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安定の平和さが好き。
「今日のショー本当にすっごく楽しかったし、なにもかも素敵だった!」
家に帰って2人で今日のことを思い返す。
いろんなアーティストと共演して音楽に触れる素敵な1日だったことを涼ちゃんの表情を見て更に実感する。
「ほんとにいい1日だったね、涼ちゃん楽しそうだったし」
誰よりも盛り上がっていた恋人を見て俺はふふ、と思い出し笑いをしてしまう。
「だって、すごく楽しかったんだもん。やっぱり音楽っていいよねぇ」
照れながらも興奮冷めやらぬ感じで今日のことを思い返しながらあれこれと喋っている姿を見るとこっちまで嬉しくなる。
「本当に素敵な景色を見せてくれてありがとう」
改まってお礼を言ってくれて、俺は少し動揺した。涼ちゃんは俺の手をとって更にお礼を言ってくれる。
「元貴がバンドに誘ってくれてから···デビューする前から思ってた。元貴のおかげでいろんな素敵な光景を見ることが出来てるなって。小さなライブハウスでの光景も、野外ライブでの光景も···それにもっとおっきな会場でも。いつだって元貴は素敵なものを僕にくれる」
涼ちゃんがずっと前からそんな風に思ってくれていたなんて知らなくて心がきゅっとなる。
「···それは涼ちゃんのおかげかもしれない」
「僕の、おかげ?」
どういうこと?と首をかしげる涼ちゃんを握る手に力を込める。
「自分が楽しいとか、聞いてくれる人に届けたいとか喜んで欲しいのは大前提なんだけど···。俺の中には涼ちゃんを楽しませて、喜ばせたいっていう気持ちが、あるの」
「つまり···涼ちゃんが幸せでいて欲しいなっていうのが俺の原動力なんだよね、いつだって」
伝わるかな?って見上げたその表情はくしゃりと今にも泣きそうになっている。
「涼ちゃんが幸せであって欲しいために俺はまた頑張れるし···その気持ちが俺を動かしてる、チャレンジ出来る。だから涼ちゃんのおかげって俺は思ってるよ」
堪えきれない涙がポツリ、と一粒流れるとあとはたくさん溢れて涼ちゃんは俺の肩に顔を押し付けながら泣いた。
「な···んで、元貴はそんな言葉をいつも僕にくれるの···嬉し言葉ばっかりくれるから僕、持ちきれないよ···」
「じゃあそこらへんに置いておいて」
「そんなのもったいなくって出来ない···」
「じゃあ全部しっかり持ってて」
うん、と頷いてぎゅっと抱きついてくる涼ちゃんをしっかり抱きしめた。
いつだって素直で涙もろい恋人が俺は可愛くって仕方がないから。
これからもいくらだってその笑顔を見るために頑張り続けようと思える。
「元貴って、本当に僕のことを大好きなんだね···」
しみじみという涼ちゃんに俺はつい吹き出してしまう。
「なにをいまさら···俺の愛の深さ知ってるでしょ?」
「···知ってる、けど僕だって負けてないよ」
「じゃあ確かめてみるのはどう?」
そう言って俺は涼ちゃんにキスする。
望むところ、と笑う涼ちゃんに俺は負ける気がしなくってこのあと許してって言われても許してあげないんだからねって心の中で笑った。