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🩷視点
付き合って、もうすぐ3ヶ月。
……なのに、俺たちはまだ、キスすらしていない。
手を繋いだり、後ろから抱きしめたりしたら、仁人はめちゃくちゃ嬉しそうに笑う。
それなのに、いざ雰囲気が良くなって顔を近づけると、あいつは決まってぷいと顔を赤くして、不自然なほど全力で逃げる。
……いや、マジでなんで?
俺、そんなに男として魅力ない…?
それとも、実はめちゃくちゃ嫌がられてるとか……
いや考えたくないけど。
でもまぁ確かに告白も俺からだったし。
お人好しの仁人は断るに断れなくて
そのまま付き合ってたとしたら?
…いや、それは流石に無いはず。流石に…
毎日そんなある事ない事ばっかり考えて、
ぶっちゃけ俺のメンタルは限界だった。
そんな時、タイミング良く仁人が俺の家に遊びに来ることになった。
もう今しかない。ここで問い詰めるしかない。
ソファでのん気にスマホを見ている仁人の前に、俺は我慢できずにドカッと立ちはだかった。
自分でも分かるくらい、相当ヤバい顔をしてたと思う。
「え、勇斗……?」
仁人は俺の名前を呼んで、怯えたように俺を見上げた。
「……なぁ、仁人。俺のこと本当に好き?」
「は!? な、何言ってるの、急に。……好きに決まってるじゃん、」
そう言うとふいと顔を背けた。
あーもう、俺ばっか悩んでんの馬鹿みたい。
「…じゃあ、なんでいっつもちゅーさせてくんねぇんだよ!!」
これ以上逃がさないように、ソファの背もたれに両手を突いて、仁人を完全に俺の腕の中に閉じ込めた。
子供の我儘みたいなこと言ってて正直恥ずかしい。
距離が近くなった瞬間、仁人は顔を耳まで真っ赤にして、視線をあちこちに泳がせ始める。
その反応すら、何だか拒絶されてるみたいで胸が痛んだ。
「それ、は……その……」
「俺、マジでずっと悩んでたんだけど。…ねぇ、嫌なら嫌ってちゃんと言って」
少し低めの声で、本音をぶつける。
すると、仁人はぎゅっと持っていたスマホを握りしめて、今にも泣きそうな目で俺を睨みつけてきた。
「……嫌なわけ、ないじゃん……っ!」
「じゃあなんでだよ」
問い詰めると仁人は小さくため息をついて、
観念したように口を開いた。
「……、弱いから……っ」
「は?」
仁人は俺から完全に目を逸らし、消え入りそうな声で、でも必死に白状した。
「……口の中が弱いんだよ……っ。何か、神経が過敏っていうか……。ちょっと触られただけでも、ゾクゾクして頭真っ白になっちゃうの……! だから、勇斗とちゅーしたら、俺……変な声出ちゃいそうで、恥ずかしくて……!」
…………はい?
言い切った仁人は、火が出そうなくらい真っ赤になった顔を、両手で覆って隠してしまった。
ちょっと待て。
付き合って3ヶ月、俺がこんなに悶々と悩んでた理由が、まさかの「感じすぎて恥ずかしいから」……!?
その瞬間、俺の脳内で、今まで必死に保ってた理性のブレーキが、粉々に砕け散る音がした。
………あー、無理。無理無理。
そんなの、我慢できるわけねぇじゃん。
可愛すぎて頭おかしくなりそう。
「……仁人」
顔を隠している仁人の両手を、強引に剥ぎ取る。
そのまま、涙目で固まっているあいつの顎を、少し強めの力で持ち上げた。
もう優しくしてやる余裕なんて、1ミリも残ってない。
初めてなのにごめん、なんて心の中で呟く。
「……ねぇ、変な声別に隠さなくていいから」
「っ、勇斗……ぁ、」
「覚悟しろよ。今までお前が焦らした分、めちゃくちゃにしてやる」
「ん、ぅ……っ!?」
抵抗する隙なんて与える気はなかった。
開いた唇の隙間から、俺の舌を容赦なく滑り込ませて、仁人のその「弱点」を、これでもかってくらい執拗に弄り回してやる。
「んぅ……っ、は、あ、ん……っ」
仁人の口から、あいつが心配してた通りの、めちゃくちゃ甘くて蕩けた悲鳴が漏れた。
口内を蹂躙される快感に、仁人は一瞬で骨抜きになって、俺のシャツの胸元を涙目でぎゅっと掴むことしかできなくなっている。
やば、正直めっっっちゃ可愛い。
「……ねぇ、もう無理……っ、はやと、頭、とける……っ」
「……やめねぇよ。今まで逃げてたお前が悪い」
初めてのキスは、優しさなんてカケラもない。
3ヶ月分の独占欲と執着を全部ぶつけるような、激しくて熱い、終わりのない溺愛の始まりだった。