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幼馴染の証明
学校の屋上、静かな風が二人の間を吹き抜ける。
内山昂輝は、隣でそっぽを向いている入野自由を見つめていた。
「…自由、お前、覚えてないのか?」
「あ?何のこと?」
自由は眉をひそめ、苛立ったように返事をする。
昂輝は少しだけ息を吐いて、肩をすくめた。
「お前が小学3年の時、俺がいじめられてたのを助けてくれた話だよ。」
「……そんなことあったっけ?」
自由は屋上の手すりにもたれかかり、遠くを見つめる。
「お前、ほんと記憶力ないよな。『泣き虫は弱いんじゃなくて、正直なんだ』って言ったの、忘れたのかよ。」
昂輝の言葉に、自由は一瞬だけ目を見開いた。
「…そんなこと、俺が?」
「そうだよ。で、それがバレるのが恥ずかしくて、次の日からそっけなくなったんだろ?」
昂輝は笑みを浮かべながら自由の顔をのぞき込む。
「そっけなくなんてしてねえよ!」
自由は急に声を上げ、昂輝の言葉を否定する。
「したよ。俺が話しかけても、お前、目も合わせなかったし。」
「……それは、あれだ。気まずかったんだよ。」
自由は視線を逸らしながら小声で言う。その姿を見て、昂輝は少しだけ微笑んだ。
「そっか。自由も気まずいとか思うんだな。」
「うるせえ、別にいいだろ。」
自由は少し赤くなった顔を隠すように背中を向ける。
しばらくの沈黙の後、昂輝が再び口を開いた。
「でもさ、自由。それでも俺は、お前が俺を助けてくれたことを忘れてないし、あの時からずっと思ってた。」
「…何をだよ。」
自由が振り返らないまま問い返す。
「お前のこと、俺が守る番だって。」
昂輝の真剣な声に、自由はようやく振り返る。その瞳には、少しだけ驚きが浮かんでいた。
「……は?何言ってんだよ。」
「マジだよ。」
昂輝は肩をすくめて、優しく笑う。
「俺が先に知ってるんだからな。お前の本当の姿。」
その言葉に自由は眉間にしわを寄せながらも、どこか否定できない表情を浮かべた。