テラーノベル
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あの日から、俺の人生は変わった。
今ならピッタリの言葉が思い浮かぶ。
運命だったのだろう。
いつも通り、人間を貪り食っていた俺達青鬼の里に、2人の人間が訪れた。
餌の方からやってきた、なんて舐めてかかった俺らはボコボコにされ、俺以外は殺された。
俺が生きていれば皆生き返る。
殺す。
今のボロボロな状態じゃ殺せないだろうが、とりあえず森を離れて人間を食い貯めて、皆を復活させて、それから報復してやる。
そう考えていたが、甘かった。
俺は人間2人――ぺいんととぐちつぼと対峙し、負け、挙句の果てに角を触られた。
角を触られた俺は、一族のしきたり通りぺいんとに忠誠を誓った。
それから彼等と旅して、価値観が変わった。
人間という生き物は、俺の中で餌から憧れの対象へと変わっていった。
俺もこんな風に、面白おかしく愚かに生きたい。
魔王を倒し、2人に打ち明けた。
すると、ぺいんとの一族の呪いの力で人間になることが出来た。
人間になる呪いを創り出してくれたのだ。
といっても、完璧に人間になれる訳ではなくて、正しくは 青鬼の部分を封じる 、つまり ホンノウと俺を分離させてホンノウを封じるというものだった。
そうして願いが叶った。
なのに、それは崩壊した。
人間に仲間が――ともさんが殺された。
俺が呑気に旅行している間を狙い、国を攻撃された。
どうして?
俺らは世界を魔王の脅威から救った。
なのになんで俺らを殺しにくるの?
分からない。
そうだ。人間なんてこんなもんなんだ。
こんな生き物、この世に要らない。
そこから俺はホンノウを解放し、その間の記憶はない。
意識が戻った時には、もう手遅れだった。
俺の手に腹を貫かれながらも俺を抱きしめるぺいんと。
目の前で倒れているぐちつぼ。
俺の全身から香る仲間の血の匂い。
ぺいんとは最後の力を振り絞り俺を止めた、封印したのだ。
水晶の中から、俺はゆっくりと朽ち果てていく仲間の死体を、ずっと眺めることしか出来なかった。
ら 「 ―――ッは、はぁっ、は、ぁ…ッ 」
思い出した。
これだけの事をして俺はよくも生きてやがった。
平然と皆の前にツラ下げて。
自分が許せない。
許す気なんて毛頭ない。
そうだ。償いをしよう。
こんな俺に生きてる価値なんて―――
し 「 あ、らっだぁさん!起きたんですね!ちょ、ぺいんとさーん!らっだぁさん起きましたよー! 」
ぺ 「 え!?マジ!?らっだぁ大丈夫!? 」
彼等に謝りたい気持ちもあるが―――
彼等は優しすぎる。
心配はかけたくない。
ら 「 しにーにぺんちゃんじゃん。大丈夫、俺むっちゃ元気よ〜 」
し 「 なら良かった…本当に心配しましたからね! 」
ら 「 大丈夫だって〜w俺トイレ行ってくる〜 」
そう言い学校を出る。
最後を飾るには何処がいいだろう。
ここからある程度離れている場所…
そうだ。あそこへ行こう。
かなり遠いが…俺だって一応転移魔法は使える。
ら 「 …おぉ。 」
俺のせいでこの森もボロボロになっていたはずだが…きっとら民がずっと管理してくれていたのだろう。
最後に見れてよかったな。
俺は並大抵の攻撃じゃ死ねない。
だから、巨大で鋭利な氷柱を作り、思いっきり俺へと落下させることにした。
それなら流石に死ねるだろう。
死ねなくても、何度も繰り返せばいつか死ねるはずだ。
あぁ、ごめん皆。
生きててごめん。
苦しかったよな。
痛かったよな。
ごめんなさい。
ごめんなさ―――――
コメント
1件
人間が悪いにしても、仲間を手にかけた事実は辛いよな……。それも故意的に能力解放してたし…(T-T)。だけど、死なないでほしいな…。