〜桜木花道side 〜
「ごめんなさい。私、推しにしか興味ないの。」
ズッコーーン
「花道〜、振られた回数50回突破おめでとう!」 「さすが花道!」「とうとう50回!」
「うるせーテメェら!」
ゴツっ ゴツっ ゴツっ
「にしても今回はなんで振られたんだ?」
「うぅ…よ〜へ〜…。推しにしか興味なんだってさ…。」
「推し…ねぇ…。」
「洋平、推しってなんだ?」
「あれだよ。アイドルとかを応援することを推すって言うじゃん。」
なんでぃ、アイドルなんか。
どうせ自分のこと、振り向いてくれないって分かりきってるやつを好きになってどうするんだよ。
「そういえば、この前花道が告った山下さんは、俳優を応援してるって言ってたな。」
「高宮っ!余計なことを!」
「小田さんは、雑誌モデルを推してるって言ってたぞ。」
「大楠まで…。」
アイドル…?俳優…?モデル…?
「ふぬーーっ!!!もう芸能界なんて大っ嫌いだ!!」
くそっー。もうテレビなんて一生つけねー!
「おおーい。花道〜?どこ行くんだー?」
「今日はもう帰るっ!!」
翌日
「花道ー、いい加減元気出せって。」
「女の子にフラれたぐらいどうってことないだろ。」
「たかが50回。」「たった50回。」「されど50回。」
「お前ら…馬鹿にしてるだろっ!」
はぁ…これだからレンアイはツラいぜ…。
「すみません。芸能界に興味はありますか?」
「ふぬっーー!誰が興味なんk…」
………
そこにいたのは、華奢な体、艶やかな髪、美しい瞳を持った、可憐な少女だった。
………
モロ好みだ!!
「興味あります!!!」
あなたに!
「「「「花道に春が来た!」」」」
後ろ洋平たちがコソコソと囁く声が聞こえた。
「私、赤木晴子っていうの。よろしくね。」
「ハルコさん…。桜木花道です。」
「背すごく高いわねー。流川くんとどっちの方が高いのかしら。」
ルカワくん?誰だ?
「お兄ちゃーん。この子とかどうかしら。」
ハルコさんにはお兄様がいるのか。さぞかし立派なお兄様だろう。
そう思っていたのに、現れたのは、ゴリラを連想させるでっかいやつだった。
「流川くんと身長も同じぐらいだし、グループの平均身長を上げるには良さそうよ!」
「コイツか…?まあ背は高いが…。」
「ハルコさん、この人は?」
「あぁ、うちのお兄ちゃん。」
「……似てねぇ。どんな遺伝子を継いだら、こんなに兄妹で見た目の差が出るんだ。」
思わずそっと呟いてしまった。
「…聞こえてんぞ!晴子!こんな不真面目なやつ信用できんっ!そもそもなんだこの赤い髪は!!」
「あぁ!?んだてめぇ?ゴリラの癖に…この天才的な赤髪に文句あんのか?」
「あぁ…もうめちゃくちゃだ〜…」
俺と目の前のゴリラが喧嘩をしていると、ハルコさんが間に入ってきた。
「まぁまぁ、お兄ちゃん、桜木くん。こんなに派手な色が似合う人なんてそうそういないわ。体格も良さそうだし、ダンスの練習をしたらきっとすぐ上手になるわよ。桜木くん、もし興味があるなら、明日、事務所に来てみて。メンバーとの相性も見たいし。事務所の住所、渡しておくから。」
ダンス…?メンバー…?
なんの話だ?
困惑している俺をみて、ゴリラが説明してくれた。
「晴子、ちゃんと説明してなかったのか?俺は芸能事務所湘北エンターテイメントの子会社社長、赤木剛憲だ。今、うちの事務所からアイドルデビューできる人材を探している。俺からしたら、お前みたいなやつはこれっっぽっちも欲しくないが、マネージャーの晴子が言うから、声をかけただけだ。イヤなら断ればいい。」
ハルコさんがマネージャー…。
すると洋平が横から囁いてきた。
「事務所に入れば、ハルコちゃんに毎日会えるんじゃない?」
ふっ…ふふふ。
天才桜木、この手にのる以外の道はないぜ。
「行きますよハルコさん!明日朝イチで!」
「あーもう。洋平が余計なこと言うから…。」
「これはこれで面白いじゃん。」
後ろで大楠たちが話す声が聞こえた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!