「 あ、青葉城西、ピンチサーバーか!! 」
十磨サンだ…十磨サンがコートに入った。
「 さーて、飛和。遠慮はないからね 」
「 これが早瀬…いや飛和のお兄さんか。 」
「 うっす… 」
「 飛和とバレーするのは久しぶりだけど、まだ王様やってる感じ? 」
十磨サンは嫌味に笑って言った。
「 …実力は俺より格段に上です。俺、サーブとブロックはあの人の見て覚えました。 」
…つまりあの強靭サーブの師匠…?!
「 けど今はあんま気にすんな。試合に集中しろ 」
「 お、おう…!! 」
そしてその人が入ると体育館に見に来ていた女子が黄色い歓声をあげる。
「 さーて 」
そう言って十磨サンはサービスエリアに入る。
「 すっごい攻撃だね。でもそれもしっかり基盤がないとじゃないのかな? 」
そして指を差す。……蘭に指を差してる。
「 うわっ 」
力強い十磨サンのサーブは蘭の腕を弾き遠くへ飛んだ。
「 そこの5番の背高い子と6番のちっちゃい子、レシーブ苦手かな?まぁ飛和もだけど、1年生かな。 」
「 じゃあ、もう一本。 」
十磨サンは蘭ばっかり狙う。そしてサーブで点を稼ぐ。
23対24 あと一点で同点になる。
「 と、十磨サン…!!蘭ばっか狙うな!!俺だってレシーブできる!! 」
「 喚かないでよ。見てるだけで弱く見えるから 」
「 何だよお前!!お前も良い性格の悪さしてるな!! 」
「 …蘭。お前ちょっと下がれ。 」
「 はぁ?王様急にどうしたのさ。 」
「 王様じゃない。とにかくちょっと下がってろ 」
と飛和は蘭を少し後ろにさせた。
「 飛和が全部カバーするつもり?そんなことしてるから王様になっちゃうんだよ 」
それでも端っこに居る蘭の真正面にボールが来る。
蘭はやっとレシーブで返せた。
「 蘭ナイス~!! 」
「 帰ってきたぞ。チャンスボール。 」
「 はーい。岸部ちゃん、しっかり助走してねー 」
「 はい…!! 」
十磨サンがレシーブしたボールをセッターのセッターの人んとこに戻す。
そう、助走をしっかりしないといけないのは俺も同じ。
だって俺は小さいから。その分、飛ばないと!!!
「 はぁあぁぁあ??! 」
ちょっと横に流れたが嫌味な岸部の打ったスパイクを触った。
「 ワンタッチー!!! 」
「 ナイス叶~!! 」
「 チャンスボール!!!! 」
飛和の元にボールが返った時。
俺はもう岸部の目の前には居ず、コート反対側に居た。
そして“変人速攻”を披露した。
十磨サンの横を風を起こして通り過ぎる。
第3セット 23(青葉城西)対25(烏野)
セットカウント 1(青葉城西)対2(烏野)
勝者 烏野高校
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