テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
藤澤 side
『僕、今日は帰るね』
事後珍しく、元貴は帰っていった。
明日はお休みなんだし、泊まって行きなよと言ったが、「泊まりたいのは山々だけど、行かないといけない所があるから…」と断られた。
用事、これはまた忙しい人だなぁ。
(別に元貴が多忙なのは今に始まったことじゃないけど)。
それに対して「そっかぁ」と適当な返事をし、引き止めることなく去る彼の背を見送った。
「………」
元貴が触れたところを、ゆっくりとなぞる。
いつもの様に熱く愛撫を受けた身体は今も熱い。
事の始めは怒りからくる無理矢理なものだったけど、後に彼もノッてきて、何度も何度もイかされた。
ちょっと意地悪されるのが堪らなくて、それを強請る僕も相当マゾだなぁと思う。
夢中に求められた身体の至る所にチラホラと紅い花が咲いていた。
ああ、まだ絶頂の最中にいるようだ。
このままでは熱を持て余し、元貴が恋しくなってしまう。
少しでもその昂りを冷まそうと、冷たいベッドのシーツにくるまった。
ひんやりとした感じが肌へ伝導するのが心地いい。
「………ん?」
元貴が帰って30分、いや、一時間も経っただろうか、部屋のチャイムが鳴った。
誰?
……といっても、僕の家を自ら訪ねてくるなんて、元貴でないのなら「あの人」しかいない。
「……はぁい」
「ウワ、りょうちゃんなんてカッコしてるの。」
よたよたと、ローブだけ羽織って出迎えると、やっぱり。
予想通りの訪問者だ。
「元貴が帰った頃かなと思って。来ちゃった。」
「もう、酷い目にあったよぉ。キスマークなんていつつけたの?」
「ふふ、りょうちゃんがふらついてる時かな?」
そう、僕の家を訪ねてきたのは他でもない若井。
元貴に散々にされた元凶がまさにこの人。
先刻の最中に、「若井にあんまり近づかないで」と彼に釘を刺された数刻後、コレだ。
僕も粗末な人間である。
もちろん、若井は僕と元貴が恋仲なのを知っている。
でも、それを知りながら若井は僕を抱く。
俗に言う「セフレ」のようなもの。
いや、セフレなのか。
「キスマークの弁明大変だったんだからぁ。僕と若井の関係バレちゃうかと思った!」
「ははっ、でもばれなかったんでしょ?」
「うん、多分…。キスマは若井がふざけてやったってことにしといた。今後若井には近づかないこと!って約束させられたけど」
「今もう会っちゃってるけどね。」
「早速約束破っちゃったよぉ…」
「ふふ、元貴にバレたら大問題だ!」
「僕、抱き殺されるかも……」
「ありえるね。笑」
バレたら命はない、って大袈裟だけど、案外そんな気がする。
元貴、たまにぶっ飛んだことするし、言うから油断ならない。
…まあ、この関係を解消したら?ってハナシなんだけど、ねぇ。
そうはいかないよね、僕、欲張りだから。
悪いけど、若井は手放せない。
「……ねえ、りょうちゃん…」
クスクスと笑っていたと思えば、急に彼の目付きが変わる。
……僕を、「狙う」目。
この鋭い視線が堪らない、ゾクゾクする。
「…来たばっかで申し訳ないけど、俺もう限界……」
なんて、熱く訴えてくる。
そんなに情熱的な目で見ないで。
一度は冷えかけたこの身体がまた、フツフツと火照り出す。
「ふふ……いいよ、若井。ベッドでしよ?」
「うん。いこう。」
「ン、だっこ」
「はいはい、いいですよー。よい、しょっと!」
若井は僕を姫抱きにし、ちゅ、と小さく頬にキスを落とす。
優しく微笑みながら寝室まで足を運んだ。
流石若井カッコいい!
「ンッ、も、若井……がっつかないでっ」
「早くりょうちゃん欲しいから」
「僕、逃げな、いッ……からっ……、アアッ」
「いつもより敏感だね、…元貴とした後だから?…キスマの数もすごいし……。なんか……妬けるなぁ。」
「ンッ、ん、…ぁ、あぅ、わかい…ん、…ッ」
「仕方ないか、りょうちゃんと元貴は恋人同士だもんね。」
若井のものが、僕のナカを満たす。
ビリビリと強烈な快感が全身に走り、彼の首にしがみついた。
確かに、丁度シた後だから一層感じやすいのかもしれない。
彼の吐息ですら僕をゾクゾクさせる。
もう既に、とろけてしまいそうだ。
「ねえ、 りょうちゃん、いいの?恋人がいながら俺とこんなことしてても」
若井はふと腰を止め、僕を見下ろす。
昇りかけた頂点から少しずつ離れていく感覚が惜しいが、僕は彼の顔を両手で包み込んだ。
「……良くは、ないよね?今日だって、こっ酷く怒られたもん、元貴に」
「じゃあ、どうして……」
「フフ……もぉ、いいじゃん、楽しいし、気持ちいいんだし。それに……またバレたらバレたで、”お仕置き”されるでしょ?」
「…全く、りょうちゃんってば…!」
「アッ!あ!ンン!や、それ……ッ」
「りょうちゃんの気持ちいとこ、覚えたよ」
「んん、ぁ、はあ、それ、スゴ、い……ッ、!」
「元貴のとどっちが好き?」
「そん、なの……、えら、ァあ、アアッ!」
「欲張りさんだなぁ、りょうちゃんは…」
ナカに入り込んだ彼のものが僕を掻き乱した。
意図せずとも自分の嬌声が口端から洩れていく。
「いや、いやぁ…ッ、ん」
「嫌ならやめる?」
「アッ、…も、っ、意地悪……!」
「冗談だっって。ほら、イッてもいいよ」
「あ、あ、それ、だめ、やば」
「やば、そんなに締め付けんなよ…ッ!」
「ひろ、と……っ、ひろと、イッ……イッちゃう、あ、イク」
「りょうちゃんのイクとこ、ちゃんと見せて…」
「ン、……ッ!!ンン、ッ……ぁ!あ!〜〜〜…ッ!う、ぁ」
パン、と目の前が弾け、それと同時に全身に駆け巡る電流のような快感。
喉を反らせて痙攣する体、短く洩れる吐息、吐き出された欲。
全部、見られてる。
この明るい部屋の中で、若井に、ぜんぶ。
「すご……いな、りょうちゃん」
「やだ……ぁ、もぉ…」
「いつも薄暗かったから……りょうちゃんって、こうやってイクんだ」
「も、やめて、」
「見られて興奮した?ナカ、凄いよ、締め付けが」
彼は僕をからかうように笑い、少し僕のナカを混ぜた。
わざと僕のイイところをトントンと刺激する。
頂点へと上り詰めた僕の感度はとても鋭利で、意図せずともビクンと腰が跳ねた。
「やっ……電気、消し……ッ、」
「嫌、このまましよ」
「ンあ、あッ、いや、ァ、だめぇ」
「ふふ、りょうか、可愛い…」
「あ、むり、だめ、またイッちゃう、いやぁッ」
また、目の前がショートして、それと同時に全身が震え出す。
呼吸も小刻みになり、刺激され続けたソコがジンジンと熱い。
しかし、こうして堪らない絶頂を味わう毎に募る「背徳感」。
快楽だけでなく、一抹の背徳が僕を覆い出す。
でも、
「涼架こっち、……俺を、見て…」
「ア、ぅ……んッ……」
彼の熱い瞳に見据えられ、求められると、その「背徳感」さえ快楽のスパイスになるのだ。
「ひろ、と……」
「涼架……」
「ちょうだい……もっと、何も、考えられなくなるくらい」
「…喜んで」
ぎゅうと僕を抱きしめる彼の背に、手を回す。
僕と同様、上気して体温が上がったその身体は、抱きしめるには少し暑い。
でも、その熱い身体に包まれて、少し苦しいくらいがちょうどいい。
もっと、もっと熱く、
溶けてしまうほどに、抱きしめて。
どちらからともなく、引き合うように口付け、甘く熱い快楽へと身を任せる。
今は、この感覚に溺れていたい。
何も、考えたくない。
今は、彼のことだけ……。
たまらない強烈な快楽に溺れながら、僕は意識を手放したのだった。
コメント
1件
素敵なお話を見つけてしまった😍✨ このお話は涼ちゃんがちょっとあれな感じでめちゃ刺さりました🫠💗 更新されるの楽しみにしてます