〈peint side〉
まだ外が静かで、早朝特有の白っぽい朝日が山を彩り始めるどこか儚さを感じる時間
時計の針の音と隣で寝てる彼の寝息だけが空間を色付けていた
せっかく幸せを手にしたのにどうしてかすっきりしない。
きっとまだ晴れないこのモヤは自分自身
欲張ってしまったが故の時間制限に課せられている感覚。死ぬ実感はなくても何かが迫ってきてるような掴めない恐怖感が襲ってくる
ふと寝息を立てる彼の髪を撫でる
大丈夫、この人がいれば
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9月14日
1週間前までまだ暑さが抜けなかったのに一気に秋らしくなって木々は鮮やかな暖色のドレスを纏ってきた
この時期といえば食欲の秋!
田舎だからおばぁちゃんたちにたくさん美味しい野菜や果物をお裾分けしてもらったりなんだり、、、
らっだぁは勉学の秋だとか言って俺の病気に関する研究を始めて引きこもっている
最近の悩みといえば勉強に集中してしまっているからか、あの一件以来カップルらしいことをしていないんだ
別に寂しいわけじゃないけど怪我も治ってるわけだし?そろそろいいんじゃないかな、とも思いながらも努力してる彼の邪魔もしたくないとも考える
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〈radao side〉
二人で熱を共有したあの日の夜、くたりと眠ってしまった彼の体を綺麗にしてから俺はとあることを叶えたくて部屋から離れた
プルルルルル
ky 「こんな時間にどうした?もしかして、なんかあったん」
rd 「今から癌を治す方法を知りたいんだけど」
ky 「、、、無理だ。」
rd 「何で、だめなの?」
ky 「ぺいんと君の病態がすでに治療でどうこうなるようなものじゃないからや。だから余命宣告をした」
rd 「そんなことは理解してる。」
ky 「そもそもぺいんと君はこれから長生きすることよりも余生を楽しむことを選んだ」
ky 「それを出来るだけ快適に過ごしてもらえるようにサポートすらのが今の俺たちに出来ることだよ」
rd 「その本人の意思が変わったっていったら?」
ky 「生きたいって願ったってことかな?」
rd 「ハッキリ言ったわけじゃない。でも少なくとも今のぺいんとは死ぬのが怖い、俺を置いて逝ってしまうのが嫌だって」
ky 「そうか、、。今日はもう遅いまた今度病院に来て詳しく話そう」
rd 「わかった、」
ky 「らっだぁ。」
rd 「なに」
ky 「ありがとうな」
プツッ
rd 「絶対に死なせるもんか。」
荒々しく吹く風すらも動じないほど真夜中の闇の中で俺は重く、固くそう呟いた。
そこからは勉強と病院を行き来する生活をしていた。
ぺいんとにもこのことを話して彼自身も生き続けたいという強い意志を示していた。
しかし、病院での入院生活には戻りたくないとのことで俺はきょーさんと共に自宅でも行える治療法をくまなく調べた
効果は強いが効く確率が低く副作用が強いもの、苦痛を和らげるが根本的な治療にはならないもの、効果もまずまずだが副作用もそこそこにあるもの、薬品だけでなく食生活についてまで寝る間を惜しんで探し求めた
そんな俺を見てぺいんとは夜食を作って持ってきてくれる
pn 「ごめんな、俺なんもできなくて」
rd 「そんなことないじゃん。今もこうやって夜食作ってくれて」
rd 「ありがとう、大好きだよ」
pn 「俺も。」
pn 「、、、あんま無理すんなよ」
rd 「とぅんのためならなんてことないさ」
pn 「本気で心配してんの」
ほんとなのに、
彼の元気な姿でいてくれるなら俺なんてどうだっていいのに
でもそんなこと伝えたらきっと俺のお前を思う気持ちはどうなるんだ、とか言って悲しむだろうから言わない。
pn 「じゃあ俺先に寝るね」
すると照れくさそうに俺のおでこに軽くキスをした。今までそんなことしてきたことなかったのに、、
少しびっくりして彼の顔を見るとニカッと笑ってそそくさと寝室へ行ってしまった
あぁ、かわいいなぁ。 もみくちゃにしたい
あの朝日色の髪に触れて、イエローダイヤモンドを孕んだ瞳にキスをして、首筋を撫でて俺だけのものって印つけたいなー
それからあの快楽を感じるあの表情、もっと見たいな上から被さるのもいいけど下からなんて絶景だろうなぁ。
は、何考えてんだよ
好きすぎるが故に歪んでいく欲望が俺を苦しめる。
ぺいんとの体調を大事にしていかなきゃいけないんだから、しっかり自制してかないと
rd 「ふー、あともう少しやろう」
頁をめくる音、紙とボールペンが擦れる音、黄色のマーカーが染み込む様、そして時を刻む針の音。それら全てがかつての学生時代を思い出させて自信を保つための支えとなった
しかしやり過ぎも良くないもので、まさかこんなことになってしまうなんて。
今思えば、勉強に過度に集中しすぎて今まで気づけていたはずのぺいんとの変化を気づけていなくなってしまった
コメント
1件
余計不穏になってきました😭たのみますよ冬がくるときには幸せになることを願います😭