろぼろの靴から取り出した弾丸を込めた。
「みんなで行きましょ!」
涙声を振り払うかのように、呉林は力強く言った。
「呉林……」
「なあに……あなた……」
「いや、いい」
しばらくみんなで歩くと、カルダの村の森の更に奥、私が拘束されていた場所に着いた。
「これが、ウロボロスの大樹。いえ、ウロボロスの世界樹……」
呉林が静かに言った。みんな顎を上げる。
その木の高さは超高層ビルの高さだった。根の大蛇は人が何十人も丸ごと飲み込めるくらいの大きさ、それが目を覚まし自らの尾を飲み込んでいる。
その木の前に、カルダがいた。
カルダは樹木を後ろに探剣を振り上げている。