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花吐き病パロ4
次に目を覚ましたのは見知らぬ天井だった。
「目が覚めたか」
耳に馴染むこの柔らかい声はレインくんだと、
すぐにわかった。
「レ、インく……?」
「ここは俺の部屋だ。体の調子はどうだ」
僕はレインくんの問いかけに大丈夫ですと答えた。
実はすごく辛い。体もだるいし、痛いし、
何より心が苦しかった。
いつもの声のトーンで話すレインくんに安心するも、花吐き病がバレてしまったという焦りが僕の中を渦巻いた。
「……お前は花吐き病だったんだな」
少し黙った後、レインくんが口を開き、そう放った。
「……はい……」
僕はなんとも言えない感情に陥っていた。
悲しいし、怖い。
勘のいいレインくんならもうきっと僕がレインくんの事を好きだということを知っているだろう。
恥ずかしかった。
ずっと隠しておくつもりでいたのに。
閉まっておくつもりだったのに。
僕は出したくもない花をどんどん吐いた。
その様子を苦しそうな目で見るレインくん。
「僕……レインくんが…好き、です」
僕はぽつりとそんな言葉を零していた。
レインくん、今どんな顔してるんだろう。
怖くて顔が見れない。
きっと呆れた顔をしている。
それなのに僕は溢れんばかりに、レインくんへの思いを吐き出した。
「好き、好きです……ずっと。好きでした……」
ごめんなさい……好きになって…
そう涙とともに言う言葉。
涙で視界が揺らぎ、僕が吐いた花弁の上にぽたぽたと流れ落ちた。
また涙が頬をつたい、落ちる瞬間、
優しくて柔らかい匂いが僕を包んだ。
何度も、何度も嗅いできたこの匂い。
僕はレインくんに抱きしめられていた。
「え……っなん、レインく……?」
状況が把握出来ない。
なんで抱きしめられてるのか。
「……今気づいた……俺は、お前が好きらしい」
へ……?
頭を殴られたような衝撃。
「嘘だ……僕が可哀想だからそんなこと……」
「そんなわけないだろう……っ俺はお前に惚れていたんだ。きっと、ずっと前から……」
食い気味に答えたレインくん。
僕は自分の耳を疑った。
好き……?
レインくんが、僕をす、き?
信じられない……こんなの都合が良すぎる。
こんなの……夢だよ。
そんなことを考えていると、自分の唇に
柔らかいものが触れた。
同時に視界に広がる金の双眸。
ちゅ……と音を立て、僕に口付けをしたレインくん。
「嘘じゃねぇ。これは本心だ」
そうまっすぐな眼差しで言うレインくんに
僕の鼓動は早くなった。
「マッシュ……俺はお前を好いている」
好きだ。
その言葉がやけにはっきりと聞こえた。
嬉しい……僕、レインくんと同じ気持ち……
すると喉になにか引っかかったような気がして、思わず咳き込んだ。
「ゴホッゴホ……ッ」
自分の手のひらを覗くと、そこにあったのは
綺麗に輝く、白銀の百合の花だった。