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ぬいぬい
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第2話「知らなかった気持ち」
翌朝。
ジミンは教室の窓を少し開けた。
春の風が、カーテンをふわっと揺らす。
「気持ちいい……」
ジミンが目を細めて外を見る。
すると――
「おはよ、ジミナ」
後ろから声がした。
「おはよ、テヒョンア」
「昨日、ちゃんと帰れた?」
「帰れたよ。一緒に帰ったじゃん」
「……そうだったな」
とテヒョンが笑う。
けれど、昨日のことを思い出す。
体育館の前で、グクがジミンに話しかけていたこと。
「また会えますか?」
あの言葉が、なぜか頭から離れなかった。
「テヒョンア?」
「ん?」
「どうしたの?」
「いや、別に」
「なんか今日変じゃない?」
「俺はいつも通り」
「ほんと?」
ジミンが顔を覗き込む。
「……近い」
「え?」
「いや、なんでもない」
テヒョンは顔を逸らした。
ジミンは不思議そうに首を傾げる。
「変なの」
「……お前が無防備すぎるんだよ」
「え?」
「なんでもない」
テヒョンはそれ以上言わなかった。
__________
昼休み。
ジミンは友達と話しながら廊下を歩いていた。
そのとき。
「ジミン先輩!」
聞き覚えのある声がした。
振り返る。
そこにはグクがいた。
「ジョングガ!」
ジミンが笑顔になる。
「昨日ぶりだね」
「はい」
グクも笑う。
「先輩、今から昼ご飯ですか?」
「うん。グガは?」
「僕もです」
「そっか!」
二人が楽しそうに話している。
その少し離れた場所から、誰かがその様子を見ていた。
「……」
友達がテヒョンに声をかける。
「テヒョン、どうした?」
「別に」
「さっきからジミンのこと見てない?」
「見てない」
「いや、めっちゃ見てるじゃん」
「……うるさい」
テヒョンは視線を逸らした。
でも、またすぐにジミンを見る。
ジミンが笑っている。
グクも笑っている。
それだけなのに――
胸の奥が、妙に落ち着かなかった。
__________
「じゃあ、僕たち戻りますね」
「うん。またね」
「はい、ジミン先輩」
グクが歩き出す。
すると――
「チョングガ」
テヒョンが呼び止めた。
「はい?」
「お前、ジミナと仲いいの?」
グクは少し驚いた。
「え?」
「昨日も話してたよな」
「はい」
「……ふーん」
テヒョンはそれだけ言った。
「それだけ?」
グクが首を傾げる。
「別に」
「テヒョン先輩」
「何?」
「もしかして――」
グクが少し笑った。
「嫉妬してます?」
「は?」
テヒョンの表情が固まる。
「してない」
「そうですか?」
「してない」
「じゃあ、よかったです」
グクは笑った。
「僕、ジミン先輩ともっと仲良くなりたいので」
「……」
テヒョンの表情から笑顔が消えた。
「そう」
それだけ言って、テヒョンはその場を離れた。
グクはその背中を見ながら、小さく息を吐く。
「……やっぱり」
_________
放課後。
ジミンはダンス部の練習を終え、校門へ向かっていた。
すると――
「ジミナ」
「テヒョンア?」
テヒョンが待っていた。
「一緒に帰ろ」
「うん!」
二人で歩き始める。
「今日、疲れた?」
「ちょっとだけ。でも楽しかった」
「そっか」
しばらく歩いていると、ジミンがふと口を開いた。
「そういえばさ」
「ん?」
「グガって、すごくいい子だね」
テヒョンの足が一瞬止まる。
「……そう?」
「うん。話しやすいし、礼儀正しいし」
「ふーん」
「テヒョンイ?」
「何でもない」
また歩き始める。
ジミンはテヒョンの横顔を見た。
「……もしかして、グガのこと苦手?」
「別に」
「じゃあ好き?」
「は?」
「仲良くしたら?」
「……」
テヒョンはしばらく黙った。
そして小さく言う。
「俺は、お前がグガと仲良くするの……あんまり好きじゃない」
「え?」
ジミンが目を丸くする。
「なんで?」
テヒョンは答えなかった。
ただ、少し赤くなった顔を隠すように前を向く。
「……なんとなく」
「ふふっ」
「何?」
「テヒョンアって、たまに変だよね」
「……お前にだけは言われたくない」
ジミンが楽しそうに笑う。
その笑顔を見て、テヒョンも少しだけ笑った。
――けれど。
その日の夜。
グクは自分の部屋で、昼間のことを思い出していた。
「ジミン先輩……」
そして、テヒョン先輩の言葉も。
『俺は、お前がグガと仲良くするの……あんまり好きじゃない』
グクは少しだけ笑う。
「……やっぱり、テヒョン先輩も」
窓の外を見る。
「でも……」
グクは小さく呟いた。
「僕も、譲るつもりないです」
三人の気持ちは、まだ交わっていない。
けれど確実に――
同じ一人の人へ向かって動き始めていた。
――第2話・終わり
コメント
1件
あおいです🌷 第2話、読ませていただきました! テヒョンの「お前がグガと仲良くするの……あんまり好きじゃない」って言葉、すごく刺さりました。自分でも説明できない嫉妬って、恋の始まりですよね。あと、グクが「譲るつもりないです」と静かに宣言するラストも、三人の緊張感がぐっと高まってドキドキしました。関係性の変化が丁寧に描かれていて、続きがすごく気になります!