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──大学の講義は退屈で、眠気を誘う。
「ふわぁー」と、あくびを噛み殺していると、机の隣に座っていた女友達の藤本 花梨が、小声で話しかけてきた。
「ねぇねぇ、理沙知ってる? なんかスゴいお店があるんだってー」
「スゴいお店? 何それ?」
生あくびをこらえながら、暇つぶしにはいいかなと、何気ない調子で彼女へ聞き返した。
「──超イケメンホストクラブっていうんだけど、知ってる?」
「ちょ……超イケメン!?」
まさかのワードを耳にしたことでつい大声が出て、教壇に立っていた教授から咎めるような咳払いを食らってしまった。
教授へ、すいませんと軽く頭を下げて、
「超イケメンホストクラブって……花梨、もしかして知ってるの?」
そう声をひそめた──。
「知ってるも何も、今めちゃくちゃみんなの話題になってるから」
「嘘……」
あのパッと見おふざけとしか思えないようなお店の名前からして、きっとナンパ目的とかのやらせに違いないと、勝手に決めつけていた。
「理沙の方こそ、知ってるような口ぶりだけど……? そのお店、有名なんだって〜。名前の通り超イケメン揃いのホストクラブなんだけど、そこのホストに選ばれたお客しか、お店には行けないんだって……。ねぇ、ちょっとスゴくない?」
「う、うん……」
花梨の話を半ば呆然と聞き流しながら、まさかとも思っていた。
──まさかの『超イケメン✧ホストクラブ』なんていうお店が実在していて、しかも有名だったなんて……。私には、到底信じられそうにもなかった──。