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「おい、千秋ー!」

いつも通り教室に入ると、俺は真っ先に千秋の席へ向かって声をかけた。昨日のドッキリのことを思い出すと、つい笑ってしまう。あいつ、あんなに冷たく返してくるなんてな。まあ、ドッキリだってわかってるし、今日も普通に話せると思ってた。


でも、今日はなんか違った。


千秋は俺の顔を見るなり、眉間に皺を寄せてスマホに目を戻した。いつもは「ゲッ」とか「うわっ」とか言って反応するくせに、今日はそれさえない。ただ、無言で俺を無視している。


「……おい、千秋?」


俺がもう一度名前を呼んでも、返事はない。なんだよ、昨日のことまだ怒ってんのか?いや、それとも何か別のことで機嫌が悪いのか?


「あのさ、昨日のやつ、冗談だったんだよな?お前も分かってたよな?」


軽く笑って言ったけど、千秋はやっぱり無反応だ。心なしか、いつもより冷たく見える。


「なあ、本当に怒ってんのか?お前、そんなに俺のこと嫌いなんか?」


俺は冗談半分で言ったつもりだったけど、その言葉が思いのほか重く響いたみたいで、千秋はピクリと動いた。でも、すぐにまた無視。これは……さすがにヤバいんじゃないか?


「お、おい、千秋さ……いや、月見。」


そこでようやく気づいた。もしかして、「千秋」って呼び捨てにしてるのがダメだったのか? いつもそう呼んでるから気にしてなかったけど、もしかしたら嫌だったのかも。それなら、せめて名字で呼んだほうがよかったのかもしれない。


「悪かった! その……『千秋』って呼び捨てにしてたのが気に障ったなら、謝る。俺、何か悪いことしたなら言ってくれよ。」


焦りながらも、俺はできる限り真面目に謝った。普段は軽口しか叩かないけど、今は少しでも千秋の機嫌を直したくて、真剣に言葉を選んだ。


でも、千秋はそんな俺に困惑した顔を向けた。少しだけ目を見開いて、まるで「何言ってんの?」って顔をしている。


「……別に、そういうことじゃないんだけど。」千秋が静かに呟いた。


「え? じゃあ、なんで俺のこと無視してんの?」


「うるさい、黙って。」また冷たく言い返されてしまった。


俺はそこで完全に頭が混乱してきた。呼び方がダメってわけでもないのか?でも、なら一体なんであいつはこんなに冷たいんだ?


「え、ちょっと待て……俺、本当に何かしたっけ?」


教室がざわつき始め、クラスメイトたちが登校してくる中、俺はそれ以上何も言えなくなった。千秋は再びスマホに視線を戻して、俺を無視し続ける。


「……わからねぇ。」


こんなに冷たくされる理由が、まったくわからなくなってしまった。いつもなら冗談や軽口で乗り切れるはずなのに、今日の千秋は違う。何かが変わったような気がして、胸の中がモヤモヤする。


「はぁ……。」


ため息をついて、俺は仕方なく自分の席に戻った。でも、頭の中は千秋のことでいっぱいだ。何が悪かったのか、どうすればいいのか、全然見当がつかない。

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