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新郎 久我 貴仁 あなたはここにいる女性を、
病める時も、健やかなる時も、
悲しみの時も 喜びの時も、
妻として愛し、敬い、慈しみ、
共に支え合い、助け合って、
永遠に添い遂げることを誓いますか?
彼が、静かに「はい、誓います」と答える。
新婦 草凪 彩花 あなたはここにいる男性を、
病める時も、健やかなる時も、
悲しみの時も 喜びの時も、
夫として愛し、敬い、慈しみ、
共に支え合い、助け合って、
永遠に添い遂げることを誓いますか?
「はい、誓います……」答えると、涙が知らぬ間に頬を伝った。
互いの指へ結婚指輪を嵌めると、
「それでは、誓いのキスを──」
神父さまの言葉で、ベールが上げられ、
彼の唇が近づいて、ふわりと私の唇に触れた。
結婚証明書に二人揃って記入を済ますと婚姻が成立したことが告げられ、再び盛大な拍手が湧き起こった。
彼に手を取られ、式場を退出すると、
「……泣いていたのか?」
ふと顔が覗き込まれて、彼の指先にそっと涙が拭われた。
「……彩花、悲しみの時も、喜びの時も、これからはずっと、私は君と共にいるから」
そうして、先ほどの誓いのようなセリフを耳元ヘ囁きかけられると、涙は瞳から再び堰を切って溢れた……。