テラーノベル
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ガヤガヤと賑わう居酒屋の隅の個室。そこにツバサと春希の姿があった。ウーロン茶を飲んでいるツバサとビール片手にほんのり頬を赤らめた春希。そして春希が眉を下げて口を開いた。
「なんかさぁ…気のせいかも知れないけど…」
ぽつりと呟いてジョッキを置いた声が思ったよりも掠れていた。
「ん?どうしたリーダー。」
「最近のていくひよこみたいじゃない…?」
「ひ、ひ……ひよこ……??」
思わず間抜けな声が出た。ひよこ、ていく、ひよこ、ていく。2つの単語が頭をぐるぐると回っていく。髪は黒いし黄色じゃない。髪はサラサラだけどひよこみたいにふわふわというよりは艶めいていると思う。どこがひよこなんだ、と首を傾げて枝豆を摘む。
「いや、なんか俺の後をついてくる。それでじーっと見て俺が気づくと慌てて隠れる。」
俯きがちな瞳が酒で蕩けて揺れている。いつもと違う幼い印象のリーダーに思わず笑ってしまった。それとていくにも。ひよこっぽいしそれは何より可愛い。
「それはなんで?話したいことあるとか?」
活動についての報告とかしたいのかも知れないとは思うけど1つの考えが頭をよぎった。一ヶ月前に俺の最推しになると宣言したていく。そしてそのライバル視された春希。
(もしかして…春希っぽくなろうとしてるのか…?いや…ありえるかもな。)
再び春希が口を開いた。
「前から可愛い子ぶるっていうか…あざといところはあったじゃん。」
「まぁ、そうだね。最年少だし。」
「でもさぁ…めっちゃ可愛い。ついてくるし髪型とか真似してドヤ顔してくる。」
「へぇ…。」
思ったよりも低い声が出た。ていくが春希を超えたいって言ったのも頑張ってるのも俺のため。それなのについてあるくのは春希、ドヤ顔でマウントとるのも春希。それに可愛いとまで言われてる。
(俺のためにやってるのに俺以外に。)
そこまで考えてぷちゅりと枝豆の潰れた音でハッと我に返った。手元を見ると潰れた枝豆と飛び出して潰れた皮。
「うわっ…!潰しちゃった。」
慌てて口に入れて皮はおしぼりで拭く。その手が重いような、そんな気がした。
「ばっさーも酔ってんの?ウーロン茶で。」
くすくす笑いながらビールを飲み干した春希を軽く小突いて首を横に振る。
「いや、なんかぼーっとしてたっぽいわ。」
「ふーん。そうっすか。」
納得したように頷いて緩んだ口元。尊いし推しが酔ってて可愛いはずなのに、なんか今日は気に食わない。
「可愛いって思ったんだ。ていくのこと。」
「んぁ…?まぁ、可愛いだろ。」
プチプチと心の中なのか頭の中なのか切れていく音が聞こえる。ふつふつと沸き上がる不快感。黒くて重くて吐き気がする。
「待って、ごめん。マジで酔ったかも…。あやなんか変だわ。具合悪い。」
「え?マジのやつ?気づかなくてごめん。もう帰っていいよ。金なら払うから。」
「うん、マジでごめん…。」
カバンを掴んでそのまま外に出た。なんとなく振り返りたくなくて人混みを避けて早歩きで歩いていく。
ていくがひよこみたい。
ていくがあざとい。
ていくが可愛い。
そんなの__
そんなの_____
そんなこと________
「俺が一番知ってんだよ。」
舌打ちと共に消えた声。その気持ちは体調不良から来る苛立ちなのか、それとも別の何かなのか。名前をつけずにタクシーに乗り込んだ。
はい!
今回はここまでです。
前回呼び方を丁寧に教えてくださった方は本当にありがとうございました!!🫶
口調とかもし解釈不一致ですとか〇〇くんは関西弁っぽいとかあったら遠慮せずに教えてください。
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