TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

描いてみたかったんです 。


「仮面のぼくを、愛して」



『 プロローグ - 崩せない仮面 』


「なんか、巴って笑顔が不自然だよな」

「なんでお前が…お前なんかが…!!俺より上なんだよ!!」

「返せよ!!今までの俺の時間を……!!」

「お前なんか……大っ嫌いだよ!!!」


やだ、やだ

ごめんなさ…っ


ピピッ ピピピッ


「……っへ?」


……夢、? …夢か。

今日はジュンくんと2人のレッスンだね

絶対間違えられない。


「……出なきゃ」


今日もぼくは 誰も崩せない仮面を被る



『 1-完璧な、いい日和 』


Eveのライブを1ヶ月後に控えた日 。


「……で、ここでターン!!♪」

「はぁ、…っ はぁっ ちょ、 おひいさん!!」

「えぇ〜?なぁに〜?もうバてちゃった?」

「飛ばしすぎなんすよ! …それに、レッスンはじめて5時間は経ってますけど?」

「あっはは☆ 僕はまだまだ大丈夫だけどね?」


……うん、崩れてない。完璧だね 迷ったけど、やっぱり自分勝手に飛ばした方が巴日和っぽいね。 ジュンくんも違和感持ってないみたいだしね

息は少し苦しいけど、これくらいなら平気。

声もちゃんと出てるし、足も動いてる。

……問題ないよね?


本当は少しだけ休みたかった。

でも、止まる理由を探すより、

動き続けた方が、巴日和らしいよね。


「じゃあ、今日はもう終わろっか♪ ぼく先に帰るね♪」

「え?…あぁ、分かりました。じゃあ…また明日。」

「ばいば〜い♪」


練習室のドアを閉める。

……大丈夫。だよね?

今日も、完璧な『巴日和』だったね



『 2-アンバランスな、いい日和 』


Eveのライブを1ヶ月後に控えた日。


「……で、ここでターン!!♪」

「はぁ、…っ はぁっ ちょ、 おひいさん!!」

「えぇ〜?なぁに〜?もうバてちゃった?」


ケロッとした顔で、俺を馬鹿にするみたいな笑顔でこっちを見る。


「飛ばしすぎなんすよ! …それに、レッスンはじめて5時間は経ってますけど?」

「あっはは☆ 僕はまだまだ大丈夫だけどね?」


なんであの内容をあの時間できる…!?

5時間以上キツい練習をしても尚、おひいさんの笑顔は崩れない。

……嘘だろ、化け物か?


「じゃあ、今日はもう終わろっか♪ ぼく先に帰るね♪」

「え?…あぁ、分かりました。じゃあ…また明日。」

「ばいば〜い♪」


考えすぎっすかねぇ、今……、いや

今日ずっと、おひいさんの目に光がないように見えた。

いや、あの人に限ってそんなこと……

……今、おひいさん本当に笑ってたか?



『 3-愛して、あいして 』


「ジュンくん、レッスンお疲れ様♪」

「ったく……『お疲れ様♪』じゃないっすよ 飛ばしすぎです」

「今のぼくの真似!?ぜんっぜん似てなかったね!やり直し!」

「そこじゃねぇでしょう!?」


いつも通りだった。


「ねぇ、今日この後買い物付き合ってね♪」

「あぁ、すみません。俺予定あるんで」


いつも通りじゃなかった。


「……あ、そっか」



一瞬、聞き間違いかと思った。



なんで、どうして、?

ジュンくんがぼくの誘いを断るなんてこと今までになかった

よっぽどのことがない限り、あった予定を潰してぼくの誘いに乗ってくれた

でも、断られた


「…、なんで? ジュンくんなんか大きい仕事持ってたっけ?」

「いやそうじゃねぇっすけど…すみません。先帰りますね」


捨てられた? 飽きられた? バレた?

そんなわけない、そんなわけない、はずなのに

何が足りなかった?どうすれば良かったの?


なんで、やだ、離れないで、そばにいて ……あいして




『 4-欠けたピース 』


予定があるというのは真っ赤な嘘。暇なくらいだが、おひいさんには予定があると言った。

自分でも分かるくらい、理由は明確だった。


少しだけ、おひいさんと距離を置いた方がいい気がした。


嫌いになった訳じゃない。

むしろあの人のことは好きなくらいだし、離れる気もない。…が、俺がいるとあの人が壊れそうで。

今日のレッスン中、全く違和感がなかった。

楽しそうだったし、昨日みたいに目に光がないようにも見えなかった。


『あ……、そっか』


あの言葉を言う時のおひいさんは、今までにないくらい悲しそうだった。

思い出すだけで胸が苦しくなる。


今まであの人中心の生活をしてきたから居なければ居ないで気持ち悪い。

パズルのピースが、ひとつ足りないみたいな。


……やっぱり、俺の勘違いだったすかねぇ?




『 5-愛される為なら、多少苦しくたって…… 』


「おはようっ!」


声をかけるのが怖かった また拒絶される気がした 大丈夫、ジュンくんはそんな人じゃない ……大丈夫、大丈夫…

大丈夫…?


「あぁ、おひいさん。おはようございます。」


大丈夫、だった、?

良かった、拒絶されなかった


「うんうん、じゃあ今日もレッスン始めようね♪ ライブまであと1週間だからね!」

「うぃっす。さぁて…頑張りますか!」

「その意気だね、ジュンくんっ♪」


怖かった

ライブまで、仮面が持つか

バレずに持ちこたえられるか

キャパオーバーになったらそこで終わっちゃうから

壊れた仮面はまた破片を集めて直せばいい。

でも、時間がかかるし、何処か一欠片でも見つからなければそれは元通りにはならない。


「これで今日のレッスンはおしまいっ♪ 明日からは通し練習だからね!」

「ありがとうございました…!」


今日は、多分、笑えた

良かった、良かった……。

愛の代償は、軽いわけがない、軽くていいわけが無い

愛されるためなら、多少苦しくたって……っ




『 6-曖昧、愛昧 』


今日は、昨日より少しだけ静かだった。

音はちゃんと聞こえてるのに、身体がついてこない。

……あれ、こんなだったっけ。


「っあ___」

「おひいさ…っ!!」


あ、やばい 転ぶ


「っぶね、!?」

「……ぁ、え?」

「今日どうしたんですか?あんた…」

「っううん! 今日ちょっと疲れてるみたい、だね!」

「……、」

「ちょっとお手洗い行ってくるね」

「……はい」


危ない、終わるところだった

バレてないよね、?


トイレの手前に来た時。


「あれ、なんでぼく泣いて、」


なんで、どうして泣いてるの?

上手く笑えない、こんなこと誰かに見られたら、

なんで泣いてるんだろ、

やだ、やだっ 泣き止まなくちゃ、泣き止まなくちゃ、……泣き止んでよ……っ!





『 7-愛と謝罪の後悔 』


「っどうしたんすか!?」


帰りが遅くて心配になって来てみたら、トイレの前でおひいさんが泣いていた

胸を抑え、苦しそうな息を吐いている


「ジュンくん、っ!? ぇ、あ、わかんないね、っ 練習のし過ぎで疲れちゃったのかも、っ」

「……、それだけっすか」


言ってから後悔した

これじゃ、責めてるみたいじゃねぇっすか


「うんっ、それだけっ! ごめんね、心配させちゃったよね、すぐ泣き止むね、!」

「……、大丈夫ですよ、ゆっくり泣き止んでください」

「……はぁ、はぁ、…っあ、」


おひいさんは、悲しくて泣いたとかじゃないと思う。多分、本当になぜ泣いているか分からないんだと思う。

…おひいさん、途中何度かか息を吸うのをわすれていた。


「うん、もう大丈夫だね!ほら、すぐ戻るから♪」

「え?は、…はい」


言われるがまま、追い出される。


「……、やだ、やだぁ…っ ごめんなさい、っ」


微かに、そう聞こえた気がした。

ごめんなさい。…許してください。……おひいさん





『 8-欠陥処理 』


最悪、さいあく。

ばれた…? ジュンくん引いたかな

引いたよね ごめんなさい、ごめんなさい、、っ


「……ぁ」


おはよう!…そういいたくても、声が出なかった


「あぁ、おはようございますおひいさん。…どうしたんすか?」

「へ?あ、ううんっ!おはようっ!」


笑わなきゃ、笑わなきゃ、笑え


「ライブは明日だからね!万全な状態で挑まないと♪」


万全じゃないのはぼくなのに


「そうっすねぇ…おひいさん、大丈夫っすか?昨日の……」

「大丈夫だね!!」


ジュンくんは、何か言いたそうだった。

でも、言わせなかった。


その方が巴日和っぽいから。


「もう心配しすぎだね♪」

「はぁ〜? ったく、俺結構心配したんですからね?」


これは、愛として受け取っていいのかな

……な訳ないよね 迷惑だね


「うんうん♪ だぁいすきなおひいさんが帰ってこなくて心配になっちゃったね?」

「ははっ うぜぇ〜」

「さぁっ! 最終練習を始めるね!」


壊れないように。

嫌われないように。

欠陥は、処理しなきゃ。



「……おひいさん、声」

「、え?」

「………」

「どうしたの?いつも通りだね!」


処理、仕切れてなかった、?


笑えたかな 笑えたよね

………。…笑えた?


ねぇ、ジュンくん

笑顔も、声も、性格も仕草も笑い方も

完璧でいれば…そばに居させてくれる……?





『 9-愛の陥入、哀の混入 』



俺は最低だ

今日のレッスン中、ずっと、ずっと辛そうだった

笑ってるけど、どこか笑ってなかった

言おうと思ったけど、無理だった

言っても遮られるってわかってたから


「そんなん…無視して言えばいいじゃねぇっすかよぉ、」


一人、後悔を呟く

誰に届くでもないその言葉は、宙に舞って消える

__後悔先に立たず、とは よくいったものだ

多分、今まで見てきたおひいさんは偽物なんだと思う

演じている、といえば正しいだろうか


「無理するなって、俺にはいう癖に」


今日の休憩時間。

(回想)


「うんうん、完璧だね!これなら明日も完璧にこなせそうだね!いい日和っ♪」

「…そうっすね」

「?どうしたの?あっ、ぼく飲み物買ってくるね!ジュンくん何かいる?」

「俺も行きます」

「ぼく一人で買い物できない子供じゃないね!ジュンくんは待ってて!」


あそこで無理矢理一緒に行かなくて良かった

……いや、いった方が良かったのか?

ゲームみたいに、別ルートを試すのも現実世界ではできない。

Aの結末しか知らない俺は、Bの結末と比べることはできないが、この結末だけ見ている分には、一緒に行かなくて良かったと思う。


「じゃあ、水買ってきてください」

「おっけ〜♪」


後から、バレないように俺もついていく。


「…?」

(あっちは購買じゃねぇのに)


おひいさんは、購買とは別の階段を使った。


踊り場に出たところで、おひいさんがしゃがみ込む


「おひ__」


いいかけて、やめた

存在がバレてはいけない気がした


「…っ そろそろ 限界かなぁ、っ」

「仮面を被り続けるのは……無理だったのかなぁ……っ」


血の気が引いた。

………ここに居てはいけない。そんな気がして、レッスン室に戻った



俺は…邪魔だったのか

俺がいるから演じなければいけなかったのか

俺は………愛す権利はあるのか


……俺は、素のおひいさんを愛したい

たとえ、余計なお世話だったとしても






『 10-不完全な、良い日和 』



Eveライブ当日


「ジュンくんかっこいい〜!」

「ジュン〜〜!!」

「えっ、今こっち見た!?きゃーー!!」

「うわ、出てきたよ…日和」

「まだ人前に出れたんだな、笑」

「馬鹿だから気づかないんだよ」


ごめんなさいごめんなさい

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさ__


ピピッ ピピピッ


「ひ、っ!?」


…目覚まし、か

だから寝たくなかったね

こういう日に限ってこういう夢をみる

正夢じゃないかって、怖くなる


…………笑えない


「嘘、こんなことなかったのに」


笑いたくても、口角が上がらない

鏡の前で笑顔の練習をする

いつも通りなのに、いつも通り笑えない


「………っ」


やっと笑えた、と思ったら泣いてた


「なんで、なんで、、っ」


必死に涙を止める。

大丈夫、これで完璧


コンコン


「おひいさーん」

「…は〜いっ♪」


__________

この作品はいかがでしたか?

17

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚