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#異世界転生
JokerX号
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#主人公最強
杯雪乃
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「……凄かった……ですね……」
俺の隣で、メンヒルが呟いた。
それこそ本当に、つい口に出たという感じだ。
「錬金術師って、あんなんだったっけ……?」
逆の隣で、マリモが呟いた。
錬金術師が魔法を使うのは割と普通のことだが、それにしてもアイナちゃんが使っていた魔法は、それとは一線を画すような気がする……。
「リーダー……。
やっぱりあのとき、本気で誘っておけば良かったんじゃ……」
ナガラはナガラで、今さらなことを言い出す。
確かに今のアイナちゃんがいれば、|紅蓮の月光《クリムゾン・ムーン》はもっと強いパーティになっただろう。
……でもそれは、パーティが強いんじゃなくて、アイナちゃんが強いってことなんだよな……。
アイナちゃんの横には、以前王都で会ったエミリアという娘がいる。
あの娘は攻撃と防御をこなしているようだ。
彼女が上手く立ち回っているおかげで、アイナちゃんも攻撃に専念することができるのだろう。
そして、もう一人の女の子は……初めて見るかな?
あまり攻撃はしていないけど、何だか綺麗に――……避けてるな。ひたすら避けてる。
「……実質、二人で戦ってるようなものじゃないか……」
「……だよな」
「ねー……」
「凄いです……」
俺の言葉に、仲間たちも力無く呟く。
俺たちがあんなにも必死に戦ってピンチに陥った魔物たちを、彼女たちはたった二人で捌いているのだ……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「すいません、お待たせしました!
……それとみなさん、お久し振りです♪」
「会ったのは一度だけですけど、わたしもご無沙汰してます♪」
魔物を全部倒し終わったあと、アイナちゃんとエミリア……さんが、俺たちに声を掛けてきた。
「助かったよ。本当にありがとう。
アイナちゃんとエミリアさんがいなかったら、俺たちはもうダメだったと思う……」
……それは正直なところだ。
もしかしたら、俺の秘めたる力が解放されていた可能性も……万が一、億が一、兆が一あったかもしれないが、まぁそんなことはきっと無かっただろう。
「ねぇ、アイナちゃん。
もう一人……あっちの遠くにいるのはどなた?」
「え?
……ああもう、セミラミスさんってば!!」
もう一人の娘はセミラミスという名前らしい。
アイナちゃんは小走りで彼女の元に行って、セミラミスさんの服の袖を引っ張るようにしながら、こちらに連れてきた。
「はわわ……。
わ、私、セミラミス……と、申します……」
「初めまして!」
「よろしくな!」
「ありがとう、助かったわ」
「ご助力、感謝いたします……!」
「は、はわ~っ!?」
俺たちが言葉を掛けると、セミラミスさんは目をぐるぐるにまわしてふら付き始めた。
え? 一体、何事……?
「すいません、セミラミスさんは人とお話をするのが苦手でして……。
出会ってから半年も経つのに、ずっとこんな感じなんですよ」
「そ、そうなんだ……。それじゃ、無理させるのも悪いね……」
「代わりに、私が紹介させて頂きますね。
こちらは私の仲間の、セミラミスさんです。魔法に詳しくて、私もいろいろと教わっているんですよ」
「もしかして、さっきの魔法ですか? とっても凄かったです!
あんな魔法は初めて見たんですけど、何属性の魔法なんでしょう?」
「あー……。それは秘密です♪」
「えぇー……?」
メンヒルの質問に、アイナちゃんは悪戯っぽく答えた。
……まぁ、どう見てもかなり特殊な魔法だったからな。
王都から出たあと、きっといろいろあっただろうし、『神器の魔女』なんて二つ名を背負ったりもしているし……。
きっとその中で、あんな魔法を覚えるに至ったのだろう。
「――あまり質問攻めにしてもアイナちゃんが困るから、ひとまずやめておこうな」
「あはは、お気遣いありがとうございます。
……ところでみなさん、結構下の階まで来たんですね」
「そうかな? でも10階までは楽だったし、11階もその流れだったんだよ」
「「「え?」」」
「「「「え?」」」」
アイナちゃんたちの言葉に、俺たちも同じく一斉に返してしまった。
……え?
「……???
あの、ここは17階ですよ?」
「「「「え?」」」」
思い掛けない言葉に、再び俺たちの声が重なった。
いや、俺たちは――少なくても俺は、10階の階段を下りたらここに来たんだけど……。
そのことをアイナちゃんに話すと、彼女たちはいろいろと考え始めてしまった。
「……うーん。おかしいなぁ……」
「罠だったら、かなり危険ですよね」
「ちゅ、注意喚起しないと……ですね……っ」
「――ま、それはそれとしておきましょう。
ところで、私たちも用事を済ませて戻るところだったんです。良ければ一緒に戻りませんか?」
「た、助かるよ!
17階だなんて、俺たちにはまだまだ早い階だし……」
「一匹一匹はそこまででも無かったですけど……」
マリモの言葉に、アイナちゃんが続けた。
「そうなんですよ、17階は強さよりも量なんですよね。
16階と18階はまた違うので――……良かったですね、迷い込んだのが17階で……!」
アイナちゃんは少し言葉を濁しながら、困ったように笑った。
おそらくこの階の前後は、この階以上に魔物が強いのだろう……。
「はぁ……。俺たちはまだ10階くらいが適正ってことか……。
まだまだ頑張らないとなぁ」
「ところでアイナちゃんたちは、ダンジョンの探索をしてたんですか?」
話の切れ目で、メンヒルがアイナちゃんに聞いた。
メンヒルはとても嬉しそうだ。……何せ、アイナちゃんに影響されて、言葉遣いまで変えたくらいだからな。
「私たちは探索目的では無かったんですよ。
ちょっと……えぇっと、魔法の修行に……?」
「え? あんな強いのに、まだ修行をしているんですか?」
「いやぁ、あの魔法も覚えたてでして。
実戦で使って慣れるように、グリゼルダから――ああ、別の仲間なんですけど、そんなことを言われてしまって」
「た、大変だったんだな……。
リリーちゃんも心配してたよ?」
「え? リリーにも会ったんですか?」
「このダンジョンの入口にいたわよ。
最初は夕方に会ったんだけど、次の日の朝も、まだそこにいて」
「うわぁ……。待ってないで良いって言ったのに――
……まったく、あの子ったら心配性なんだから……」
――……心配性?
「……ぷっ」
「わははっ」
「あはは♪」
「くすくす」
アイナちゃんの言葉に、俺たちはそれぞれ笑ってしまった。
「え? えぇっと、あの……?」
「ああ、ごめん、ごめん。
リリーちゃんも同じことを言っていたからさ。
『ママ、心配性だよね』って」
俺の言葉に、エミリアさんが嬉しそうにアイナちゃんに話し掛けた。
「やっぱりアイナさん、リリーちゃんと仲が良いですねぇ♪」
「話の流れがいまいち分からないけど……。
えー? でもここから戻るにしても、まだ時間掛かりますよ?
その間、リリーはずっと待っているんですか……?」
「はわわ……。い、急いで戻りましょう~っ」
……そう言えば、リリーちゃんが言っていた『はわわ』って言うのは、どう考えてもセミラミスさんのことだよな……。
『はわわちゃん』。……うーん、何だか可愛いぞ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
――そしてそのあと、俺たちは2日を掛けてダンジョンの外に戻ることに成功した。
もちろん敵にはたくさん遭遇したし、アイナちゃんたちと一緒に戦いもした。
とても楽しかったし、勉強にもなった。
でもきっと、こういう機会はもう最後なんだろうな。
彼女は今や、『神器の魔女』という、俺たちの手には届かない存在だ。
今回偶然会ったことだって、本来はあり得ない出来事だったに違いない。
俺に|紅蓮の月光《クリムゾン・ムーン》の仲間たちがいるように、アイナちゃんにも彼女の仲間がいる。
きっとそれも、たくさんいる。そして、俺の理解を超える人もいるのだろう。
俺と彼女の人生は、まるで別のものだ。
しかし今回一瞬でも交わったのは、俺としてはどこか誇らしく思えてしまう。
「……これもひとつの、運命の結果……」
もしもどこかで、今とは違う選択をしていたら、彼女と一緒に歩む道もあったのだろうか。
そんなことを想像すると、何だか少しだけ、幸せになってしまった。
コメント
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わあ、今回もじんわりきました……。リーダーたちとアイナちゃんたちの、手の届かない距離感が本当に切なくて、でも最後の「もしも違う選択をしていたら」っていう想像に、リーダーの優しさと憧れがぎゅっと詰まってるなって思いました。セミラミスさんの「はわわ」も可愛くて、リリーちゃんが言ってた「はわわちゃん」がここで繋がるのが嬉しかったです。アイナちゃんの成長を遠くから見守る立場のリーダー、すごく好きです。